日本を守る陸・海・空自衛隊には、テクノロジーの粋を集めた最新兵器が配備されている。普段はなかなかじっくり見る機会がない最新兵器たち。本連載では、ここでは、そのなかからいくつかを紹介しよう。今回は、陸海空自衛隊が使う日本のアサルトライフル「89式5.56㎜小銃」である。
TEXT&PHOTO◎貝方士英樹(KAIHOSHI Hideki)
セレクターの頭文字は「ア・タ・レ」
射撃は「単発射撃」「連発射撃」「3点制限点射(3点バースト)」と切り替えが可能だ。3点バーストとは、1回トリガーを引くと3発が連続発射される方式だ。機関部側面には安全装置と射撃を切り替えるセレクター部がある。安全位置は「ア」、単発位置は「タ」、連発は「レ」、3点バーストは「3」と各々の頭文字で位置表示され、セレクターレバーを動かして操作する。状況に応じて使い分けることで多目的に使用できるものだ。ちなみに、セレクターの各々の頭文字を眺めていると「ア・タ・レ」と読み取れ、これは「当たれ」に読み替えることができて面白いポイントだ。
給弾方法は弾倉(マガジン)式。装弾数は弾薬を収納するマガジンにより異なる。30発を収納できるカーブしたタイプと20発の箱型だ。銃の構成部品点数は64式小銃に比べると少なく、分解・組み立てもやりやすい。銃剣を着剣することも可能。この銃剣は鞘と組み合わせることで、鉄条網などを切断するワイヤーカッターとして使用できる。銃剣はいわゆるサバイバルナイフだ。
開発・配備当初の資料には「愛称『BUDDY(バディ)』」と書かれていた。バディとは「相棒」を意味する。歩兵にとっての相棒は小銃という認識によるものだろう。しかし、現場部隊でそんな呼び方を聞いたことはなく、「ハチキュー」が主力になっている。
89式5.56mm小銃(略称:89R)
■諸元・性能
口径 5.56㎜
全長 約920㎜(固定銃床型)
約670㎜(折り曲げ銃床型)
銃身長 420㎜
重量 3.5kg
作動方式 ガス圧利用
給弾方式 弾倉式
発射速度 最大約850発/分
製作 豊和工業