森口将之さんが選んだ「美しすぎるクルマ」は、すべてご自身が所有経験のあるものばかり。その中でも第1位に輝いたのは、ルノー・アヴァンタイム。「独創」という言葉を体現したかのような車だが、最初は疑問だらけのデザインに感じたと森口さんはいう。



TEXT●森口将之(MORIGUCHI Masayuki)

第3位:シトロエンCX

1974年にデビューし、翌年の欧州カー・オブ・ザ・イヤーを受賞したシトロエンCX。デザイナーのロバート・オプロンはCXのほか、SMやGS、ルノー25なども手がけた。

愛車のほとんどをデザイン重視で選んできたので、今回はすべて車歴の中から選んでいく。



まず3位はシトロエンCX。美しいシトロエンと言うとDSを思い浮かべる人も多いだろうけれど、素直にきれいなプロポーションなのはCXのほうだと感じているし、ボビンメーターやサテライトスイッチを使ったアヴァンギャルドなインテリアも前衛芸術っぽくて、個人的にはこちらを選びたい。



CXにはロングホイールベースのプレステージュや3列シートのファミリアールなどもあるが、美しさで選べばやっぱりオリジナルデザインのベルリーヌ。ただ自分のもとにあったCXは半分ぐらい工場に入っていて満足に乗れなかったので、機会があれば再チャレンジしてみたいと思っている。

「CX」は空気抵抗係数のことを示す。その名の通り、シトロエンCXの空力性能は優秀で、空気抵抗係数は0.36と当時としては秀逸な数字だった。

両手でハンドルを握ったまま操作が可能なようスイッチ類をメータークラスターに集中配置したり、針ではなく数字が記されたドラムが動くボビンメーターなど、インテリアも個性の塊だ。

第2位:マセラティ3200GT

1998年にパリで発表されたマセラティ3200GT。ジョルジェット・ジウジアーロのデザインで、リヤビューのブーメラン型テールライトは、市販車として初めてLEDを採用していた。

イタリア車もモーターサイクルを含めて10台近く乗ってきた。その中でもいまなお素晴らしいデザインとして思い出すのはマセラティの3200 GT。



ジョルジェット・ジウジアーロ率いるイタルデザインが描いたエクステリアは、マセラティの伝統を随所に取り入れつつ前衛的なブーメランテールを取り入れていて、自分のクルマなのに見とれていた。



エンリコ・フミアが描いたインテリアもまた、グリルの造形を反映したインパネなど見どころたっぷり。レザーの色合いもフェラーリやアルファ・ロメオより渋めで自分好みだった。それでいてリアシートにも大人が座れるパッケージングにも感心したものだった。

3200GTのインテリア。ダッシュ中央には、マセラティでお約束のアーモンド型の時計が備わる。

こちらは後継車のマセラティ・クーペをスポーティにモディファイしたグランスポーツ。3200GTのフロントの写真が手に入りませんでした...申し訳ありません。

第1位:ルノー・アヴァンタイム

2002年に日本での発売が開始されたルノー・アヴァンタイム(当時の価格は500万円)。マトラ社が設計・開発を担当し、デザインはパトルック・ルケマンが手がけた。ルケマンは他にトゥインゴ(初代)やメガーヌ(1-3代目)をデザインした。

最初にこのクルマを写真で見たとき、誰が何のために乗るクルマなのかさっぱりわからなかった。でもその後、それなら買って確かめてみようという気持ちになり購入。あれから15年以上が経ってしまった。



乗り換えるクルマがないという理由もあるけれど、いつまでも飽きのこないデザインであることも大きい。エクステリアもインテリアも、面や線のつながりなどが本当に考え抜かれていて、ミニバンクーペという前代未聞のパッケージングを魅力的な移動体に仕立て上げた技量には今も感心する。



現在の所有車をトップにランキングするかどうかは迷ったけれど、デザインには独創性や革新性が大切と考える自分にとって、これを超えるカーデザインは存在しないというのも事実なのだ。

約1.4mものロングドアはダブルヒンジを採用し、ドアは一度外側に出てから開くという凝った仕組み。

情報提供元:MotorFan
記事名:「 【美しすぎるクルマ・ベスト3(森口将之)】前代未聞の移動体。「ルノー・アヴァンタイム」を超えるカーデザインは存在しない