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ホンダ・フィットモデューロX “実効空力”によって操縦安定性も乗り心地も大きく変わるのを3種類のフリード比較試乗で体感


ホンダ車向け純正アクセサリーを取り扱うホンダアクセスが開発するコンプリートカー「モデューロX」シリーズ。その最新モデルとして間もなく発売と噂される新型四代目フィットモデューロXのプロトタイプと、同車のベース車となっている「e:HEVリュクス」を、袖ケ浦フォレストレースウェイで比較試乗する機会を得た。




また、フリードのモデューロXとベース車、さらにはモデューロXからフロンバンパーだけをベース車のものに交換した車両を、比較試乗のうえ各車の後席にも同乗試乗。果たしてホンダアクセスが提唱する“実効空力”デバイスの効果とは?




なお、1コーナー手前には水たまり、5~8コーナーには左右間約2.3mのパイロン、9コーナーには段差が設けられ、走行環境の厳しい一般道を模したコースとなっていた。




REPORT●遠藤正賢(ENDO Masakatsu)


PHOTO●ホンダアクセス、遠藤正賢

新型フィットモデューロXのコンセプトモデルは2020年1月の東京オートサロンで、ベース車の販売開始に1ヵ月先んじて世界初公開された。これまではコンセプトモデルがベース車のデビュー後、市販モデルはベース車のデビューから最低でも1年以上経過してから発表されることが多かっただけに、異例の早さと言える。

ホンダ・フィットモデューロXプロトタイプ

それから約1年後に袖ケ浦で披露されたプロトタイプは、「よりテスト車両らしく見えるよう、敢えて黒のラッピングを施した」という前後バンパー・グリルを除いては、そのエクステリアにコンセプトモデルからの大きな変化は見られない。迫力をアップしつつ“実効空力”デバイスを盛り込んだ前後バンパー・グリル、標準装備品より張り出しをごくわずかに大きくしたリヤスポイラー、剛性バランスのみならず軽さも追求したアルミホイール、専用セッティングのスポーツサスペンションなど、チューニングメニュー自体は共通だ。

フィットモデューロXプロトタイプのフロントまわり
フィットe:HEVリュクスのフロントまわり
フィットモデューロXプロトタイプのリヤまわり
フィットe:HEVリュクスのリヤまわり

もちろん、ベース車と比較すれば、その外観は大きく異なる。ベース車はシンプルな造形で、特にフロントまわりは大型のフラップで風を極力ボディ下面へ流さず、空気抵抗を低減しようとしているのに対し、モデューロXはバンパーの下部およびサイドに整流効果のある形状を与えることで、空力を運動性能向上に積極的に活用しようとする意図が見て取れる。

ボルドーの差し色がステアリングにも与えられたフィットモデューロXプロトタイプの運転席まわり

しかし、最も大きく変化したのはインテリアだろう。公開された車両のベース車となっている上級モデル「e:HEVリュクス」に対し、シート生地に滑りにくい素材が多用されているほか、各部のステッチやパイピングなどがボルドー色となり、質感がアップしつつシートのホールド性も向上している点は、モデューロXのコンセプトモデルもプロトタイプも変わらない。

前後シートのサイド部も黒からボルドーに変更されている

だがプロトタイプでは、ステアリングホイール内側下部や前後シートサイドにもボルドー色が与えられており、ベース車のブラック内装やコンセプトモデルよりも遥かに華やかな雰囲気になったのは、大いに歓迎すべきことだろう。

ホンダ・フィットe:HEVリュクス

さて、実際に乗り比べてみるとどうか。まずベース車のe:HEVリュクスでコースインすると、ヨーやロール、パワー・トルクとも出方が穏やかで、今回のようなサーキットでは操作と挙動とのタイムラグが少なからず気になってくる。一方、段差が設けられた9コーナーではリヤからの強い突き上げに見舞われ、挙動を乱しがちになる傾向が見られた。




なお、先代の1モーター式「i-DCD」から2モーター式に変更されバッテリーの容量・制御とも大幅に進化したe:HEVが、電池切れや熱ダレによるパワーダウンの兆候を見せることなく、サーキットでの全開走行を10分以上続けられたのには大いに驚かされた。

道幅わずか2.3mの狭い道を楽々クリアするフィットモデューロXプロトタイプ

これに対しモデューロXプロトタイプは、ことハンドリングに関してはベース車の穏やかさがウソのように軽快になり、ドライバーの意思に即座に反応する一体感を見せてくれる。また直進性も高く、1コーナー手前の水たまりや5~8コーナーに設けられたワンミス即パイロンタッチの狭い道を、高い速度で通過してもふらつく素振りすら見せないため、安心してクリアすることができた。ただし9コーナーの段差では突き上げの強さが充分には解消されていないため、発売までにさらに熟成されることを期待したい。

