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排気量は変わらないものの車体デザインなどを大幅ブラッシュアップし、車名もVストローム1000→1050に。上級仕様である「XT」は6軸IMUやクルーズコントロールを新搭載し、電子制御システムを進化しています。80年代後半のパリ・ダカール・ラリー出場マシン「DR-Z(ジータ)」を彷彿とさせる車体色も設定し、スズキ・アドベンチャーの伝統を継承。乗ってみました!!
REPORT●青木タカオ(AOKI Takao) PHOTO●山田俊輔(YAMADA Shunsuke)
スズキVストローム1050XT……1,518,000円(税込み)
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今回試乗したブリリアントホワイト×グラスブレイズオレンジの車体グラフィックスは、1988年にガストン・ライエ氏が乗ったパリ・ダカール・ラリー出場マシン「DR-Z(ジータ)」のマルボロカラーを彷彿とさせるもの。クチバシデザインに、似合わないはずがないありません。
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軽量コンパクトなシャーシに搭載する水冷4ストローク90度VツインDOHC4バルブエンジンは、1036ccの排気量をそのままに令和2年国内排出ガス規制に対応しながら、最大出力を99→106PSに向上しました。
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ホイールを10本スポークのアルミニウムキャスト仕様とする「V-STROM1050」に対し、「XT」ではアルミニウム製ワイヤースポークホイールを採用。フロント110/80R19、リヤ150/70R17のタイヤサイズで、ブリヂストン製BATTLAX ADVENTURE A41を履きます。
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KYB製のフロントフォークは、インナーチューブ径43mmの倒立式。無段階のダンピングアジャスターとスプリングプリロードアジャスターを備えます。
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プロダクトコンセプトを“THE MASTER OF ADVENTURE”とし、「より快適に」「より扱いやすく」「より楽しく」を突き詰めました。ひとつに電子制御によるライディングサポートが進化し、上級仕様車である「XT」ではボッシュ製6軸IMUを搭載しています。
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ピッチ、ロール、ヨーの3軸の角速度センサー(ジャイロメーター)と前後、左右、上下の3軸加速度センサーを1つのコンパクトなユニットに収めている慣性計測ユニット(IMU)が、車両の動きをリアルタイムに検知し、モーショントラックブレーキシステム、ヒルホールドコントロールシステム、およびスロープディペンデントコントロールシステムを制御します。
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XTでは大量の情報を相互に高速伝達することが可能となるCANテクノロジーを採用。ネットワーク化されたことで配線が簡素化され、軽量化に貢献するだけでなく電装の信頼性も向上しています。
気になるライディングポジション/足つき性をチェック!!
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身長175cmの筆者がまたがると、視線の高いアップハンドルと自由度の高いレッグスペースで、リラックスのできるゆったりとしたライディングポジションであることがわかります。
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シート高は850mmで、両足を地面に下ろすとつま先立ちに。さらにシートは、標準位置より20mm高くできる2段階調整機構付きです。
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850mmとシート高は決して低くありませんが、またがるとリヤショックがしなやかに沈み込み両足のつま先で車体を支えられます。片足立ちならカカトまで足の裏が付き、特に不安は感じません。
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新形状のセパレートシートが採用され、表皮にはグリップ力が高い素材が用いられました。先端が絞り込まれ、地面を足に出しやすい形状フォルムとしています。
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パッセンジャーシートを外すと、12VDCソケットが姿をあらわしました。これはスタンダード「V-STROM1050」にはなく、上級仕様「XT」ならではの装備です。
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結論から言うと、嫌なところが見つかりません。エンジンは味わいのある脈動感と滑らかな伸び切り感を併せ持ち、低中回転域ではトルク感がしっかりとあり、高回転までパワフル。それでいて、スロットルの開けやすさがあるから、円熟期に入ったTL1000S/Rに由来するスズキVストロームのパワーユニットには感服するばかりです。
