ボディの内部にハーネスやホース、ワイヤーを収めてスッキリしたルックスが特徴のベスパP125X。それでも一部露出しているため前回は一部配線を作り直すことになった。残りはメインハーネスの接続と燃料ホースと交換作業でエンジンまわりの作業はひとまず完了だ。そこで今回はフロントフォークを戻す準備まで進めてみた。
前回の作業から時間が空いてしまったが、寒さに負けたのではなく珍しく仕事が立て込んでしまったから。ようやく作業する時間ができたので、もうチャッチャとエンジンまわりを完了したい。前回は点火コイルのハーネスを作ったが、今回はいよいよエンジンから出ているハーネスをメインハーネスと接続しよう。
と、改めて確認すると点火コイルほどではないが、ここkも傷んで元の皮膜色が判明しないほどになっていた。この配線はフライホイールの内部にある発電コイル(P125X初期型はバッテリーレス)から伸びていて、根元から配線を補修するとなるとフライホイールを外さなければならない。ただ、配線の奥を見ると皮膜は生きている。ということで安直だがビニールテープで補修しておくことにした。
ビニールテープ巻きにした配線は点火コイルからの配線とともに専用のプラスチック製ケースに収納する。ちなみに写真だとケース内側でビスを固定しているが、これは間違い。本来はケースの外側から留めるものだから、また外して留め直した。
ボディから伸びるメインハーネスと接続してからケースに収納するのだが、ここでまたも要注意。メインハーネスと点火コイルから伸びるプラグコードはゴムバンドに通してエンジンカバーに固定する。チャッチャと配線をつなげたもののゴムバンドに通すことを忘れていた。ということで何度も作業をやり直すことになってしまった。
ハーネスを接続したらエンジンまわりは完了だ!と喜ぶのも束の間、燃料ホースをつなげ忘れていた……。ということでせっかくかぶせたエンジンカバーを外してホースをボディに通す。と、以前にバラしていた時にも感じたのだが、この燃料ホースはすでにカチカチに硬化している。ストーブで温めながら格闘すること1時間。ボディには通ったもののキャブレターが収まるケースに全然入ってくれない。ようやく通ったかと思うものの、今度はキャブ側の突起にホースが硬くて差し込めない。もう泣きっ面にハチである。
ここでこの日の作業続行は断念した。燃料ホースを新調してから進めよう。
P125Xの燃料ホースは内径7mmで外径14mm。ところが同サイズのものがなかなか見つからない。ベスパのパーツをよく買っている専門店でも在庫がない。ということで内径が同じながら外径が少し細いものを選んだ。できれば半透明で燃料が来ているか見えるタイプが良かったのだが、これしか見つからなかった。
またホースがボディ内部へ入る穴には専用のゴムパーツが付く。これで隙間を埋めるのだが、このゴムパーツが一部割れてしまった。とはいえ原型は残っているので、瞬間接着剤でつなぎ合わせておく。いつまで保つか微妙だが……。
新しい燃料ホースは弾力たっぷりで曲げることも造作ない。これで作業がはかどるというもの。前回1時間も格闘した古いホースを通す作業はあっという間に終了。ただ、キャブレターのホース差し込み口はそのままだと作業しづらい。そこで先端だけ外してホースに接続するとラクだ。また元のホースバンドは新調したホースが若干細いので使えない。汎用のバンドで固定しよう。
燃料ホースが柔らかいので、ボディに通してもシリンダーに干渉してしまう。これでは熱によりホースが破れてしまいそう。だが、エンジンにつく空冷カバーを装着すると、ホースが直接シリンダーに干渉しないと判明した。これでひと安心。
ハーネスやホースがつながり、エンジンカバーをつけた姿はもうすぐにでも動きそうになった。では、この後はフロントフォークを装着する準備を進めたい。というのも、バラしたときから感じていたのだがハンドル内部の汚れが凄まじいのだ。どうしたらここまで汚れるのかと思うくらいで、その理由はハンドルバーやワイヤーに使うグリスが長年の操作で飛び散り、そこにホコリなどが付着するのだろう。ということでフロントフォークを戻す前にハンドル内部の清掃をしておこう。
ハンドル内に堆積した汚れは厚みが1mm以上もありそうだ。そのままパーツクリーナーをスプレーしてもいいが、何本使うことになるかわからない。ということで、まずはスクレーパー片手に地道な作業から始めよう。ただ、あまり力を入れるとハンドルカバーは樹脂製なので削ってしまうかもしれない。大胆かつ慎重に汚れを落とそう。
スクレーパーで大雑把に汚れを落としたら、残りはパーツクリーナーで仕上げよう。ハンドル内で特に汚れを落としたいのが、ハンドルバーの受け部分。ベスパはアクセルだけでなくシフトチェンジもハンドルバーで行うため、ここが汚れたままだとシフトフィーリングが悪化する。ということでバーを抜き差ししつつ、バー自体からも汚れを落とす。もちろん、バーに付くプラスチック製のワイヤー受けもキレイにしておく。ここが汚いとワイヤー切れの原因にもなるのだ。
続いてハンドルの下にあるフォークベアリングを受けるレース部分もキレイにしよう。おそらく一度もベアリングを交換したことがなかったようで、レース表面に汚れとサビがみられた。ピカールを併用して仕上げておいた。