「私的国産車ベスト3」をセレクトしてもらう本連載企画の中で、その車名が多く挙がるのがユーノス・ロードスターだ。それまで絶滅の危機に瀕していたオープン2シーター・スポーツカーを手ごろな価格で復活させた名車は、青山尚暉さんが"青春"を共に過ごした思い出の1台でもある。
TEXT●青山尚暉(AOYAMA Naoki)
第3位:トヨタRAV4 PHV(2020年-)
第1位と第2位の2台は80年代後半以降、日本車が世界に大きな足跡を残した、エポックメイキングなクルマだが、第3位はあくまで超個人的、というか、わが家にとって最高であるはずのクルマとして、この夏、登場したトヨタRAV4 PHVである。
RAV4そのものは2019-2020年日本カー・オブ・ザ・イヤーで10点満点を配点したぐらいのお気に入りだが(アドベンチャーグレード限定)、そのPHVは犬たちと暮らすわが家にとって最高すぎる1台であることは間違いないと思っている。PHVならではの静かで滑らかかつ上質極まる、犬にもやさしい走行感覚を備えた、悪路にも強い電動オールラウンダーであり、1年中、天候、路面に左右されずドライブに出かけられる頼りがいある走破性が、アウトドアフィールドを目指すことも多い愛犬家にとって最高だ。
基本性能は0-60マイル加速6秒と、スポーティカー並みの性能を持ち、EV走行可能距離カタログ値95km、実質、約65~70kmのEV走行をこなしてくれるのだから、電欠のない電動車として申し分ない実力だ。しかも、車内外で家電品が使えるAC100V/1500Wコンセントによって、ドライブ中、景色のいい場所に止めればそこが”どこでもドッグカフェ”となり、わざわざペットが入れるお店を探す手間いらず。
また、日本では災害時、ペット連れで避難所に入ることはまずできないが、RAV4 PHVのように電源車として家に給電もできる便利さと走破性の高さがあれば、動く”マイ避難所”として災害時の愛犬家家族にとって最高・最上の1台になりうる。
今、一番ほしいクルマでもあるのだが、なんとリチウムイオンバッテリーの供給が間に合わず、注文は一時中止。欲しくても買えないところがまた、物欲を刺激しまくるのである。
第2位:トヨタ・セルシオ(1989年-)
1990年前後の時代には、今でも記憶に残る最高の国産車が数多く存在した。その1台が、XF10型と呼ばれる初代トヨタ・セルシオだ。世界が、世界の高級車ブランドが驚愕した車内の圧巻の静けさ、乗り心地の良さは、ついに日本車が世界をリードした!!と思わせてくれたものだ。
ハワイの友人も乗っていて(北米仕様なのでレクサスブランド)、当時、ハワイで仕事をしていたこともあって何度か同乗させてもらったのだが、カハラの高級住宅街を流したときの優雅さ、心地よさ、ワイキキビーチ沿いの高級リゾートホテルのエントランスで、キャデラックに負けない存在感を放ち、ベルマンに敬意を表された”日本車の誇り”の体現は、30年近くたった今でも忘れないハワイでの記憶として鮮やかに残っている。
第1位:ユーノス・ロードスター(1989年-)
ボクがまだ若いころ、興奮しまくりのライトウェイトオープンスポーツカーがあった。それは1989年に登場したNA系初代ユーノス・ロードスターだ。
若者でも買える価格、コンパクトな2シーターのボディサイズがもたらす人車一体の自在な操縦性、フルオープンで太陽と風を浴びながらの爽快極まる走行感覚に、それはもうぞっこん。伊豆の海沿いの道、伊豆スカイライン、そしてミニサーキットを疾走したときの気持ち良さはもう最高すぎた。
青春とはいえない年齢ではあったが、当時のあの”青春の”思い出は、生涯記憶に残るほど最高だったのである。
【近況報告】
誕生日会すら自宅完結の自粛生活のなかでも新車の試乗は欠かさない。特にダイハツ・タフトのデザイン、割り切りのコンセプト、トヨタRAV4 PHVの”災害大国日本”における存在意義に気分アガりまくり。現在、わが家の4代目自称自動車評論犬!?を探しています。
【プロフィール】
モータージャーナリスト/ドッグライフプロデューサー/日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員 自動車専門誌の編集を経てフリーに。新車の試乗レポートのほか、小学館PETomorrowなどで愛犬との幸せなライフスタイル、クルマ旅を提案。国産、輸入車を20台以上乗り継ぐ。