35年以上の業界歴を持つ、自動車ジャーナリストの諸星陽一さんが選んだ「運転が楽しいクルマ」は、マツダ・サバンナRX-7、ユーノス・ロードスター、ホンダ・シビック タイプRの3台。特にFC3Sは、富士スピードウェイの最終コーナーを立ち上がったときの快音と加速感が記憶に鮮明に残っているという。
TEXT●諸星陽一(MOROHOSHI Yoichi)
1台目:マツダ・サバンナRX-7(FC3S型)「富士フレッシュマンレースの相棒」
運転が楽しいという条件をどこにおくか?は難しいのですが、あくまでも自分の勝手な思い込みだけで話を進めていっていいというので、勝手に進めていきます。
まず、忘れられないのがマツダのサバンナRX-7(FC3S)です。FC3Sは1985年のデビューで、ほぼ私の業界デビューと同じです...ということはもう35年以上もこの関係の仕事しているんだ...とびっくりする次第です。
FC3Sが楽しいと感じているのは、このクルマでレースをやっていたからです。レースといっても富士フレッシュマンレース(のちに富士チャンピオンレース)ですから、改造範囲も狭くほぼノーマルでした。すべてノーマルパーツですが、かつてマツダのCカーのエンジンを組んでいた匠が組み上げた13B型ロータリーは過給圧0.6kg/cm2で280ps程度を出していました。
富士スピードウェイの最終コーナー、アウト側のタイヤバリアに向かってステアリングを修正しながらフルストットル、ロータリーターボからわき上がるトルクにのって「シューン」という音が伴う加速は快感にあふれるものでした。
2台目:ユーノス・ロードスター「FRのハンドリングの楽しさを教えてくれた」
大パワーエンジンの気持ちよさを教えてくれたRX-7とは真逆、ハンドリングを楽しむことを教えてくれたのが同じマツダのユーノス・ロードスターでした。
ユーノス・ロードスターはRX-7でレースをする前に、乗用車として購入したものでしたが、FRのハンドリングの楽しさを教えてくれた貴重なクルマでした。このロードスターは一度も触ることなく、プロモーションビデオを見ただけで注文しました。
最初はとても大事に乗っていたのですが、走り出すと楽しいじゃないですか。そのうちジムカーナ場に持ち込んだりして、攻めに攻めて楽しみ尽くしました。パイロンにどれだけ寄せられるか?を練習したりしたので左右ともフロントフェンダーは傷だらけで、パイロンの樹脂がへばりついたりしていました。
3台目:ホンダ・シビック タイプR(EK9型もしくはEP3型)「FFでもこんなに楽しく軽快に走れるなんて!」
さて、最後の1台なのですが、これがどこのクルマでどんな仕様だったかよく覚えていないのですが、車種はシビックタイプRです。3ドアハッチだったので、初代のEK9か、2代目のEP3です。ジムカーナ選手の競技用マシンでした。ナンバーはついていたはずです。
最初乗ったら、まるで乗れない。どうやっていいのかわからなかったのですが、ちょっと教えてもらったらやたらと乗りやすい。クルマはFRでないと面白くないと思っていた自分に、FFでもカッチリ作るとここまで楽しく軽快に走れるのだと感動した記憶があります。
最後に付け加えておきたいのですが、楽しくないクルマなんてありません。どんなクルマも乗ってみるとそのクルマなりの楽しさってあるものです。そこを上手にみつけてあげると、クルマライフはホントに楽しくなります。
『最高に運転が楽しいクルマ・ベスト3』は毎日更新です!
クルマ好きにとって、クルマ選びの際に大きな基準となるのは、
「運転が楽しいかどうか」ではないでしょうか。
とはいえ、何をもって運転が楽しいと思うかは、人それぞれ。「とにかく速い」「速くないけど、エンジンが気持ち良い」「足周りが絶品」などなど、運転を楽しく感じさせる要素は様々です。
本企画では、自動車評論家・業界関係者の方々に、これまで試乗したクルマの中から「運転が楽しかった!」と思うクルマのベスト3を挙げてもらいます。
どんなクルマが楽しかったか。なぜ楽しいと感じたのか。それぞれの見解をご堪能ください。
明日の更新もお楽しみに!