国内でも発売予定のNEWモデル・ホンダGB350は、インドではH'ness(ハイネス)CB350の名称で大ヒット中。インドではCBなのに、日本ではなぜGB? その理由は、かつて国内発売されていた単気筒ロードスポーツ・GBシリーズに由来する。過去の国内GBシリーズは250、400、500の各排気量をラインナップ。ここではロングセラー(1983年モデルから1997年モデル)となった、排気量は249ccだけれど、来たるべきビッグシングルのNEWモデル・GB350の小さな兄貴分であるGB250クラブマンをクローズアップしてみた。
REPORT●北 秀昭(KITA Hideaki)
インドで超人気の「ハイネスCB350」が「GB350」として日本上陸!
国内では最先端を行くスポーツモデル「CB」ではなく、1960年代の伝統的でレトロなブリティッシュ「Great Britain(グレイト・ブリテン)」=GBという格付け
GB250クラブマンは、1960年代の伝統的でレトロなブリティッシュスポーツ調のスタイルを継承しつつ、空冷4ストローク単気筒DOHC249ccエンジンを搭載したロードスポーツモデル。
GB250クラブマンの“GB”の由来は、由緒ある英国の正式名称である「United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland(ユナイテッド・キングダム・オヴ・グレイト・ブリテン・アンド・ ノーザン・アイルランド)」の中の「Great Britain」の頭文字。具体的には、ホンダのブランドを世界に知らしめるきっかけとなった、「マン島TT(ツーリストトロフィー)レース」のイギリスにちなんでいるわけだ。
発売前、GB250クラブマンには、ホンダの4ストスポーツブランド「CB」の名称を与えられる動きもあったという。しかし同年5月、すでにGB250クラブマンと同エンジン・同フレームを採用したスポーツモデル・CBX250RSが先行デビュー。
エンジンやフレームは同じだが、両モデルを差別化させるため。また、懐古的なイメージの車両には、常に時代をリードしてきた先進的なCB(CB750F等々)という名称は国内的に相応しくない。その結果、GBという名称が与えられたとは有名なお話。
エンジンは空冷4スト単気筒DOHC。レトロなフォルムに、最新最新技術の「RFVCシステム」を採用
※注1:混合気を理想的に燃焼させるには、半球型の燃焼室であることが理想的と見解。そのためには、吸排気バルブを放射状に配置する必要があった。これを実現したのが、放射状4バルブ方式燃焼室としたRFVCシステムである。
前後18インチのスポークホイール&フロントディスクブレーキ
フレームは軽量・高剛性のセミダブルクレードルを採用(CBX250RSと基本設計は同じ)。前後ホイールはクラシカルなスポークタイプとし、タイヤは前90/90-18、後110/90-18の各サイズを選択。
フロントには優れた制動力を発揮する、デュアルピストンキャリバーの油圧式ディスクブレーキを採用。リヤはシンプルなドラム式を導入。フロントフォークはフォークブーツ付きの正立型、リヤはシンプルなツインショック型としている。
エンジンのヘッドカバーやクランクケースカバーなどに光沢をもたらすバフ仕上げや、サイドカバーのエンブレムに転写マークを使用するなど、細部に渡り、高級感溢れるデザインにアレンジ。
ビンテージカスタム感溢れる一文字型バーハンドルの採用や、後方に配置したステップを採用。最新のメカニズムと調和した、多様化した一台に仕上げられている。
レーサーレプリカブームの幕開けに登場しつつも、パワー至上主義の中で淘汰されることなく、1990年後半まで愛され続けたGB250クラブマン。その完成度の高さは現在でも評価されており、絶版後も根強い人気を獲得。コアなファン層も多く、程度の良い車両は新車価格を大きく上回る高値で取引されている。
SR400(399cc)の27馬力に対し、GB250クラブマン(249cc)は30馬力を発揮
DOHC 4バルブの最新技術「RFVCシステム」を投入したGB250クラブマンは、単気筒249ccながら、同じく単気筒のSR400(399cc)を凌ぐパワーを発揮した。
なお、GBシリーズはSR400やSR500の対抗馬として、1985年に空冷4スト単気筒SOHC 4バルブエンジン搭載の「GB400TT/GB400TTマーク2(399cc)」と「GB500TT(498cc)」がラインナップされた。各モデルのエンジンスペックは下記の通り。
【ホンダGB250クラブマン(初期型)】
エンジン:空冷4ストロークDOHC単気筒4バルブ
排気量:249cc
ボア×ストローク:Φ72.0mm×61.3mm
圧縮比:10.5
最高出力:30PS/9,500rpm
最大トルク:2.4kgf-m/8,000rpm
燃料タンク容量:17L
変速機形式:6速リターン
始動方式:セルフ式
【ホンダGB350(インド仕様のハイネスCB350)】
エンジン:空冷4ストロークSOHC単気筒4バルブ
排気量:348cc
ボア×ストローク:Φ70.0mm×90.519mm
圧縮比:10.5
最高出力:21PS/5,500rpm
最大トルク:3.05kgf-m/3,000rpm
燃料タンク容量:15L
変速機形式:5速リターン
始動方式:セルフ式
【ホンダGB400TT(初期型)】
エンジン:空冷4ストロークSOHC単気筒4バルブ
排気量:399cc
ボア×ストローク:Φ84.0mm×72.0mm
圧縮比:9.2
最高出力:34PS/7,500rpm
最大トルク:3.4kgf-m/6,000rpm
燃料タンク容量:17L
変速機形式:5速リターン
始動方式:セルフ式/キック式併用
【ホンダGB500TT(初期型)】
エンジン:空冷4ストロークSOHC単気筒4バルブ
排気量:498cc
ボア×ストローク:Φ92.0mm×75.0mm
圧縮比:8.9
最高出力:40PS/7,000rpm
最大トルク:4.2kgf-m/5,500rpm
燃料タンク容量:17L
変速機形式:5速リターン
始動方式:セルフ式/キック式併用
【ヤマハSR400(1982年式)】
エンジン:空冷4ストロークSOHC単気筒2バルブ
排気量:399cc
ボア×ストローク:Φ87.0mm×67.2mm
圧縮比:8.5
最高出力:27PS/7,000rpm
最大トルク:3.0kgf-m/6,500rpm
燃料タンク容量:12L
変速機形式:5速リターン
始動方式:キック式
【ヤマハSR500(1983年式)】
エンジン:空冷4ストロークSOHC単気筒2バルブ
排気量:499cc
ボア×ストローク:Φ87.0mm×84.0mm
圧縮比:8.3
最高出力:32PS/6,500rpm
最大トルク:3.7kgf-m/5,500rpm
燃料タンク容量:12L
変速機形式:5速リターン
始動方式:キック式
ホンダGB250クラブマン 歴代モデルをチェック!
