APBは、次世代型リチウムイオン電池「全樹脂電池」を、川崎重工業の開発する自律型無人潜水機(Autonomous Underwater Vehicle:AUV)に搭載し、実証試験を開始した。
全樹脂電池は、APBの現代表取締役である堀江英明と三洋化成工業が共同で開発したバイポーラ積層型のリチウムイオン電池。高分子設計・界面制御技術を有する三洋化成が新開発した樹脂を用い、活物質に樹脂被覆を行い、樹脂集電体に塗布をすることで電極を形成している。このような独自の製造プロセスにより、従来のリチウムイオン電池よりも工程を短縮することで、製造コスト・リードタイムの削減を実現するとともに、これまでにない高い異常時信頼性とエネルギー密度を実現している。部品点数が少なくて済むバイポーラ積層型で、樹脂で構成しているため、電極の厚膜化が容易に行え、セルの大型化が可能で形状自由度が高いことも特長。
本実証試験は、2020年7月に開始され、川崎重工が開発するAUVの動力源として、APBと川崎重工が共同で開発している耐水圧型の全樹脂電池が搭載される。AUVは潜水船関連技術を応用し、海中設備の保守・点検を行うことを目的として製造されており、深海などの過酷な環境で長時間にわたり水中作業を行うことが必要。APBが開発・製造する全樹脂電池は部品点数が少なくて済むバイポーラ積層型で、樹脂で構成されているため、セルの大型化が可能であることから、積層化した際にエネルギー密度が高いという特徴を持つ。そのため、全樹脂電池をAUVに活用することで機体中の限られた空間内に搭載可能な電池容量を拡大し、より長時間の走行が可能となる。また、AUVに用いる電池は海底での高い水圧環境に耐える必要があるが、すでに全樹脂電池が耐水圧性を有することを確認できており、この度、AUV実機へ搭載しての実証試験に移行した。
本実証試験ではまず、川崎重工の神戸工場内岸壁の試験エリア内で、AUVの出力試験を行う。今後も、連続航続距離、充電特性や耐水圧性など、AUV実機を用いた試験を実施していく予定。APBでは、本実証実験を皮切りに、大型定置用蓄電地向けなど、全樹脂電池の用途展開へ挑戦を続けていく。