センタースタンドに続きリヤサスペンションまで新調することになった我がベスパP125X。お財布に優しく直していくはずが、相手は齢42歳だから仕方ない。では早速、エンジンをボディに戻してみよう!
センタースタンドを取り付けリヤブレーキの清掃とワイヤー交換を続けてきた。でもリヤサスペンションが限界を迎えていると判断したため、前回の作業終了後に新品のサスペンションを手配した。すぐにでもエンジンを新品サスペンションで吊りたいところだが、急いではいけない。エンジンを戻す前にできることはしておこう。
前にも紹介したがベスパはワイヤー類を露出させない構造。ゆえにワイヤーを交換するのがひと苦労で、できることならエンジンや足回りがないうちに済ませておきたいのだ。一番のネックはシフトワイヤー。ハンドチェンジのベスパには2本が採用され、シフトユニットを押し引きしてチェンジするからワイヤーの中でも使用頻度が高い。つまりよく切れるしアウター側もボロボロになる。だったらアウターごと新品に交換してしまうのがベストなのだ。
アウターごとワイヤーを交換するといっても、古いワイヤーをそのまま抜いてはいけない。というのもボディの中を曲がりくねって通っているから、新しいワイヤーを通そうと思っても簡単にはいかなくなるのだ。
まずはハンドル側にある樹脂製のサポートを外してアウターごとワイヤーを引き出す。ハンドルをネックから抜いてあげれば、アウターはボディから露出してくれるのだ。
アウターを露出させたら古いアウター内部へ針金を通す。その針金を新しいアウターに通して連結させたら抜け留めをして古いアウターを引き抜くのだ。書くだけなら簡単だがボディ内部で曲がっているワイヤーを抜くには何度か押し引きしないといけないし、針金を入れるのも同様。これが結構、時間のかかる作業になるのだ。
古いアウターに針金を通したら、新しいアウターからインナーワイヤーを引き出しておく。インナーを抜いた新品アウターに古いアウターから出てきた針金を通していこう。交換するアウターを伸ばしておけばスンナリ針金が入るはずだ。新品アウターの反対側から針金が出てきたら抜けないよう針金を折り曲げておく。この状態で古いアウターを引き抜けば、新しいアウターが無事にボディ内を通ってくれるのだ。
こうして紹介すると簡単なように思えるが、これがまぁ大変だった。ここまでするのに2時間はかかっただろうか……。というのも新品ワイヤーは2本が金具で連結させている。ボディの中へ通していたら、2本のワイヤー間にクラッチワイヤーが引っかかっり、金具に当たって動かなくなってしまったのだ。だから古いアウターを何度引いても抜けてくれない状態。
どうしたかといえば装着したリヤブレーキをもう一度取り外し。フロア内のワイヤーを押し引きしてみた。それでもダメで、結局クラッチワイヤーをブレーキ穴から抜くことになった。そりゃ時間だってかかるはずだ。
シフトワイヤーを交換するのに時間がかかり体力も消耗した。その日は続きの作業をする気にならず、別の日に持ち越すことになってしまった。すると年末になりアレコレと用事もあるし大掃除もしたい。ということで時間が空いてしまったが、ようやくリヤサスペンションを交換してエンジンをボディに戻す作業に移れた。
リヤサスペンションはイタリア・carbone製の純正同等品で税別6600円也。ただ、どうせ交換するならブッシュも新品にしたい。ということでブッシュとリンクボルトも新品を購入した。P125Xのリヤサスペンションはボディの裏側とエンジンの2カ所で固定する。エンジン側は見えるのでラクだが、ボディ側は狭いうえに見えづらい。そこでまずブッシュにリンクボルトを連結してボディに装着してしまうとラクだと考えた。
こうしておくとリヤサスペンションをクルクル回してリンクボルトへ装着すればいいだけだ。これでようやくエンジンをボディへ戻せる。ということで何度か試してみたが、どうにもリヤサスペンションが邪魔でエンジンがちょうどいい位置になってくれない。エンジンをボディへ連結させるシャフト(長いアクスルシャフトのようなもの)を通せないのだ。これは困ったということで一度外して作業することにした。
邪魔なリヤサスペンションを外すと、なんとかエンジンは具合の良い位置になってくれた。続いてスタンドを立てリヤフェンダーにウマを当てる。これで不安なく自立してくれた。ここへエンジンを載せた台車を移動させ、前側を持ち上げてシャフトを通す。ただ、125ccとはいえエンジンは重い。片手でエンジンの前側を押し上げつつシャフトを通すなんて、到底無理だ。
ということでジャッキに登場願おう。小さなパンタジャッキで十分なのだが、なぜか見当たらず仕方なしに4輪に使うガレージジャッキで持ち上げていく。これも位置決めが難しく何度かトライしなければならなかった。ワイヤーの間にあるシルバーのシャフトが見えるだろうか。こうしてシャフトを押し込むのだ。
何事も試行錯誤は付き物で、まして情報が少ないベスパの場合は臨機応変にその場で対処しなければ作業はスムーズに進まない。今回エンジンをボディに戻す作業ではリヤサスペンションを付けたり外したりといった無駄な作業をしたため、作業時間は3時間近くにもなった。以前にスモールベスパでエンジンを載せ換えた経験が全然生かせず、自分の未熟さを痛感した。まぁ、初めての車体だとこんなものだろうと自分を納得させた。
無事にエンジンは戻ったが、ここから各種ワイヤーやホース類、ハーネスの接続に時間がかかりそう。というわけで新年もあ〜だこ〜だいいながら作業していこう!