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【インプレ】スズキV-STROM1000→V-STROM1050 に進化! でも排気量は変わらず。新型ブイストロームをたっぷり解説。


根強い人気を誇るスズキ「ストローム」シリーズのフラッグシップが進化し「V-STROM(ブイストローム)1050」「V-STROM 1050XT」として生まれ変わった。車名を1000→1050 としたが、エンジンの排気量はそのまま1036ccを維持。では、なにが変わったのか!? レポートしよう。




REPORT●青木タカオ(AOKI Takao) PHOTO●山田俊輔(YAMADA Shunsuke)

スズキ V-STROM1050……1,430,000円

 昨秋、イタリア・ミラノで開催された「EICMA2019(ミラノショー)」にて初披露。浜松工場で生産され、2020年初頭より欧州、北米を中心に販売開始。国内では4月24日より発売となっている。新型もまたキャストホイール仕様のスタンダード「V-STROM(ブイストローム)1050」と、スポークホイール仕様の「V-STROM(ブイストローム)1050XT」 という2本立てのラインナップ。

スズキ V-STROM1050XT……1,518,000円

 実車を目の当たりにした第一印象は「DR750S」のムードをより感じさせるスタイルとなったこと。特に「Vストローム1050XT」に設定した「ヘリテージスペシャル」は1988年のパリ・ダカール・ラリー出場マシン「DR-Z(ジータ)」を彷彿とさせる特別色を身にまとい、スズキ・ビッグオフロードの伝統をより感じるものとしている。




 今回は新型になったということで、その「Vストローム1050XT ヘリテージスペシャル」より先に、まずスタンダードモデルである「Vストローム1050」を先に紹介しよう。

 ちなみにモデル名の「V-STROM」は、英語で「万能、多目的」を意味する“Versatile”の『V』と、ドイツ語で「流れ」を意味する 『STROM』を合わせたもの。初代は2002年に発売した「Vストローム1000」で、04年に「Vストローム650」、2017年には「Vストローム250」をラインナップに加えている。

 ホイールサイズは先代と変わらず、フロント110/80R19、リヤ150/70R17。 ホイールベース1555mmを確保し、ビッグアドベンチャーらしい安定感のある車体とした。

 新型のデザインコンセプトは、“Design is in our DNA”。「クチバシ」を想起させる独特なデザインは、スズキ初のアドベンチャーツアラー「DR-BIG」から受け継ぐもの。ミラーは従来モデルと同様のスクエアデザイン。XTはミラーも専用設計で形状が異なる。

 長方形の新型LEDヘッドライトを採用するなど、さらにアグレシッブかつ大胆なイメージとしている。精悍なフロントマスクは「カタナ」にも通じるスズキらしいデザインだ。

 25゜30'/109mmだったキャスター/トレールは「Vストローム1050XT」がそのまま踏襲。「Vストローム1050」は25゜40'/110mmとし、若干の変更があった。

 カラーバリエーションは3色で、撮影車はグラススパークルブラック/ブリリアントホワイト。ほかにグラススパークルブラック/ソリッドアイアングレー、グラススパークルブラックがある。また、メンテナンスやツーリング時に重宝するセンタースタンドを標準装備していることも見逃せない。

 テール/ストップライトにLEDを採用し、優れる視認性とスタイリッシュさを両立。上級版のXTでは、ウインカー同様にクリアレンズが用いられる。またウインカー形状が、XTはより細身となることも付け加えておこう。

「どこまでも走りたい」「山岳路でも自由にマシンを扱いたい」というライダーの願いに応えるため、ロングライドでも疲労度の少ない、よりリラックスしたライディングポジションを実現した。また、スチール製のステップは従来モデルより幅が広くなり、タフで機能的なイメージを高めている。

 上半身が起きるアップライトなハンドルは、絞り込まれていてグリップは乗り手に近い。シート高は855m。身長175cm、体重64kgの筆者の場合、両足を出すとつま先立ちになる。

 乗り手の体格に合わせて、標準位置より20mm高くできる2段階調整機構を持つ新形状セパレートシートを採用した。グリップ力が高い素材をシート表皮に使用し、ロングライドなどライディング時の安定性を向上。疲労を軽減する乗り心地をここでも実現している。




 また、クッション厚がしっかりあるもののシート先端を絞り込み、足を地面に出しやすくした。リヤシートも座面が広く、パッセンジャー用のグリップは大きくがっちりとしたものが備わっている。

 メーターパネルの左側にUSBソケットを配置。ライダーの好みに応じて上下3段階に高さを調節することが可能なウインドシールド、その裏にはスマートフォンやナビをマウントするステーが固定できるようバーがあるのも使い勝手がいい。

熟成のVツインに電子制御をプラスし、総合力アップ!!

