エンジンにハーネスやワイヤーを接続してフロントフォークを戻す前にハンドルを清掃した。もうこれでフォークを車体に戻せるはず!と思って作業を進めようとしたが、フォークがあまりに汚くてそれどころじゃなかった。
前回からの続きで、フロントフォークを戻す前にハンドルカバーにハンドルバーを戻しておこう。前回は清掃だけだったが、清掃と潤滑を怠ると組み上がったあとでハンドル操作に違和感を覚えることになる。その前にしっかりメンテしてあげるのだ。
アクセル側のハンドルバーは外してあったので、まずはハンドルバー本体を清掃する。表面に軽くサビが出ているので、ピカールなどで軽く磨いて仕上げておいた。またハンドルバーを固定するクランプやワッシャー、ワイヤー受け部品も清掃する。特にワイヤー受けのワイヤーが入る溝は汚れを落としておきたい。
続いてハンドルカバーの受け側も清掃する。ハンドルバーが入る筒の内部にも汚れがあるので、ここを入念に清掃してハンドルバーが軽く回るようにしておくのだ。
清掃できたらハンドルカバーにハンドルバーを差し入れてみよう。この状態でハンドルバーをクルクル回してみる。違和感やザラつきがあったら、またハンドルバーを外して清掃のやり直しだ。何度か繰り返せばハンドルバーは軽く回るようになるはず。そこでハンドルバーとカバーの受け側が当たる部分に薄くグリスを塗布しておく。
ベスパのハンドルバーはワッシャーが数枚使われている。特にP125Xより小さなスモールボディはP系の倍ほどもあるので、どのワッシャーがどこに入るか把握しておかないと大変なことになる。P125Xにはワイヤー受けに2枚ずつ入っているだけだ。軽くワイヤー受けを押し付けてクランプの入る穴を合わせて固定する。
ハンドルバーを組んだら、いよいよフロントフォークを車体に戻そう。そう思ってフォークベアリングの受けになるレース部を見てみると……。もう悲惨なことになっていた。古いグリスが汚れを吸い取ったまた固形化しているではないか。おまけに部分的にサビまで浮き出ている。ダメだ、こりゃ。
というわけで地面に座り込み、これまた清掃の続きになってしまった。固形化した古いグリスはマイナスドライバーを使ってレースを傷つけないよう、慎重にこそぎ落としていく。固形化したものが取れたら、パーツクリーナーで数回ほど汚れを落としておく。書くと簡単だが、この作業に30分はかかっただろうか。いやぁ、腰が痛い。
ようやくフロントフォークの登場だ。もう疲れた……が、そうも言っていられない。長いこと物置で眠っていたフォークを引っ張り出すのだが、フォークは鉄だしフロントフェンダーも鉄製。おまけにブレーキをつけたままだから、まぁ重い。先ほどまでの作業で酷使した腰を労わりながら運ぼう。
このままフロントフォークを車体に戻してはいけない。ベアリング受けのレースがあれだけ酷い状態だったので、当然ベアリング自体もダメだろう。早速、ベアリングを抜いてフォークを清掃しよう。