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「なんでこんないいクルマが日本で普通に買えないんだ!?」
そのブランドのファンや関係者ならずとも、そう憤慨したくなるような日本未導入モデルは、グローバル化がこれだけ進んだ今なお、数え切れないほど存在する。
そんな、日本市場でも売れるorクルマ好きに喜ばれそうなのになぜか日本では正規販売されていないクルマの魅力を紹介し、メーカーに日本導入のラブコールを送る当企画、一台目は13代63年もの歴史を持つ日産随一の長寿モデルにしてイメージリーダー「スカイライン」現行モデルのクーペである「インフィニティQ60」だ。
TEXT●遠藤正賢(ENDO Masakatsu) PHOTO●日産自動車
「スカイラインはセダンこそ本流」、そう考える人は、特に年配のスカイラインファンには少なくないのだろう。筆者の近くにも、先代まで頑なに歴代スカイラインセダンを所有し続けた人がいるため、それを頭ごなしに否定するのは不可能だ。
しかしながら、「GT-R」は言うに及ばず、歴代スカイラインにおいて走りのトップモデルは常にクーペに設定されてきたのは紛れもない事実。そして、「スカイライン=速くて格好良いスポーツカー」というイメージを、その精悍なスタイルとともに作り上げてきたのはクーペの方だ。
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それは、先々代より国内専売ではなくグローバルモデルとなり、日本以外では高級車ブランドのインフィニティで販売されるようになってからも、また2007年にGT-Rがスカイラインから独立しても、決して変わらない…はずだった。
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そんな、日本におけるスカイライン=クーペの構図が、音を立てて崩れ去ったのは2016年1月。先代スカイラインクーペの販売が終了する。そして同月、デトロイトモーターショーで現行「インフィニティQ60」が発表された。だが、日本での販売開始の知らせは、あれから4年半経った今もなお聞こえてこない。
なぜなのか! 歴代スカイラインを通じて最も美しく格好良いと断言できるほど、素晴らしいエクステリアデザインだというのに。
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なお、インパネの造形はセダンと変わらないが、ホールド性が高められたスポーツシートには白、黒、グレー、赤の4色が用意されており、より華やかな装いを与えることが可能だ。
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この現行Q60が素晴らしいのはエクステリアデザインだけではない。走りに関しても、日本では2019年7月のマイナーチェンジでスカイラインにようやく搭載されたVR30DDTT型3.0L V型6気筒直噴ツインターボエンジンが、304ps&400Nm仕様と405ps&475Nm仕様のいずれも、デビュー当初より設定されている。
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しかも後者を搭載する最上級グレード「レッドスポーツ400」には、街乗りでは絶妙なフラットライド、高速域ではスポーツカーさながらの安定感をもたらしてくれる、スカイライン400Rと同じ「インテリジェントダイナミックサスペンション」(北米市場では「電子制御デジタルダイナミックサスペンション」)が標準装備されるのだ。これで走りを期待するなと言う方が無理というものだろう。
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そんなインフィニティQ60だが、星野一義さん率いるホシノインパルが2019年夏より海外で販売されている日産車の並行輸入を始めており、その過半数がこのQ60だというから、金額面を除けば決して入手は困難ではない。とはいえ日本の栃木工場で生産されているこのQ60が、日本の正規ディーラーで買えないというのも、おかしな話ではないか。
高級スポーツクーペという性格上、絶対的な販売台数は当然期待できない。だがこれを日本でも販売すれば、度重なるお家騒動と陳腐化が激しいモデルラインナップのおかげで、今や地に堕ちた日本国内でのブランドイメージを、このQ60が少なからず回復してくれるのは間違いない。新生日産の英断を心から期待している!
■インフィニティQ60レッドスポーツ400(FR)
全長×全幅×全高:4685×1850×1385mm
ホイールベース:2850mm
車両重量:1761kg
エンジン形式:V型6気筒DOHCターボ
総排気量:2997cc
最高出力:298kW(405ps)/6400rpm
最大トルク:475Nm/1600-5200rpm
トランスミッション:7速AT
サスペンション形式 前/後:ダブルウィッシュボーン/マルチリンク
ブレーキ 前後:ベンチレーテッドディスク
タイヤサイズ 前/後:255/35R20/275/30R20
乗車定員:4名
車両価格:5万7150ドル(約600万円)
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