 スタートスイッチを押せば、エンジンは確実に目覚める。たとえしっかりスターターボタンを押せてなくとも、スターターモーターが一定時間回転し、ECMが始動状況を認識し制御する「スズキイージースタートシステム」を搭載するからだ。




 さらに発進にも気を遣う必要はない。極低回転でクラッチをつなぐと、自動的にエンジンの回転数を上げてくれる「ローRPMアシスト」により、クラッチミートさせるまでの瞬間もエンジン回転の落ち込みを気にしないで済む。Uターンや渋滞時の低速走行などでありがたい電子制御サポートは、決してビギナーだけのためでなく、上級者もロングライドで疲労軽減につながる。




 90度VツインDOHC4バルブエンジンは排気量1036cc。車名でこそ1000→1050 となったが、100.0mm×66.0mm のボア・ストロークは変わらない。電子制御スロットルを採用し、吸排気タイミングの見直しで出力をピークパワーを7PS向上。99PS/8,000rpm→106PS/8,500rpmとした。




 SDMS(スズキドライブモードセレクター)を新たに搭載し、3つの出力特性をライダーは選択できる。スロットルレスポンスが最もシャープで、全スロットル開度で最大限のエンジン出力が得られるのが「Aモード」。スロットル開度中間域で、レスポンスをややマイルドな特性にした「Bモード」。そしてさらに穏やかな「Cモード」としている。




 筆者の場合は「Aモード」がキビキビ走ってくれて、むしろ扱いやすい。レスポンスが曖昧になる「Cモード」に設定すると、アクセルを大きく開けがちになり、かえって億劫。ただし、それはコンディションの良いときだから言えるのだろう。スロットル操作に気を遣わなくてはならない雨天や荒れた路面では、「Bモード」や「Cモード」が役立つはず。そのへんの味付けは欧州で定評のあるスズキVストロームだから、秀逸であるに決まっている。もっと長丁場を走ればまた印象が変わってきそうだ。




 トラクションコントロールも3モード+OFFから介入レベルを選択できる。最小限に介入するのがモード1、シティランで最適なバランスを提供するモード2、ウェット路面など滑りやすい路面向けで最大限のトラクションコントロールをおこなうのがモード3となる。

 冒険心を刺激する堅牢なテーパーハンドルバーを標準装備。多機能インストルメントパネルの上には、エンジン回転インジケーターランプも配備した。任意の回転数で点灯するようプログラムができる。燃料タンク容量は20Lを確保。従来型と変わらない。

 SDMS(スズキドライブモードセレクター)やトラクションコントロールは、軽量コンパクトなフル液晶ディスプレイとハンドル左のセレクターボタンで直感的に設定できたことも報告しておきたい。SDMSおよびトラクションコントロールのモードは、タコメーターの右下に集中し表示され、どのモードが選択されているか一目で確認できた。




 スピードメーターは右上、ギヤポジションはタコメーター中央に表示。時計と外気温が常に表示されるのも旅の相棒としてはとてもいい。「Vストローム1050」は背景が白、XTだと背景が黒の液晶になる。

 1997年のTL1000Sから受け継ぐセミカムギヤトレイン採用のVツインエンジンは、これまでも定評あるスズキ自慢のパワーユニットだが、新型「Vストローム1050」では低中回転域では扱いやすく、高回転域では高揚感があって熟成の域に達している。ゆったりと走っていると鼓動感もあって、アクセルを開けたときはきっちりと応えてくれるトルクフィールは秀逸だ。

 ジャジャ馬とも言えたリッターVツインも、2014年に996→1036cc化し、カムプロフィールを変更するなどし、アドベンチャーの心臓部として相応しいものへと進化を遂げている。

 吸・排気ともにカムプロフィール、カムタイミングを見直し、バルブリフト量を増加。バルブタイミングを最適化し、オーバーラップを減らすことで燃焼効率を向上させているのだ。

 軽量化と剛性を両立したボア径100mmのピストンは、軽量・コンパクトな薄型。上部にはアルマイト処理(陽極酸化)を施し、耐久性を向上した。メカニカルロス低減と信頼性を高めたピストンリングを組み合わせている。

 インナーチューブ径43mm のKYB製倒立フロントフォークは、無段階のダンピングアジャスターとスプリングプリロードアジャスターを装備。初期荷重ではしなやかに動き、奥ではしっかりと踏ん張りが効く。フロントブレーキはラジアルマウントモノブロックキャリパーと310mmフローティングマウントディスクという組み合わせ。一線級の足まわりで、制動力やタッチ、コントロール性に不満などあるはずがない。




 10スポークアルミニウムキャストホイールを装備し、タイヤはブリヂストンBATTLAX ADVENTURE41。軽快なハンドリングを実現している。

 リヤサスペンションはKYB製リンク式モノショック。伸び側減衰力調整機構やノブ式プリロードアジャスターを備え、タンデムや荷物積載時、また路面状況に合わせた細かなセッティングを可能としている。

 リヤブレーキは260mmディスクローターを採用。バネ下重量の軽減に貢献するアルミ製スイングアームや10スポークアルミニウムキャストホイールもまた、高い運動性能をもたらしている。

 前後サスペンションはソフトにセッティングされ、乗り心地が良く快適。スピードレンジを上げ、ハードに走りたいならプリロードをあげるという方法もあるだろう。




 また総合力が高く、メーター横にUSB電源を備えるなど細かいところを見ても、まさに旅の百戦錬磨といった印象。開発陣が目指したのは「万能性」「日常的な扱い易さ」「走行性能」が高次元で調和され、誰もが認める最高のスポーツアドベンチャー ツアラーモデル。買ったらとことん付き合える、そんなモデルに仕上がっていて、さすがスズキVストロームの新型フラッグシップだ。次回は「Vストローム1050XT」を紹介しよう。

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