ホンダ・フリードハイブリッドモデューロXホンダセンシング

さて今回、冒頭でお伝えした通り、e:HEVのモデューロXとベース車、さらにはモデューロXからフロンバンパーだけをベース車のものに交換した車両、3タイプのフリードにも試乗。“実効空力”デバイスの有無による走りの違いを比較したので、そのレポートをお届けしたい。




“実効空力”とは、実車での走行テストを通じて導き出した、走行中に発生する車体のリフトを前後ともバランスよく下げられる形状を与えることで、主に中高速域で四輪への垂直荷重を空力によって増大。




グリップ限界を高め、コーナリングパワーも増大させることで、ステアリングレスポンスと外乱に対する収斂性を同時にアップさせる。またロールやピッチングを抑え、限界域での荷重の抜けを起こりにくくすることで、矢のようにまっすぐ走る直進安定性と、よりリニアなハンドリングを実現する、というもの。

エアロスロープ
エアロボトムフィン
エアロフィン

なお、2020年5月に発売された後期型フリードモデューロX、同年6月発売のS2000発売20周年記念純正アクセサリー、そして前述のフィットモデューロXでは、

●車体の下側中央に速い空気の流れを生んで直進性を高める「エアロスロープ」




●ホイールハウス内の空気の流れを整えて内圧を低減する「エアロボトムフィン」




●ホイールハウスから発生する乱流を抑えて旋回性能を高める「エアロフィン」

の3つが、フロントバンパーに設けられるようになっている。

ホンダ・フリードハイブリッドG・ホンダセンシング

最初はフリードのベース車でコースイン。そのバランスの良さは2016年9月のデビュー当初から大きく変わらず、2019年10月のマイナーチェンジではさらに洗練されているが、5~8コーナーの狭い道を早い速度で通過しようとすると、ステアリング操作に対する反応の遅れや揺り返しが顕著になるため、ややペースを落とさざるを得なくなる。また9コーナーの段差では、後輪からの強い衝撃が運転席にもハッキリと伝わってきた。

フロントバンパーのみベース車のものに交換したフリードモデューロX

次に、フロントバンパーをベース車のものに交換したモデューロXに試乗すると、ベース車よりもむしろバランスが崩れて運転しにくくなっていた、というのが率直な印象。1コーナー進入時の直進性や操舵時の正確性は悪化し、5~8コーナーではベース車以上のペースダウンと慎重な操作を余儀なくされ、9コーナーの段差を乗り越えた際は一層強い突き上げとともにオーバーステアの予兆を見せた。

ホンダ・フリードハイブリッドモデューロXホンダセンシング

だが、完全な状態のフリードモデューロXは、ベース車とフロントバンパー以外モデューロXの車両から感じられた、狭い道での頼りなさは一切ない。ベース車よりも操舵時の正確性が大幅にアップするとともに、ムダな挙動が出ないスッキリとした乗り味になり、5~8コーナーを遥かに速いペースで修正舵をほとんど当てることなく通過できる。9コーナーの段差でも、車体の揺れがすぐに収束するため、オーバーステアの予兆は見られず、安心感は絶大。そして何より、身体に伝わるショックが圧倒的に少ないことに驚かされた。

9コーナーの段差をスムーズにクリアするフリードモデューロX

この後、ホンダアクセスのスタッフが運転するベース車、フロントバンパー以外モデューロXの車両、モデューロXの順に後席で1周ずつ同乗試乗した。




前2車は狭い道や各コーナーで修正舵が多く、車体が左右に揺れるのをハッキリと体感できるうえ、9コーナーの段差では強烈な突き上げとともに車体の跳ねにも見舞われる。恐らく5周も走れば車酔いするのに充分だろう。




だがモデューロXは、修正舵が最小限で済むため旋回中の揺り返しが少なく、また段差通過時の突き上げが上手く減衰されているのを、フロントシートに座り運転している時以上に明確に感じ取れた。これならば長距離長時間のドライブに出掛けても疲れ知らずで過ごせるはずだ。

フリード標準仕様のフロントバンパー
フリードモデューロXのフロントバンパー

たかがフロントバンパー、されどフロントバンパー。その形状一つで旋回性能や直進安定性、さらには乗り心地まで大きく変わるという、“実効空力”の文字通り“実”際に“効”く“空力”を、3種類のフリードを通じて体感することができた。

ホンダ・フリードハイブリッドモデューロXホンダセンシング

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