エンジン屋であるBMWと、エンジンに頓着しないPSAが手を携えてエンジンを仕立てる。「プリンス」のコードで知られる本機の成り立ちと特徴を解説しよう。
PSAとBMWが共同でエンジンを開発するというニュースはかつては驚きを持って迎えられたが、この1.4〜1.6ℓの直4エンジンは、見事に成功を収めたと言える。当初はエンジンを共用にして大丈夫なのか?という疑問の声もあったが、同じエンジンでもターボや制御味付けを変え、見事に住み分けを果たし、個々のキャラクターを薄めることなく優れたユニットとして受け入れられた。また、その量産効果は非常に高く、PSAにもBMWにも開発に回せる予算を作り出した。
PSAでの使われ方は、ミドルサイズからラージクラスまでと非常に幅広く、当初は2.0ℓクラスのダウンサイジングとみられていたが、結果的に3.0ℓクラスまでカバーすることに成功した。バリエーションは1.4ℓのEP3、1.6ℓのEP6、同ターボのEP6CDT/CDTXの実質三種。ボアは77mmで揃えられ、ストロークの大小で1.4ℓと1.6ℓを形成する。
BMWとその傘下のミニでは旧来のBMWエンジンの命名規則に則ってN13B16、N14B16、N18B16と呼ばれる。当初は1.4や自然吸気版も存在したが、2010年の変更で1.6のターボ過給バージョンに統一。過給圧バリエーションと、それに伴う圧縮比の違いで、様々な出力バージョンを作り分けることになった。ジアコーサ式の横置きで積むミニの場合は、前方排気/後方吸気となる。縦置きの1シリーズの場合は、それを反時計回りに90°向きを変えた形、すなわち右側吸気/左側排気となる。これは従来のBMWエンジンと吸排気が逆である。