電動駆動を得意とする三菱自動車。世界初の4WDプラグインハイブリッドSUVとする「アウトランダーPHEV」では、同社らしい非常にユニークなメカニズムを搭載している。その原型となったMitsubishi Concept PX-MiEVの機械構成を振り返ってみる。
2009年の東京モーターショーで世界初出展。PXはPlug-in hybrid, (X)cross-overの意味、MiEVとはMitsubishi innovative Electric Vehicleの接頭語。EVでの走行頻度を大幅に拡大した新開発「三菱プラグインハイブリッドシステム」を搭載し、50km/ℓ以上の超低燃費を実現した。また、差動モーターを用いて後輪左右のトルクを移動するE-AYC(Electric powered Active Yaw Control)を新たに採用した新開発S-AWC(Super All Wheel Control)を搭載することで、高い環境性能と走行性能を両立させた新世代クロスオーバーのコンセプトカーである。また、乗員に快適な室内環境を提供する"cocochi(ここち)-インテリア"や最新の安全対応技術など数多く搭載した。
三菱は「シリーズ・パラレル方式ハイブリッド」と呼んでいるが、実質的にはシリーズハイブリッドと考えれば理解が早まる。システムの構成は複雑だ。フロントに1.6ℓのガソリンエンジン(最高出力85kW/115ps)とセットになった発電機(発電量70kW)、クラッチ、トランスミッションを搭載。駆動用モーター(最高出力60kW、最大トルク200Nm)を前後に1基ずつと、それぞれの制御用インバーターを搭載する。多彩な走行モードを持つが、エンジン出力を駆動に用いるのは、高速道路の一定速走行など、発電より効率が高くなる範囲だけ。あとは発電用に作動すると理解すればいい。制御担当エンジニア氏も「基本はEVなので、意外と単純な制御で十分に対応できた」とコメントしていた。
ご覧のとおり、その後「アウトランダーPHEV」として結実する。エンジンは2.0ℓに改められ(その後マイナーチェンジで2.4ℓへ換装)、モーターは60kW/137Nm(フロント)/195Nm(リヤ)とされた。