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前後サスは初期領域ではよく動き、乗り心地も良好ですが、ブレーキングから旋回にかけては適度に剛性があり、踏ん張りが効く。ラジアルマウントモノブロックキャリパーと310mmフローティングディスクを組み合わせたフロントブレーキを含め、言うことなしです。
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「Vストローム1050」では。工具を使って上下3段階で高さ調整ができたウインドシールド。「XT」では、工具不要で11段階、50mm刻みの幅で高さが変えられます。
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スクリーンは従来型より幅を狭めていますが、風洞実験によって形状を作り込み、防風性能は同等としています。実際、ハイスピード領域でも優れたウインドプロテクション効果を感じ、高速巡航も得意としています。
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多機能インストルメントパネルは「Vストローム1050」では背景が白、「XT」では背景を黒にした液晶ディスプレイを採用。SDMS(スズキドライブモードセレクター)やTCS(トラクションコントロールシステム)、ABSのモードを常に表示します。
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SDMSやTCSは、メーターパネルを見ながらハンドル左のスイッチで設定できます。SDMSはA・B・Cの3つの走行モードが選べ、Aモードは最もシャープなスロットルレスポンス、Bモードはスロットルレスポンスがややマイルド、そしてCモードは穏やかな出力特性で、雨天時などに有効です。
TCSは3モード+OFFから選択可能で、最大限に介入するのが濡れた路面など悪条件での走行に向いているモード3。TCS介入時は、TCインジケーターが点滅で知らせてくれます。
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ギヤが4速以上、車速約50km/h以上で設定できるクルーズコントロールシステムも「XT」は搭載。ハンドル右にスイッチを備えます。高速走行時や長距離ライドで乗り手の負担を軽減してくれるのは間違いありません。
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6軸の車体姿勢を常に把握する「XT」では、バンク角に応じたABSの介入を可能としています。前輪ブレーキへの入力がバンク角に応じて一定圧に達した場合、リヤブレーキへ自動に増圧させ車体を安定。コーナリング中であれば、ラインのトレースをサポートしてくれるのです。感度レベルの違う2つのモードが選べ、モード1はシステムによるサポートを最小限に抑えています。
また停止後、ブレーキを放しても約30秒間リヤブレーキを自動的に作動させ、再スタートする際のスムーズな発進をサポートする「ヒルホールドコントロールシステム」や、下り坂を走行時に勾配に応じてABSの作動を最適化し後輪リフトを減らす「スロープディペンデントコントロールシステム」なども搭載。先進的な電子制御装置がライディングをより安全に、より快適なものにしてくれ、大きな安心感をもたらしてくれるのでした。
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最後になりますが、アドベンチャーモデルのフラッグシップで1,518,000円(税込み)という価格設定は称賛に値します。スタンダードなら1,430,000円(税込み)ですが、6軸IMU搭載でさまざまな電子制御の恩恵に預かれる「XT」で、この価格に抑えたことは素晴らしいとしか言いようがありません。
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LED式となり、より軽量コンパクトな角目ヘッドライト。「XT」ではウインカーもLEDを採用する。写真はロービーム時です。
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吸気、排気ともにカムプロフィール、カムタイミングを最適化した水冷90度Vツインエンジン。新設計のラジエターを採用し、冷却能力を22.7kWから26.1kWに増加。向上したエンジン出力に対応しています。
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タフなイメージで、冒険心を刺激するテーパーハンドルバーを採用。アップライトなライディングポジションをもたらし、ロングライドも疲労感が少ない。「XT」ではナックルガードを標準装備します。燃料タンク容量は20Lです。
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メーター横にUSB電源を装備し、スマートフォンなどの電子機器の充電に対応。スクリーンの内側にマウントキットを固定しやすようバーが備わっています。
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スタイリッシュなデザインと優れた視認性を両立するリヤコンビネーションランプ。「XT」ではクリアレンズを採用することで、高級感を演出しています。