キャブレターを2個連結で設置したデュアルインテークキャブレター方式から、低中速域での力強い躍動感を生み出す、大口径のシングルキャブレター(Φ38mm)に変更。マフラーは2本出しから、軽量化に寄与した1本出しにチェンジ。
セミダブルクレードルフレームはさらに剛性を高め、シートは足着き性を向上させた新デザインに変更(シート高755mm)。フロントディスクローターはΦ276mmに大径化。
クラッチ板の材質変更による操作感の向上、ヘッドライトに樹脂製レンズを採用して、ハンドル周りの重量を軽減、ハンドルパイプの絞り角をやや手前に変更して乗り易さを向上させるなど、細部に渡り熟成。
新型バックミラーや新形状のアルミ製ステップホルダー、グレー基調のメーターパネルなど、各部の高質感をいっそう向上させている。
バッテリー液の補水が不要な、小型軽量のMFバッテリーの採用。また、従来のキー付きヘルメットホルダーに加え、サブヘルメットホルダーを新設。使い易さを向上させた左右独立式の荷掛けフック、メインスタンド掛け時の操作性を向上させたリヤグリップも新採用。
フレーム、燃料タンク、サイドカバー、シートカウル、リアフォークに至る各部に、鮮やかなモンツァレッドを採用したスペシャルカラーモデル。
スポーティながらも、クロームメッキを施したチェンジ/ブレーキペダルや、前後輪の光沢を持たせたアルミリムなど、高質感を一層向上。
サイドカバーに立体エンブレム風のステッカーを採用。車体色は、明るいイメージのなかにも落ち着きのある、ストライプ部にグリーンを配色した「スパークリングシルバーメタリック×タスマニアグリーンメタリック」、タンクやカバー類にくわえフレームまで鮮やかな赤で統一し、ストライプ部に渋めのグレーを配色した「モンツァレッド×カラコルムグレーメタリック」の2色を設定。
燃料タンクに新パターンのツートーンカラーと、立体風のソリッドエンブレムを採用。前後フェンダーはスチール製のクロームメッキ仕上げとし、質感を大幅アップ。
リヤフェンダーは新たに伝統的なサイクル型とし、新形状のダブルシートやクロームメッキ仕上げの独立型テールライトブラケットの採用で、トラディショナルなイメージを一層際立たせている。
エンジンは今回、新たに増量したフライホイール・マスによって、中低速域でのトルク感を向上。単気筒らしい鼓動感が味わえるのもポイントだ。
新形状のコンチネンタルハンドルの採用で、単気筒ロードスポーツバイクに相応しい、しっくりとしたライディングポジションを実現。
伝統的なスタイルをより強調する、グリーンとアイボリーのツートーンカラーを新採用。また、現行色のブラックのタンクストライプとタンクエンブレのカラーを変更し、トラディショナルなイメージを高めている。
ホンダ GB250クラブマン 主要諸元(初期型)
型式 MC10
全長×全幅×全高(m) 2.015×0.640×1.035
軸距(m) 1.360
最低地上高(m) 0.175
シート高(m) 0.780
車両重量(kg) 145
乾燥重量(kg) 130
乗車定員(人) 2
燃費(km/L) 58(50km/h定地走行テスト値)
登坂能力(tanθ) 0.46(約25度)
最小回転半径(m) 2.3
エンジン型式 MC10E・空冷4サイクルDOHC4バルブ単気筒
総排気量(cm3) 249
内径×行程(mm) 72.0×61.3
圧縮比 10.5
最高出力(PS/rpm) 30/9,500
最大トルク(kg-m/rpm) 2.4/8,000
キャブレター型式 PH02
始動方式 セルフ式
点火方式 無接点式CDI
潤滑方式 圧送飛沫 併用式
潤滑油容量(L) 1.8
燃料タンク容量(L) 17
クラッチ形式 湿式多板コイルスプリング
変速機形式 常時噛合式6段リターン
変速比
1速 2.923
2速 2.000
3速 1.550
4速 1.304
5速 1.125
6速 1.000
減速比(1次/2次) 2.826/2.714
キャスター(度) 27°00′
トレール(mm) 98
タイヤサイズ 前 90/90-18 51S・後 110/90-18 61S
ブレーキ形式 前 油圧式ディスクブレーキ/後 機械式リーディングトレーリング
懸架方式 前 テレスコピック/後 スイングアーム
フレーム形式 セミダブルクレードル