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経産省・国交省・豊田通商、2月22日に新東名高速道路・遠州森町PA~浜松SA間で実証実験


豊田通商は経済産業省および国土交通省から受託した「トラックの隊列走行の社会実装に向けた実証」の一環として、新東名高速道路・遠州森町PA~浜松SA間で、後続車の運転席を無人とした状態でのトラック隊列走行を2月22日に実施したことを、3月5日に発表した。




TEXT:遠藤正賢(ENDO Masakatsu)


PHOTO&FIGUAR:経済産業省、国土交通省、豊田通商、先進モビリティ

後続車無人隊列走行のイメージ

同社は両省より2016~18年、また2019年以降も同実証を受託しており、政府目標である「2020年度内に高速道路におけるトラックの後続車無人隊列走行技術を実現する」ことを目指し、車両技術の開発と後続車無人システムの実証実験を進めてきた。なお、2018年1月には有人での隊列走行を報道陣に公開している。

また日本自動車工業会は、「大型4社は定速走行・車間距離制御装置(ACC)に車線維持支援装置(LKA)を組み合わせた技術により、2021年までにより実用的な後続車有人隊列走行システムの商業化を目指す」方針を、2020年7月に発表していた。

「後続車無人システム」の構成図

今回の実証実験は3D LiDARやステレオカメラ、ミリ波レーダー、側方カメラや760MHz車車間通信などで構成される「後続車無人システム」を搭載した3台の大型トラックを用い、先頭の車両には通常通りドライバーが乗り、後続2台の車両には助手席に保安要員が同乗するも運転席は無人の状態で実施。遠州森町PA~浜松SA間の本線上のみならず、両PA・SA内の発進~本線合流と分岐・駐車までも、ドライバー1人の状態で隊列走行するのを可能としたのが、従来の実験より大きく前進したポイントだ。

先頭車の運転席にはドライバーが乗り自ら操作
後続車の運転席は無人。各部の操作は先頭車と連動する

なお隊列走行では、他車が隊列内に割り込むのをいかに抑えつつ事故も防止するかが重要になるため、先頭車のドライバー操作に応じて加減速・操舵のみならずシフト・ウィンカーの操作を連動させ、走行中は速度に応じて車間距離が常に5~10mの範囲内に保てるよう制御する。

約80km/h、車間距離約9mの状態を保って本線上を走行する実験車両。側面には割り込みを抑止するグラフィックなどが描かれている

停車中に歩行者が割り込んだイメージ。電光掲示板に「割込危険」の文字が点滅表示される
先頭車両のドライバーは専用のモニターで隊列走行の状態を常に把握

また、各車両の後方には「割込危険」などと表示する電光掲示板、先頭車の室内には隊列各車の状況や車間距離、警告などを表示するモニターを設置。また各車両の後方と側面には追い越しや割り込みの危険性を知らせる注意書きやグラフィックを描いている。

テストコースで他車による割り込みを行った直後の様子。後続車は自動的にハザードランプを点灯し減速・停止する

それでも他車に割り込まれた場合、あるいは多重故障が発生した際は走行中は後続車が自動的に減速・停止し、停車中に歩行者が各車間に立ち入った場合は発進を抑止する「MRM(ミニマル・リスク・マヌーバー)モード」、故障が軽微な場合は本線上の速度を50km/hに落として走行する「縮退運転モード」をシステム内に実装している。

(左より)技術開発を担当する先進モビリティ社の青木啓二社長、経済産業省製造産業局自動車課ITS・自動走行推進室の植木健司室長、国土交通省自動車局技術・環境政策課の多田善隆・自動運転戦略官

3月5日に行われた記者会見の席で、国交省の多田善隆氏は「自動運転技術は交通事故削減、高齢者の移動手段確保、物流分野の生産性向上やトラックドライバーの不足等解決など、社会的課題の解決に大きくつながることが期待されている」と、同実証の意義を強調。




経産省の植木健司氏は「今回の技術実現は、政府の成長戦略を達成するとともに、物流事業者の燃費改善やドライバー不足・高齢化といった課題に対応する大きな成果だったと考えている。だが、他車に割り込まれ後続車が停止した後は自動的に走行し隊列に復帰する必要があるなど、商業化にはまだ課題がある」と評価した。




それを踏まえ植木氏は、「今後はレベル4自動運転トラックの実現に向け、新しいプロジェクトを2022年度に立ち上げるべく検討を進めている。また2021年度内に有人隊列走行、2023年度以降にその発展型、2025年度以降に無人隊列走行の商業化を実現することを目指す」と、今後の展望を述べている。

隊列走行を維持しながら浜松SA入口へ分岐する実験車両。後部には追い越し時の注意喚起が描かれている

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