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「なんでこんないいクルマが日本で普通に買えないんだ!?」
そのブランドのファンや関係者ならずとも、そう憤慨したくなるような日本未導入モデルは、グローバル化がこれだけ進んだ今なお、数え切れないほど存在する。
そんな、日本市場でも売れるorクルマ好きに喜ばれそうなのになぜか日本では正規販売されていないクルマの魅力を紹介し、メーカーに日本導入のラブコールを送る当企画。今回は、ホンダが北米で開発・生産・販売するミッドサイズピックアップトラック「リッジライン」を紹介したい。
TEXT●遠藤正賢(ENDO Masakatsu) PHOTO●本田技研工業
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高い耐久性と様々なボディ形態への対応しやすさが求められるピックアップトラックは、大半の車種がラダーフレームとアッパーボディを別体化しているが、2005年に初代モデルが北米で発売されたホンダ・リッジラインは数少ない例外。現行モデルの二代目を含め、閉断面のラダーフレームをモノコックのアッパーボディに統合したボディ構造を採用している。
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また、横置きの3.5L V6エンジンで前輪を駆動するパワートレーンをベースに、電子制御4WD「VTM-4」(二代目は「i-VTM4」。前期型にはFF車の設定もあり)を採用。サスペンションはフロントがストラット式、リヤがマルチリンク式の四輪独立懸架というのも、ピックアップトラックらしからぬ、むしろ乗用車的なメカニズムだ。
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なお、リッジラインはその後2016年にフルモデルチェンジされ、内外装の質感が大幅にアップ。2021年モデルではフェイスリフトが行われ、初代に近いスクエアなフロントマスクに先祖返りしている。
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そんなリッジラインがピックアップトラックながら乗用車的なメカニズムを採用するのは、初代オデッセイ(日本仕様)とほぼ同様だったと思われる。リッジラインがホンダ初のピックアップトラックだったため、このカテゴリーに対する知見に乏しく、開発コストや生産設備に関する制約も大きかったことだろう。実際にリッジラインはメカニズムの多くをMDXやパイロット、オデッセイ(北米仕様)と共用している。
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だが、これまた初代オデッセイと同様に、そうした制約をむしろ強みとするのがホンダらしい所。リッジラインが持つ競合他車にはないアドバンテージは、スペース効率の良いモノコックボディを利した室内と荷台の広さ、そして乗用車ライクなハンドリングと乗り心地だ。
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とりわけ積載能力は高く、容量960L・最大積載量684~718kgを確保した荷台の床下には防水仕様で施錠も可能な206Lの「インベッド・トランク」も実装。後ろあおりは縦にも横にも開ける「デュアル・アクション・テールゲート」を採用し、積み下ろしを容易にしている。
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また後席はフィットに近い、座面に格納可能なロック機構付きパイプを備えた構造で、後席使用時でも82Lの収納スペースがあり、チップアップすればマウンテンバイクも積載可能だ。
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一方、ピックアップトラックとしてはけん引能力が低く、初代・二代目とも2268kgに留まる。だが日本では、普通免許でけん引できる車両総重量が750kg以下に制限されているので、この弱点が問題になることはまずないだろう。むしろそれとのトレードオフで得られるメリットの方が、日常では遥かに大きいはずだ。
かつては日本でも隆盛を誇っていたピックアップトラックだが、今や正規販売されているのは、リッジラインと同クラスのトヨタ・ハイラックスのみという状態。ピックアップトラックをファッションとして楽しみたい層、あるいは多くの荷物を積んで使い倒したいヘビーユーザーのためにも、ぜひリッジラインの日本導入を!
■ホンダ・リッジラインRTL-E(F-AWD)*北米仕様
全長×全幅×全高:5339×1996×1798mm
ホイールベース:3180mm
車両重量:2045kg
エンジン形式:V型6気筒SOHC
総排気量:3471cc
最高出力:206kW(280ps)/6000rpm
最大トルク:355Nm/4700rpm
トランスミッション:9速AT
サスペンション形式 前/後:ストラット/マルチリンク
ブレーキ 前/後:ベンチレーテッドディスク/ディスク
タイヤサイズ 前後:245/60R18 105H
乗車定員:5名
車両価格:4万2420ドル(約440万円)
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