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開発ストーリーダイジェスト:ユーノスコスモ「“コスモ”の名誉にふさわしい最高技術を結集したクルマをつくるべき」


これまで数多くのクルマが世に送り出されてきたが、その1台1台に様々な苦労や葛藤があったはず。今回は「ニューモデル速報 第84弾 ユーノスコスモのすべて」から、開発時の苦労を振り返ってみよう。

マツダにとってロータリーエンジンは、チャターマーク(波状摩耗)といった課題はあったものの、初代コスモで実用化に成功して以来、特別な存在である。

そんなロータリーエンジンの認知を高めるために様々なレース活動に取り組み、それに携わったのが新型コスモの開発担当責任者を務めた山本紘だった。




昭和61年の春、商品開発部門への就任が決まった山本は、当時の社長から「コスモやるんじゃろう」と言われた。営業サイドからもコスモ復活の声は上がっていたが、当時のコスモはルーチェシリーズのひとつとして名前が残っている程度で、初代のインパクトはもちろん、スペシャルティカーが不振だったマツダを立ち直らせた二代目ほど個性的な存在でもなかった。

しかし、山本は新型コスモの開発に対して緊張感こそあったが不安はなかったという。これまでのレースや走行実験部での経験に加えて、すでに3ローターの生産技術も進んでおり、レースでも十分な成果を上げていた。社内にもロータリーエンジンの決定版たる車種にしようという想いが満ちており、新型コスモでは3ローターの搭載は初期の頃から脳裏にあったそうだ。

とはいえ、その道のりは容易ではなかった。ロータリーエンジンはターボとの相性はいいのだが、ターボにはラグが生じる。それを小さくするには小径のタービンを使って、低回転域で急速な過給をしなくてはならない。一方で、セカンダリーターボへスムーズに繋ぐ方法が最大の問題だったという。そこで到達したのが、排気の流れを制御して回転や負荷に応じてプライマリーターボとセカンダリーターボを順次使い分けていく手法だ。

単室容量654cc×3の3ローターエンジン。量産車世界初のシーケンシャル・ツインターボとインタークーラーを採用して、280psの最高出力と41.0kgmの最大トルクを発揮する。
低速域では小型のプライマリーターボに排ガスを集中させてトルクを発揮。高速域では、過給リリーフバルブを閉じることでセカンダリーターボをサージング状態へもっていき、コンプレッサー回転を120000回転まで高める。

具体的には、過給の原動力となる排気の流れを分割する制御弁を設け、低域ではプライマリーターボだけを回して、回転数の上昇が所定のところを越えるとウエイストゲートに相当する働きをする。これがセカンダリーターボに対して予回転を与え、動作する直前に瞬間的に無負荷状態で回すことでセカンダリーターボの回転を高めれば、エンジンとしての回転上昇が円滑になるというものだった。

さらに、新型コスモは内外装に対するこだわりも強かった。当初は、2ローターは5ナンバー車とし、3ローターは3ナンバー車とすることが検討されたが、山本は幅広なボディこそ高級車であることを訴え、全車で全幅は1795mmとなった。




また、後席は3人が座るのではなく2人がゆったりと座れることを前提とし、中央にはオーディオアンプを内蔵した立派なアームレストを装備。乗員をゆったりと包み込むような空間づくりに加えて、オーストリアのシュミット・フェルドバッハ社が手掛けるしなやかな牛革や、競技用の飛行機の骨材を手掛けていたミラノの工房に依頼した本木目など、素材にもこだわった。

曲線が美しいインパネ。アクセントのウッドパネルは、ミラノで加工されたもの。色調を整えるために染色を依頼したところ、自然がつくる色が一番良いものなのに、それを染めるなら引き受けられないと製造を依頼したメーカーの社長に言われたという。

「コスモ」の名誉にふさわしい最高技術を結集したクルマをつくるべきという気運を受けて、マツダが持てる技術とセンスを結集して非常識な贅沢さを含めたフラッグシップとして新型コスモは世に送り出された。

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