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"S"の称号は伊達ではない。滑らかな身のこなしは、さすがフラッグシップ【メルセデス・べンツGLS試乗】


メルセデス・ベンツSUV軍団の中で大将に位置づけられるのがGLSクラスだ。全長は5mを優に上回り、全幅も2mを超える巨艦の存在感は圧倒的。日本のSUVでは決して味わうことのできないラグジュアリーの世界がここにはある。




TEXT●安藤眞(ANDO Makoto) PHOTO●MotorFan.jp

大人7名を飲み込む全長5.2mのラグジュアリーSUV

“A”から“S”まで5つのカテゴリーを網羅するGLシリーズの頂点に君臨するのが、GLSクラス。19年にフルモデルチェンジされたX167型が、今年の3月、日本市場にもやってきた。




日本に上陸したのは、3.0L直列6気筒ターボディーゼルエンジンを搭載するGLS 400d 4MATICと、4.0LV型8気筒ガソリンツインターボエンジンを搭載するGLS 580 4MATIC スポーツの2種類。今回、試乗させていただいたのは、前者にオプションの“AMGライン”が装着されたクルマだ。

そびえ立つようなボディは、全長5220mm×全幅2030mm×全高1820mmという巨体。これは乗り降りする段階から手強そうだ。




と思ったのだが、サイドシル高は約500mmと、一般的なSUVより50mm高い程度。身長181cmの僕ならば、サイドステップの助けがなくても乗り降りできる。ただしサイドシル幅が210mmもあり、その外側にサイドステップがはみ出しているので、降車時にはむしろステップが邪魔に感じる。




ちなみにサスペンションはエアスプリング式なので、車高調整が可能。必要なら乗降時には車高を30mm下げることができる。

八角形の大型ラジエターグリルと極太の二連ルーバーが並々ならぬ威圧感を発揮するGLSのフロントマスク。

リヤビューは比較的オーソドックスだが、ボディ下部のクロームメッキ仕上げのアンダーガードが目を引く。

GLSのスリーサイズは全長5220mm×全幅2030mm×全高1820mm。ちなみに、トヨタ・ランドクルーザーのスリーサイズは全長4950mm×全幅1980mm×全高1870mm。GLSの方がランクルよりも27cm長く、5cm幅広い。

こちらは先代のGLSクラス。2013年の登場時はGLクラスを名乗っていたが、2016年のマイナーチェンジを機にGLSクラスに改称された。

内装のレイアウトやデザインは、1セグメント下のGLEと共通。トリムのカラーが異なるため、GLSのほうが上級感はあるが、飛び抜けて特別な感じはしない。GLEで同じエンジンを積む400d 4MATIC スポーツの価格差は140万円弱なので、それほど差別性を出せないのはやむないところかも知れないが、“S”を神格化してしまう60年代生まれには、ちょっと寂しい感もある。




2列目席に座ってみると、ヒザの前には140mmぐらいの余裕がある(シートスライドはいちばん前)。ボディサイズからすると驚くような広さはないが、これ以上広くても前席との会話がしにくくなるだけだろう。




3列目への乗り込みは、2列目のウォークイン機構を使用することになる。なんとこれも電動式で、高いクルマは違うなぁ、と感心するより、動作速度が遅いのが気になった。特に戻す際にはスイッチを押し続ける必要があり、3列目に座ってしまうと手が届かない。安全性からは好ましいけれど、手動式でも良かったのではないか。




3列目の着座空間は僕にはギリギリ。2列目をいちばん前に出しても、ヒザ前の余裕はゼロで、頭上は手のひらの厚いところ1枚分(約40mm)。ヒール段差がそこそこあるので“体育座り”にはならないとはいえ、背もたれのサイズも小さく、快適に座れる身長は165cmぐらいまでといった感じだ。

12.3インチのディスプレイを二つ並べ、1枚のガラスカバーで融合したインパネ。

シートヒーター&ベンチレーションを装備する1列目シート。インテリアカラーは4色から選べる。

2列目シートはヒーター&電動調整機構付き。独立して空調調整を行えるスイッチも備わる。

3列目にもシートヒーターが備わるあたりはさすがGLS。

先代よりホイールベースは60mm長くなったが、3列目の空間は大人が乗るには広くない。乗員の身長は181cm。
3列目への乗り降りの際は電動で2列目背もたれを前倒しするが、アクロバチックな体勢が必要。
GLSの荷室は、3列目シート使用時でも355Lの容量を確保している。

