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ホンダ レブル250試乗|こいつはスポーツバイク並み!? ちょっと褒めすぎちゃうくらい優秀な乗り味でした。


2017年にセンセーショナルな復活を飾ったホンダレブル250。近代的なボバースタイルに変貌し、老若男女問わず幅広い層に支持され、カスタムパーツも豊富にリリースされている。今回はそのレブル250(2019年モデル)を試乗し、その魅力に迫っていこう。




REPORT●川越 憲(KAWAGOE Ken)


PHOTO&EDIT●佐藤恭央(SATO Yasuo)


※今回の試乗はモデルチェンジ前の2019年モデルとなります。

ホンダレブル250(2019年モデル)……537,840円/ABS付きは588,600円

φ41サイズの太めのフロントフォークと前後16インチのファットな足周りが見た目&走りのポイントに! レブル500とプラットフォームを共通とし、全体的にナローな雰囲気を醸し出すボディは色気ムンムン!

 80年代のバイクブームを経験したライダーなら、「レブル」の名前に懐かしさを感じることだろう。レブル(Rebel)とは直訳すると「反逆」を意味し、初代モデルは今から30年以上前の1985年に発売された。当時はレーサーレプリカブームの真っ最中だったが、気軽に乗れるアメリカンとして、速さ以外に楽しさを求めるライダーから根強い支持を集め、1996年まで発売されたロングセラーモデルとなったのだ。

初代レブル(1985年~1996年)はジャパニーズ・アメリカンを代表する小柄なフォルムが特徴。ロー&ロングな車体に空冷2気筒の223ccエンジンを搭載する。

 そんなレブルが2017年4月にリバイバル! この新世代モデルは2018年、2019年と2年連続で国内軽二輪販売数1位を獲得。それまで安定した人気を誇っていたPCX150を抑えての快挙だったことから驚きも大きかった。とくに、今までバイクに興味がなかった若者から注目を集めたことや、多くのリターンライダーを生み出したことが好調なセールスにつながったのだが、他の国内メーカーに競合となるライバル車両が不在だったこともあるはずだ。


 なぜ今まで再版されなかったのかというと、じつは、北米で2016年まで約30年にわたり現役モデルとして販売され続けてきたことが大きな理由だろう。

 初代モデルはハンドルの高いチョッパースタイルに空冷2気筒エンジンを搭載し、まさにアメリカンというデザインだったのに対して、新型は「シンプル&ロー」をコンセプトに、欧米でも人気のボバースタイルを踏襲。エンジンはCBR250Rの水冷単気筒を中低速寄りにリファインし、従来のアメリカンイメージからガラリと印象が変わった現代的なクルーザーとして生まれ変わった。


 ちなみにボバーとは、1930〜40年代にアメリカで流行したダートトラックレースに参加していたバイクをモチーフにしたカスタムのこと。短くカットしたヘアスタイルの「ショートボブ」が語源と言われ、車体やフェンダーが短く、ハンドルは低めで、極力無駄な装備を削ぎ落としたスタイリングが基本だ。

 そんな新型レブルの注目は、この流行のアメリカンスタイルとともに、スポーツバイクのような乗り味を両立した点にある。そのキモがフロントフォークの構造だ。


 アメリカンらしいフロントのボリューム感やシルエットを表現するためには、一般的にフロントフォークの角度(キャスター角)を寝かせてフロントタイヤを前に出すのがセオリーだ。しかし、そうするとトレール量(ホイールの中心から地面に垂直に引いた地点と、ステアパイプ角から伸びた線を地面まで引いた地点の距離)が長くなり、直進安定性は良くなるメリットに相反して、コーナリングやUターンがしづらく、フロントタイヤの接地感が分かりにくくなりがちに……。レブルはアメリカンらしいフロント周りとスポーツバイク並みのコーナリング特性を両立させるため、キャスター角とステアパイプ角の角度を調整してスポーツバイク並みのトレール量を実現しているのだ。

 今回のレブル250を試乗する前にレブル500に乗ったのだが、アメリカンモデルにもかかわらず、スポーツできるパッケージに唸ったものだ。同じフレームを使用しているため、跨った時点ではさすがに似ているなと思った。しかし、500ではエンジン右側のクランクケースの張り出しが足に当たりがちだったのに対し、250はそれがない点が好印象。500とは重量差が約20kgもあるので取り回しが格段に軽いのもマル! 日常の足として使用するなら断然250だろう。




