「なんでこんないいクルマが日本で普通に買えないんだ!?」
そのブランドのファンや関係者ならずとも、そう憤慨したくなるような日本未導入モデルは、グローバル化がこれだけ進んだ今なお、数え切れないほど存在する。
そんな、日本市場でも売れるorクルマ好きに喜ばれそうなのになぜか日本では正規販売されていないクルマの魅力を紹介し、メーカーに日本導入のラブコールを送る当企画。今回は、日産が日本以外の世界各国で販売している大型SUV「パトロール」と「アルマーダ」、そのインフィニティ版である「QX80」を紹介したい。
TEXT●遠藤正賢(ENDO Masakatsu) PHOTO●日産自動車
現行モデルの六代目「パトロール」は2010年2月に世界初公開され、中近東を皮切りに同年4月より販売を開始。これをベースに三代目インフィニティ「QX」(2014年モデル以降は「QX80」に改名)が作られ、同年4月に北米と中国でデビューした。
北米ではさらにそれから遅れること6年、「パトロール」のフロントグリルやバンパーなどのデザインを変更したモデルが、二代目「アルマーダ」として2016年2月に発表されている。
なお、2019年9月には中近東、2020年8月には南アフリカ仕様の「パトロール」がマイナーチェンジ。Vモーショングリルとブーメラン型の前後ライトを持つ前衛的なデザインに変更された。また、インフィニティQX80は2015年モデルと2018年モデル、計2回のフェイスリフトを経て、エクステリアの洗練度を徐々に高めている。
内外装の仕立ては、パトロール、アルマーダ、QX80のいずれもが各市場・ブランドにおけるフラッグシップSUVに位置付けられることもあり、豪奢そのもの。また、乗用車ベースのモノコックボディではないことを色濃く窺わせる、スクエアで力強いプロポーションを備えている。それでいながら、近年の日産車らしい優雅さも兼ね備えているのが、直接のライバルとなるトヨタ・ランドクルーザーやレクサスLXにはない大きな魅力と言えるだろう。
しかしながら、このパトロール/アルマーダ&QX80には現在、日本仕様が存在しない。これらが日産車体九州、日本国内で作られているにも関わらずだ。SUV、そして本格オフローダーが空前のブームとなっている今、これが日産ディーラーで買えないのは、日本のユーザーはもちろん日産にとっても大きな損失と言えよう。
日産が2020年5月28日に発表した事業構造改革計画「NISSAN NEXT」の中では、アルマーダのフルモデルチェンジが示唆されている。その暁には、日本でも「サファリ」の名で復活し、同時期に世代交代するであろうランドクルーザーに真っ向勝負を挑んでほしい!
■日産パトロールLEプラチナムシティ(F-AWD)*アラブ首長国連邦仕様
全長×全幅×全高:5315×1995×1730mm
ホイールベース:3075mm
車両重量:2845kg
エンジン形式:V型8気筒DOHC
総排気量:5552cc
最高出力:298kW(406ps)/6600rpm
最大トルク:560Nm/4000rpm
トランスミッション:7速AT
サスペンション形式 前後:ダブルウィッシュボーン
ブレーキ 前/後:ベンチレーテッドディスク/ディスク
タイヤサイズ 前後:275/60R20
乗車定員:8名
車両価格:32万9000ディルハム(約946万円)