
吉沢亮(31)の主演映画「国宝」(李相日監督)特大ヒット記念舞台あいさつが25日、東京・109シネマズプレミアム新宿で行われた。席上で、6月6日の初日から前日24日までの公開49日間で、興行収入(興収)71億7000万円、動員510万人を突破したと発表した。21日までの46日間で興行収入(興収)68億5464万9900円、動員486万5642人を記録していたが、興収70億円を超え、同100億円を狙えるとの見通しも合わせて発表。興行通信社調べで、今年の実写映画最高の興収であることも示された。
「国宝」は作家・吉田修一氏の同名小説の映画化作品。吉沢は仁俠(にんきょう)の一門に生まれながらも歌舞伎役者の家に引き取られ、芸の道に人生をささげた主人公・立花喜久雄の50年を、少年期を演じた黒川想矢(15)と演じ上げた。社会現象的大ヒットの感想を聞かれ、当初「公開から1年たって…」と口にしたが、司会から指摘され、笑いながら「1カ月たった今」と言い直した。その上で「もう、感謝しかないですし…。数字というのは正直、想像のつく範囲じゃない。感想をいただく熱量が、集中して見てくださったのが伝わるものを感じる、どの現場でも言われる。想像を超える広がりになったと実感する日々」と語った。李相日監督も「ただただ、皆さんのおかげです。感謝しかない。私たちも、ここまでの広がりになると考えていない。長く記憶に残る作品にしていただいたと実感する、今日この頃」と感謝した。
この日は、観客との質疑応答が行われた。その中で、吉沢はクランクアップの瞬間の思いについて言及。「達成感とも違うし、寂しさとも違う不思議な感覚。クランクアップの時、ひと言、二言言うんですけど、こんな、しどろもどろのあいさつは初めて。すごく複雑な感情だった」と振り返った。李監督「印象的でしたよ。撮影中、苦しいとか、しんどいとか、ほとんど言う人じゃない。(クランクアップで)安心なのか読み取れない…ずっと内に抱えながらの数カ月。急に終わりだから(役が)抜けることがない。スッと涙が落ちた…印象的な瞬間」と吉沢が涙したと明かした。
抗争で父を亡くした喜久雄を引き取る上方歌舞伎の名門の当主・花井半二郎を渡辺謙(65)半二郎の実の息子で、生まれながらに将来を約束された御曹司・大垣俊介を横浜流星(28)と、少年期を越山敬達(16)が演じた。吉沢は横浜と、歌舞伎俳優の中村鴈治郎(66)から1年半にわたって歌舞伎の指導を受けた。李監督が「(クランクアップ時に)先に撮影が終わった竜星も来た」と明かすと、吉沢は「1年半、僕らは稽古して積み重ねてきたんで。(横浜と交わした言葉は)何を言ったか、覚えていないんですけど『良い作品になると言いね』という感じの言葉を交わしたんだと思う」と振り返った。
この日は、主題歌「Luminance」原摩利彦feat.井口理を手がけたKing Gnu井口理(31)と原摩利彦(41)がサプライズで登壇した。吉沢は舞台あいさつの最後で「俳優の演技、カメラワーク、音楽…僕は3回、見ましたけど、総合芸術としてのレベルが高い」とかみしめるように口にした。
「国宝」は9月4日に開幕の第50回トロント映画祭(カナダ)の、世界各国の話題作を紹介するスペシャル・プレゼンテーション部門への出品が決まっている。