![](https://motor-fan.jp/images/articles/10016335/big_main10016335_20200915123555000000.jpg)
これまでの人生において、所有したり試乗したりした輸入車のなかからベスト3を業界人に選んでいただく本企画。諸星陽一さんのベストオブベストは、ロータス・セブン。走るために生まれた、サラブレッドのようなスポーツカーだ。
TEXT●諸星陽一(MOROHOSHI Yoichi)
第3位:ポルシェ928 GTS(1992年-)
![](https://motor-fan.jp/images/articles/10016335/big_3559230_202009151215550000001.jpg)
第3位はポルシェ928GTSだ。ポルシェといえばRRの911シリーズがイメージリーダーであるが、そうではないポルシェも時代ごとに存在している。古くはフォルクワーゲンのエンジンを積んだ914などもその1台だ。
928はV8エンジンをフロントに搭載しリヤタイヤを駆動するFR方式。この組み合わせからもわかるようにアメリカ市場を大きく意識したモデルであった。
4.5リットルでスタートした928だが、1992年の最終型928GTSでは5.4リットルまで排気量を拡大し、340psという大出力を手に入れていた。当時の国産車は280ps規制時代、340psのFRスポーツカーはとんでもなくパワフルだった。
アメリカメインのクルマというと「どうせ直線番長でしょ」と決めつける人もいるが、そんなことはまったくない。リヤにバイザッハアクスルと呼ばれるマルチリンクサスを採用した928のハンドリングは秀逸であった。
928は基本がATであったのだが、GTはMTのみ、GTSはMTとATの選択が可能となっていた。
第2位:ロールス・ロイス ファントム(2017年-/8代目)
![](https://motor-fan.jp/images/articles/10016335/big_3559234_202009151215560000001.jpg)
第2位は現行のロールス・ロイス ファントム。じつはこのクルマは運転していない。ハンドルを握ったのは、ロールス・ロイスを運転するための訓練をうけたショーファーであった。
ドアを開けていただき、リヤシートに乗り込むと今まで経験したことがない毛足の長さのカーペットが待ち構えていた。もはや自動車のフロアではなくホテルの廊下、それも自分で荷物を部屋まで運ばないホテルだ。こんなフカフカのカーペットではキャリーケースの車輪は回らない。
乗り味はもう格別としか言いようがない。静かなだけならEVのほうが静かだろう、しかしエンジンの動力感は血の通ったかのようなもの。約3トンのボディを510psのV12エンジンが動かすといういわば前時代的な乗り物は、なんとも贅沢で気持ちがいいものであった。
適度な音、適度な揺れ感が与える快感は恐ろしいほどの睡魔を喚び、最後は耐えきれずに夢の世界へと誘われてしまった。
第1位:ロータス・セブン S2(1960年-)
![](https://motor-fan.jp/images/articles/10016335/big_3559238_202009151235550000001.jpg)
第1位はロータス・セブン シリーズII。ロールスロイスファントムは車重が重いことによって、他車では不可能な乗り心地を確保していたが、ロータス・セブンは圧倒的に軽量さでその楽しさを教えてくれるクルマだった。詳細なスペックは覚えてないが、せいぜい600kgの車重に100psにも満たないであろうOHVエンジンを積んだモデルだったと記憶している。
アクセルを踏む、ステアリングを切る、ブレーキを踏むといった一連の運転動作が、どれも素直にクルマに伝わる。そして、失敗すればそれをカバーしてくれるデバイスはないので、失敗は失敗としてクルマの挙動に反映される。ドライビングの楽しさとは何か?が率直にわかるのがロータス・セブンであった。