 走り出してみると低速から十分なトルクがあり、フロントの接地感が普通のスポーツバイクと変わらないことに感心した。500はエンジンの重さもあり、フロントの接地感がしっかりと出ていると思ったのだが、250もスポーツバイクと変わらないハンドリングが楽しめる。ホイールベースが250クラスとしては長いため直進安定性はもちろんいいが、ブレーキングやコーナリング時にもしっかりとフロントのグリップが感じられるのは、スポーツバイクから乗り換えたライダーでも違和感を覚えないはずだ。

 アメリカンモデルは基本的にフォワードコントロールで、さらにフロントタイヤが細くて前方にオフセットされているからフロントの接地感が希薄なうえ、フロントブレーキがやや甘めに設定されていることも多い。リヤブレーキを主体にコントロールし、コーナーはできるだけゆっくり旋回するのが基本だ。さらに低速走行時にはフロントがふらつきやすいネガも出る。


 一方、ワイドタイヤを装着し、フロントフォークに工夫を凝らしたレブル250は、そんなアメリカン独特の特性を気にする必要は全くない。アメリカンスタイリングながら、コーナーが続く道でもガンガンスピードを上げたくなるようなスポーツバイクと変わらない乗り味を提供してくれるのだ。


 ホイールベースが長めで、ワイドタイヤを履いているためUターンなどの小回りは得意とは言えないが、原付スクーターよりいいのでは!?と思える足着き性の良さや、クラッチ、スロットル、シフト操作が軽いこともあり、日常の足として十分に活躍することは疑いがない。

仕様変更とともに新たに設定されたのが「レブル250Sエディション」。ボディと同色のライトカウルに加えて、フォークブーツ&カバー、ブラウンのシートなどを標準装備。よりボバースタイルを追求した一台だ。価格は638,000円。

 この新世代レブルシリーズは発売から3年を経て、2020年の春にマイナーチェンジされた(価格は59万9500円)。大きな変更はヘッドライト、ウインカー、テールランプがLED化され、スリッパークラッチの採用、前後サスペンションの仕様変更などだが、エンジンやフレームに変更はない。フォークブーツカバーやキルティングシートが採用されたSエディションも追加され、カスタマイズ色が強くなったが、レブル250/500はアフターパーツも潤沢だし、自分でカスタムする楽しさを追求するなら初期型を探してみるのも一興だ。まだ店頭に並ぶ在庫車もあるだろうし、優良中古車も探しやすいはず。個人的には、カスタマイズベースとしては初期型のほうが希少モデルとなると予想している。

●足つきチェック(ライダー身長182cm)

シート高は690mmと原付スクーターなみで、着座位置のタンクやシートが絞り込まれていることもあって足着き性は抜群に良い。着座位置やステップの位置に対してステアリングのグリップ位置は遠めだが、アメリカンとしてはコンパクトなポジションに収まっている。ステップ位置が、アメリカンとしてはかなり後方にあるから、慣れるまで戸惑う人も多いかも!?

●ディテール解説

CBR250R系の水冷単気筒249ccエンジンを吸排気とFIのセッティングを最適化し、クルーザーにふさわしい低速からの力強いトルクを実現している。マイチェン後はスリッパークラッチを新採用し、後輪のホッピングやクラッチレバーの操作荷重を軽減。

シングルディスクとニッシン製2ポットキャリパーの組み合わせは、アメリカンモデルとしては強力! しっかりとフロントでスピードが調整できる感覚はスポーツバイクに近い感覚だ。

リヤブレーキは、シングルディスクとニッシン製ワンポットキャリパーのコンビで、コントロールしやすい印象だった。マフラーは250ccとしては大型だが、エンド部分以外ブラックアウトされ、車体下部を引き締めている。

φ45のパイプを使ったスイングアームには伝統的なツインショックを採用。スプリングも黒に仕上げて、ボディとの統一感を生み出している。フレームやタンデムステップステーもパイプ形状とし、一体感を強調している。右リヤフェンダーの下にはヘルメットホルダーも装備。

