スズキのニューモデルである、フルカウル仕様の「ジクサーSF250(Gixxer SF 250)」は2020年4月24日、ネイキッド仕様の「ジクサー250(Gixxer 250)」は2020年6月17日に発売が決定。軽量コンパクトな新設計の油冷エンジン、単気筒ながら水冷2気筒の「GSX250R(24馬力)」を凌ぐ26馬力のパワーを発揮する両モデルと、弟分である「ジクサー150」、同じ250ccである「GSX250R」との大きな違いを検証し、選び方をレポートします!
REPORT●北 秀昭(KITA Hideaki)
ジクサーSF250、ジクサー250の特筆点はパワフルすぎる単気筒エンジン
ジクサーの開発コンセプトは…
フルカウル付きの「ジクサーSF250」と、ネイキッド仕様の「ジクサー250」は、『スズキモーターサイクル・インディア』で生産され、インドを主要販売国としたグローバルモデルだ。
250ccという、国内でも人気のクラスにカテゴライズされる「ジクサーSF250」「ジクサー250」の開発コンセプトは、
Straight-Ahead Srort Bike(まっすぐなスポーツバイク)
通期通学、街乗り、ツーリングなど、様々なシチュエーションに対応しつつ、ライトウエイトスポーツモデルとして、アグレッシブな走りを実現。
スズキからは、“弟分”の「ジクサー150」がすでにリリースされているが、この「ジクサーSF250」「ジクサー250」は、
・若年層に受け入れられるスタイリング
・高出力ながら高い燃費性能を備えた新型のSEPエンジン(新型の油冷式)
・軽快で扱いやすい車体
・リーズナブルな価格
の4本を柱に、『150では物足りない』という、さらなるスポーツ性能を求めるユーザーに向けて開発された。
国内において250ccクラスは、車検がないなど、ビッグバイクに比べて維持費が安い。ただし近年、すべてのクラスにおいて、車両価格は上昇。
「ジクサーSF250」「ジクサー250」は、車両価格を40万円台に抑えることにより、エントリーユーザーの取り込み→大排気量車へのステップアップ→国内のバイク市場全体の活性化を目標としている。
また、「ジクサーSF250」「ジクサー250」は、『乗りやすさ&扱いやすさ』を優先して開発。「最近、ビッグバイクは体力的にキツイ」と考えるビッグバイクユーザーや、「昔はビッグバイクに乗っていたけれど、今は自信がない」という復帰組にも、実用性と趣味性を兼ね備えたこの2モデルはトコトン楽しめるモデルに仕上がっている。
「ジクサーSF250」「ジクサー250」は、多気筒モデルでは味わえない軽快感に加え、ジクサー150では体感できないパワー感を獲得している。では、弟分である「ジクサー150」と、同じ250ccである「GSX250R」との大きな違いを解説しよう。
パワーアップに伴い、ジクサー150よりもフレーム&スイングアームを強化
フレームはジクサー150用をベースに、パイプの肉厚を0.3mm厚くして、ねじれ剛性を12%アップ。26馬力の油冷式エンジンにも耐えうる仕様に設計されている。
スイングアームは完全新設計。スイングアームのパイプの太さを、
・ジクサー150……50mm×30mm
・ジクサー250……60mm×30mm
に変更し、ねじれ剛性を30%アップ。
前後のサスペンションも専用設計。フロントフォークは、インナーチューブ径Φ41。アウターチューブのデザインは、ジクサーならではのスポーティさを演出。
リアサスペンションは、7段階のプリロード調整が可能なモノショック型を採用し、1人乗りはもちろん、2人乗り走行での快適性も確保。
ブレーキは2チャンネルのABSを標準装備。フロントはΦ300mmの大径ディスクローター、リアには直径Φ220mmのディスクローターを装備し、高い制動力を発揮。
「ジクサーSF250」「ジクサー250」には、ワンプッシュでエンジン始動が可能な、『スズキイージースタートシステム』を装備しているのもポイント。スタートボタンを押すと、一定時間スターターモーターが回転。ECMが始動状況を確認して、スターターモーターを停止する画期的なシステムだ。
「ジクサーSF250」「ジクサー250」の“立ち位置”とは?
●ジクサー150
・エンジン:空冷4サイクル単気筒 SOHC 2バルブ 154cc
・ボア径×ストローク長:56.0 mm × 62.9 mm
・圧縮比:9.8
・価格:35万2000円
●ジクサー250
・エンジン:油冷4サイクル単気筒 SOHC 4バルブ 249cc
・ボア径×ストローク長:76.0mm × 54.9mm
・圧縮比:10.7
・価格:44万8800円
ネイキッド仕様の両車とも、軽量な車体に単気筒エンジンを搭載しているが、エンジン特性には大きな違いがある。
14馬力のジクサー150に比べ、26馬力のジクサー250は、190%も出力が高い。ただし、“14馬力のジクサー150”は、14馬力=非力なのではなく、ロングストローク型(56.0mm×62.9mm)に設計された、低回転域から粘り強くて扱いやすい乗り味が最大のポイント。
一方、ジクサー250は、低中速域でのトルクを確保しつつ、最大出力発生時の回転数をジクサー150よりも3000rpm上げることにより、高回転域まで気持ちよく回せる、スポーティなショートストローク型(76.0mm×54.9mm)に設計。圧縮比も10.7まで上げられているのが特徴だ。
ジクサー250は、タイヤサイズも変更するなど、パワー向上によるグレードアップも図られている。
両車の走りの違いを一言で表すと、
・ジクサー150……街乗りでの扱いやすさを突き詰めた一台
・ジクサー250……街乗り+スポーツ走行もこなせる一台
●GSX250R
・エンジン:空冷4サイクル2気筒 SOHC 2バルブ 248cc
・ボア径×ストローク長:53.5mm×55.2mm
・圧縮比:11.5
・価格:54万8900円
●ジクサーSF250
・エンジン:油冷4サイクル単気筒 SOHC 4バルブ 249cc
・ボア径×ストローク長:76.0mm × 54.9mm
・圧縮比:10.7
・価格:48万1800円
外観は両モデルとも、フルカウルを装着し、MotoGPカラーを設定したスポーティなもの。エンジンはGSX250Rが空冷4サイクル2気筒 SOHC 2バルブ、ジクサーSF250が油冷4サイクル単気筒 SOHC 4バルブを搭載。両車とも、まったく異なるタイプのエンジンを採用しているが、“乗り味”にも変化を与えているのが特徴。
GSX250Rは、街乗り&ツーリングでの快適性を高めたロングストローク型(53.5mm×55.2mm)モデル。また、GSX250Rは、時速~90km/hまでの加速性能の向上、空力バランサーを備えた振動の少ない2気筒エンジン、“安定志向”を基本とした1430mmのホイールベースやキャスター角に設定済み。
一方、ジクサーSF250は、GSX250Rに比べ、最高出力を2馬力向上。ボア径76.0mm×ストローク長54.9mmのショートストローク型を採用することで、高回転域でのパワー感を獲得。158kgの軽量な車体、GSX250Rよりも短めの1345mmのホイールベース、軽快に走行できるキャスター角などがポイントだ。
両車の走りの違いを一言で表すと、
・GSX250R……安定志向の落ち着いた走り
・ジクサーSF250……軽快なライトウエイトスポーツ
メーカーは同じで、排気量も同じ250ccだが、両モデルのキャラクターは、このように差別化。各自の好みや用途によって、セレクトできるよう設定されている。あなたのお好みは、どのモデルですか?