2020年のワールド・カー・アワードが発表された。トップ3ファイナリストに選ばれた2台のマツダ(マツダ3とCX-30)をおさえてワールド・カー・オブ・ザ・イヤーに選ばれたのは、起亜のミッドサイズSUV「テルライド」だ。また、ワールド・カー・デザイン・オブ・ザ・イヤーはマツダ3が受賞した。
今年で16年目を迎えるワールド・カー・アワード。ワールド・カー・オブ・ザ・イヤーのほか、ワールド・ラグジュアリーカー、ワールド・パフォーマンスカー、ワールド・パフォーマンスカー、ワールド・カー・デザイン・オブ・ザ・イヤーといった部門が設定されており、世界27か国・86名で構成される国際審査員会の投票によって受賞車が選出される。日本では、桂伸一さんや佐藤久実さんなど8名のモータージャーナリストが国際審査委員会のメンバーだ。
2020年のワールド・カー・アワードの選考は、まず2019年9月に開催されたフランクフルトモーターショーでの候補車リストの発表から始まった。同年11月にはアメリカ・カリフォルニア州パサデナで審査員によるテストドライブを実施、それを踏まえて2020年1月に最初の投票が行われた。その結果、同年2月にファイナリストが選出されるとともに、2回目の試乗・投票を実施。3月には各部門のトップ3ファイナリストが発表された。そうした過程を経て、4月8日、栄えある受賞車が発表されたというわけだ。
例年はニューヨークモーターショーの会場で授賞式が行われるのだが、今年は新型コロナウイルスの影響によりニューヨークモーターショーが8月に延期されたため、ワールド・カー・アワードの発表はデジタルメディアを通して行われた。
各部門の受賞車は、以下の通りだ。
【2020年】
ワールド・カー・オブ・ザ・イヤー:起亜テルライド
ワールド・ラグジュアリーカー:ポルシェ・タイカン
ワールド・パフォーマンスカー:ポルシェ・タイカン
ワールド・パフォーマンスカー:起亜ソウルEV
ワールド・カー・デザイン・オブ・ザ・イヤー:マツダ3
見事にワールド・カー・オブ・ザ・イヤーに輝いた起亜テルライドは、3列シートのSUVだ。メーカー自身はテルライドを「ミッドサイズ」を謳っているが、それはあくまで北米基準での話。全長約5m、全幅約2m、全高約1.75mと堂々した体躯を誇り、パワートレーンは約295psを発生する3.8リットルV6エンジンに8速ATが組み合わされている。北米でのスターティングプライスは3万1890ドル(約350万円)だ。
なお、韓国車がワールド・カー・オブ・ザ・イヤーに輝いたのはこれが初めてのこととなる。日本車の受賞経験は4回だ(2007年のレクサスLS460、2008年のマツダ・デミオ、2011年の日産リーフ、2016年のマツダ・ロードスター)。これまでの受賞車は、文末を参照していただきたい。
ちなみに、今年2月の時点でワールド・カー・オブ・ザ・イヤーのファイナリストに選ばれたのは、以下の10台である。
・起亜テルライド
・起亜ソウルEV
・マツダ3
・マツダCX-30
・ヒュンダイ・ソナタ
・ランドローバー・レンジローバー・イヴォーク
・メルセデス・ベンツCLA
・メルセデス・ベンツGLB
・フォルクスワーゲン・ゴルフ
・フォルクスワーゲンTクロス
このうち、トップ3ファイナリストに選ばれたのは起亜テルライドのほか、マツダ3とマツダCX-30だった。なんと、マツダ車が3台中2台を占めていたのである。ひょっとしたら最終選考の際、マツダの2台で票が分かれてしまった結果、起亜テルライドが漁夫の利を得たのかも…と邪推したくなってしまった。
マツダにとっては悔しい結果となってしまったわけだが、ワールド・カー・デザイン・オブ・ザ・イヤーをマツダ3が受賞することで溜飲を下げた。マツダが同賞を受賞するのは、2016年のロードスター以来、4年ぶり2度目となる。なお、同部門のファイナリストとしてマツダ3と競い合ったのはプジョー208、ポルシェ・タイカン、アルピーヌA110S、そしてマツダCX-30だった。
■これまでの受賞車一覧
【2005年】
ワールド・カー・オブ・ザ・イヤー:アウディA6
【2006年】
ワールド・カー・オブ・ザ・イヤー:BMW3シリーズ
ワールド・パフォーマンスカー:ポルシェ・ケイマンS
ワールド・グリーンカー:ホンダ・シビックハイブリッド