上から見ると丸みを帯びた曲線が魅力的なティアドロップ型燃料タンク。まるでカスタムビルダーの一品物のような造形が、オーナーを満足させる。

ライダー側は座面が広いが、タンデム側は小ぶりなシートのみで積載スペースはあまりない。タンデムシートはボルト1本で着脱でき、カスタマイズしやすい。

シートは座面が広いが着座位置は絞られていて足が下しやすい。スリムに絞られた燃料タンク形状とローシート(690mm)の相乗効果で、足着き性は原チャリ並みに良好。

丸形のハロゲンバルブを採用したオーセンティックなヘッドライト。ウインカーとともにカスタマイズポイントでもあるが、飽きのこないバイク本来のスタイルが魅力的でもある。新型はLED4灯タイプになったが、クラシカルなこの旧型が好みという意見もチラホラ!

テールランプもカスタムの第一歩として変更するケースが多い箇所だ。アフターパーツも豊富に出回っているので、好みに応じてセンス良くまとめたい。

ブラック塗装されたバーハンドルはインチサイズで、アメリカンとしては低めに設置されている。シンプルなコクピットは「SIMPLE &RAW」のコンセプトを具現化している。

シンプルなΦ100mmの丸形メーターは前方の視界を妨げない。LCDは表示が反転タイプで青いバックライトが特徴。回転計は省かれているが、燃料計、時計、オド&トリップメーターなど必要十分な表示機能を装備。なお、マイナーチェンジ後の新型ではギヤポジションインジケーターが追加されている。

ABS以外の電子装備を極力抑えた仕様なのでスイッチボックスはシンプル。右スイッチボックスにはセル、キルスイッチ、ハザード、左スイッチボックスはライトのHi・Low切り替え、ホーン、ウインカースイッチのみ。ライトのLow側を押し込めばパッシングもできる。

オーソドックスな丸形のミラーは後方が確認しやすいが、ちょっと簡素な気も……。手軽&リーズナブルに交換できるので、カスタムの手始めに交換するのもあり!
イグニッションスイッチは車体の左横、ハンドルロックシリンダーはステムの右下に位置するセパレート方式。
車名・型式:ホンダ・2BK-MC49


全長(mm):2190


全幅(mm):820


全高(mm):1090


軸距(mm):1490


最低地上高(mm):150


シート高(mm):690


車両重量(kg):168(ABS仕様は170)


乗車定員(人):2


燃料消費率*1(km/L):


 国土交通省届出値定地燃費値 (km/h)…46.5


 WMTCモード値(クラス)…34.1


最小回転半径(m):2.8


エンジン型式:MC49E


エンジン種類:水冷4ストロークDOHC4バルブ単気筒


総排気量(㎤):249


内径×行程(mm): 76.0×55.0


圧縮比: 10.7


最高出力(kW[PS]/rpm):19[26]/9,500


最大トルク(N・m[kgf・m]/rpm):22[2.2]/7,750


燃料供給装置形式:電子式〈電子制御燃料噴射装置(PGM-FI)〉


始動方式:セルフ式


点火装置形式:フルトランジスタ式バッテリー点火


潤滑方式:圧送飛沫併用式


燃料タンク容量(L):11


クラッチ形式:湿式多板


変速機形式 常時噛合式6段リターン


変速比:


 1速…3.415


 2速…2.250


 3速…1.649


 4速…1.350


 5速…1.166


 6速…1.037


減速比(1次/2次):2.807/2.571


キャスター角(度):28°00′


トレール量(mm):110


タイヤ:


 前…130/90-16


 後…150/80-16


ブレーキ形式:


 前…油圧式ディスク


 後…油圧式ディスク


懸架方式:


 前…テレスコピック式


 後…スイングアーム式


フレーム形式:ダイヤモンド




■製造事業者/本田技研工業株式会社

●ライダープロフィール

1967年生まれ。有限会社遊文社・代表取締役にしてバイク誌を中心に活動するフリーライター・編集。現在所有するバイクはBMW R1150GS・BUELL XB9SX・TZR250(1KT)・NSR250R(MC18)etc.。 趣味は草野球、バレーボール、映画鑑賞(16mm映写技師免許所持)。

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