2列目シートの背もたれは4:2:4分割で格納可能。この状態で荷室容量は1350L、ゴルフバッグが4つ積載可能。なお、2列目も格納すると、荷室容量は2400Lに。
2列目・3列目の格納は電動式。また、荷物の積み下ろし時には、スイッチ操作でリヤの車高を50mm下げることもできる。

頼もしい3.0L直6ディーゼルターボ。必要十分なトルクで巨体を引っ張る

では、走ってみたらどうか。




駐車場を出て、西湘バイパスの導入路で一時停止してから発進。「一時停止しないほうが安全ではないのか?」と思うような環境なのだが、むしろ発進のトルク応答をチェックするには良いシチュエーションだ。




GLS400dの心臓であるOM656型エンジンは、そんな場面でも遅れることなく強大なトルクを発生する。ターボチャージャーは大小2個をリレーして使用する2ステージ方式で、低負荷域で使う小ターボは可変ジオメトリーにするなど、考え得るターボラグ対策はすべて搭載。2570kgのボディに3.0Lでは無過給域のトルクがどうか? と心配だったが、まったくの杞憂。どんな速度でもモリモリとトルクが湧いてくる。

実際に乗ってみると、超ヘビー級であることを感じさせない。ディーゼルエンジンとの相性も良く、加速時にストレスを感じさせない。

GLS 400d 4MATICは、3.0L直6ディーゼルターボ(330ps&700Nm)を搭載。4MATICは、前後100-0%〜0-100%でトルク配分を連続可変で制御する。

コンフォートモードの乗り心地はゆったりとソフトで、まるで船に乗っているかのよう。ベンツの“S”らしい優雅な乗り心地だ。西湘バイパスのジョイント通過ではバウンシングの揺れが残りがちだが、クルマのイメージとしては違和感はない。スポーツモードに入れれば収まりは良くなるものの、少し硬さが出て「らしさ」が薄れる。

新型GLSはエアサスが標準。走行状況に応じて、減衰特性をリアルタイムにアジャストしてくれる。好みで「Comfort」「ECO」「Sport」のドライブモードを切り替えることもできる。

ならば操安性はおっとりかと言うと、決してそんなことはない。「軽快」とは言えないものの、車高や車重を感じさせない操舵応答性や滑らかな身のこなしは、さすがベンツといった趣だ。




もっとも元気な運転をするほどに、まわりに与える威圧感が増してくるから、やはり優雅に走ったほうが似合う。GLでも“S”はSらしく乗りたい。

メルセデス・ベンツGLS 400d 4MATIC


※[ ]はAMGライン装着車




■ボディサイズ


全長×全幅×全高:5210×1955×1825mm[5220×2030×1825mm]


ホイールベース:3135mm


車両重量:2540kg[2570kg]


乗車定員:7名


最小回転半径:5.8m


燃料タンク容量:90L(軽油)




■エンジン


型式:656


形式:水冷直列6気筒DOHCディーゼルターボ


排気量:2924cc


ボア×ストローク:82.0×92.3mm


圧縮比:15.5


最高出力:243kW(330ps)/3600-4200rpm


最大トルク:700Nm/1200-3200rpm


燃料供給方式:電子制御燃料直接噴射(コモンレール)




■駆動系


トランスミッション:9速AT


駆動方式:四輪駆動




■シャシー系


ブレーキ:Fベンチレーテッドディスク・Rベンチレーテッドディスク


タイヤサイズ:275/50R20[F275/45R21・R315/40R21]




■燃費


WLTCモード:10.9km/L


市街地モード:8.0km/L


郊外モード:10.5km/L


高速道路モード:13.3km/L




■価格


1263万円[1313万5000円]

メルセデス・ベンツGLS 400d 4MATIC(AMGライン装着車)

メルセデス・ベンツGLS 400d 4MATIC(AMGライン装着車)

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