ワールド・カー・デザイン・オブ・ザ・イヤー:シトロエンC4
【2007年】
ワールド・カー・オブ・ザ・イヤー:レクサスLS460
ワールド・パフォーマンスカー:アウディRS4
ワールド・グリーンカー:メルセデス・ベンツE320ブルーテック
ワールド・カー・デザイン・オブ・ザ・イヤー:アウディTT
【2008年】
ワールド・カー・オブ・ザ・イヤー:マツダ2(デミオ)
ワールド・パフォーマンスカー:アウディR8
ワールド・グリーンカー:BMW 118d with エフィシェントダイナミクス
ワールド・カー・デザイン・オブ・ザ・イヤー:ウディR8
【2009年】
ワールド・カー・オブ・ザ・イヤー:フォルクスワーゲン・ゴルフ6
ワールド・パフォーマンスカー:日産GT-R
ワールド・グリーンカー:ホンダFCXクラリティ
ワールド・カー・デザイン・オブ・ザ・イヤー:フィアット500
【2010年】
ワールド・カー・オブ・ザ・イヤー:フォルクスワーゲン・ポロ
ワールド・パフォーマンスカー:アウディR8 V10
ワールド・グリーンカー:フォルクスワーゲン・ブルーモーション(ゴルフ、パサート、ポロ)
ワールド・カー・デザイン・オブ・ザ・イヤー:シボレー・カマロ
【2011年】
ワールド・カー・オブ・ザ・イヤー:日産リーフ
ワールド・パフォーマンスカー:フェラーリ458イタリア
ワールド・グリーンカー:シボレー・ボルト
ワールド・カー・デザイン・オブ・ザ・イヤー:アストンマーティン・ラピード
【2012年】
ワールド・カー・オブ・ザ・イヤー:フォルクスワーゲン・アップ
ワールド・パフォーマンスカー:ポルシェ911
ワールド・グリーンカー:メルセデス・ベンツS250 CDI ブルーエフィシェンシー
ワールド・カー・デザイン・オブ・ザ・イヤー:レンジローバー・イヴォーク
【2013年】
ワールド・カー・オブ・ザ・イヤー:フォルクスワーゲン・ゴルフ
ワールド・パフォーマンスカー:ポルシェ・ボクスター/ケイマン
ワールド・グリーンカー:テスラ・モデルS
ワールド・カー・デザイン・オブ・ザ・イヤー:ジャガーFタイプ
【2014年】
ワールド・カー・オブ・ザ・イヤー:アウディA3
ワールド・ラグジュアリーカー:メルセデス・ベンツSクラス
ワールド・パフォーマンスカー:ポルシェ911GT3
ワールド・グリーンカー:BMW i3
ワールド・カー・デザイン・オブ・ザ・イヤー:BMW i3
【2015年】
ワールド・カー・オブ・ザ・イヤー:メルセデス・ベンツCクラス
ワールド・ラグジュアリーカー:メルセデス・ベンツSクーペ
ワールド・パフォーマンスカー:メルセデス・ベンツAMG GT
ワールド・グリーンカー:BMW i8
ワールド・カー・デザイン・オブ・ザ・イヤー:シトロエンC4カクタス
【2016年】
ワールド・カー・オブ・ザ・イヤー:マツダ・ロードスター(MX-5)
ワールド・ラグジュアリーカー:BMW 7シリーズ
ワールド・パフォーマンスカー:アウディR8クーペ
ワールド・グリーンカー:トヨタ・ミライ
ワールド・カー・デザイン・オブ・ザ・イヤー:マツダ・ロードスター(MX-5)
【2017年】
ワールド・カー・オブ・ザ・イヤー:ジャガーFペース
ワールド・ラグジュアリーカー:メルセデス・ベンツEクラス
ワールド・パフォーマンスカー:ポルシェ・ボクスター/ケイマン
ワールド・グリーンカー:トヨタ・プリウスプライム
ワールド・パフォーマンスカー:BMW i3
ワールド・カー・デザイン・オブ・ザ・イヤー:ジャガーFペース
【2018年】
ワールド・カー・オブ・ザ・イヤー:ボルボXC60
ワールド・ラグジュアリーカー:アウディ A8
ワールド・パフォーマンスカー:BMW M5
ワールド・グリーンカー:日産リーフ
ワールド・パフォーマンスカー:フォルクスワーゲン・ポロ
ワールド・カー・デザイン・オブ・ザ・イヤー:レンジローバー・ヴェラール
【2019年】
ワールド・カー・オブ・ザ・イヤー:ジャガーIペース
ワールド・ラグジュアリーカー:アウディ A7
ワールド・パフォーマンスカー:マクラーレン720S
ワールド・グリーンカー:ジャガーIペース
ワールド・パフォーマンスカー:スズキ・ジムニー
ワールド・カー・デザイン・オブ・ザ・イヤー:ジャガーIペース