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KTM125DUKE試乗レポ|125ccなのに400ccクラスの車格、標準装備のラジアルタイヤもなかなかイイ。


125ccの原付二種と言えば、軽くてコンパクトというイメージだが、KTM 125DUKEは一味違う。250DUKE、390DUKEといったミドルクラスと同じボディサイズの本格派モーターサイクルなのである。




REPORT●後藤 武(GOTO Takeshi)


PHOTO●山田俊輔(YAMADA Shunsuke)

KTM 125DUKE……524,600 円

「125ccの癖にずいぶんとゴージャスなバイクだな」というのがKTM 125デュークを見ての第一印象。実は初代の125デュークには散々乗ったものの2017年にフルモデルチェンジしてから試乗する機会がなかった。


 久しぶりに見た125デュークは、フレームが250,390と統一されたことで質感とインパクトは125ccクラスとは思えないほどに高くなった。見た目はまるっきりミドルクラスのようだ。。スイッチを入れた瞬間のメーターの動きにも感動。メカ好きの心をくすぐるデザインと動き方。小型免許で乗れるマシンとはとても思えないほど凝りまくった作りなのである。

ハンドリングと安定感もミドルクラス並

 このマシンの魅力はなんといっても車体と足回り。そしてそこから生まれるコーナーリング性能の素晴らしさだ。フレームがしっかりしていることに加えて前後のサスがしなやかに動く。おまけにタイヤにラジアルが奢られているから、安定感や接地感、グリップも125ccクラスのレベルを大きく超えている。


小排気量のマシンは、軽快に走れる代わりにタイヤの接地感が掴みにくかったり、安定感がなくて攻めるのが今ひとつ不安だったりすることもあるのだけれど、125デュークの場合はそういったことがまったくない。上級マシン並に安心してバイクに体をあずけることができてしまう。


 ブレーキは車体が軽いからとても良く効くし扱いやすい。加えてABSの作動もきめ細やかで作動時のキックバックも少ないところも素晴らしい。

中速が気持ち良いエンジン

 エンジンを始動してみるとレスポンスが凄く良い。ただしこれ、エンジンにトルクがあるわけではなく、フライホイールマスが少ないから生み出されている鋭さ。だから走り出してみれば加速は加速が驚くほど良いというわけではない。125としてはまあまあ元気という感じ。低回転で走ってもそんなにかったるい感じはしないし、スムーズな回り方をするので、ストリートを走っていてストレスが溜まってしまうようなことはない。


 シュンシュンと気持ち良く回るから、つい高回転まで引っ張って走りたくなるのだけれど、このマシンの場合、引っ張り過ぎはあまり良くない。高回転で特にトルクが盛り上がるわけではなく、レブリミット付近ではダラッと回っていく感じなのだ。


 125のスポーツネイキッドというと、どうしても「上までブン回して……」というイメージがあるかもしれないが、デューク125は回転を上げてパワーを絞り出す特性ではない。7000rpmぐらいまでの回転域を使っていたほうがスムーズで気持ちよく走ることができる。小排気量の4ストは高回転型にしてしまうと、それこそ下がスカスカで乗りにくくなってしまうから これくらいが調度良いところなのだろう。

ハイエンドな小排気量マシン

 もしもミドルクラスやビックバイクから125に乗り換えるのであれば、125の性格を理解しておいたほうが良いだろう。軽量な車体とこの安定感のおかげでコーナーリングはとても楽しいのだが、パワーでマシンの姿勢やコーナーリング中の速度を積極的にコントロールできないし、加速が特に良いというわけではないから、キビキビ走りたいと思ってもどうしても限界がある。エンジンは回しきれるけれど、町中を走っていても常に全開に近くなるから、人によってはこれが疲れるという場合もあるだろう。これについてはデューク125というよりも125の4ストロークマシンに共通した点。


 つまり中大排気量のマシンとはライディングにおいて楽しむ点が違う。少ないパワーを、どうやって効率よく走るか、というのが小排気量の醍醐味なのである。その点を理解して125デュークを見てみれば、ライバル達を超える車体と足回りの出来はやはり魅力的。マシンと対話しながら走るという小排気量車の楽しみ方ができるモデルである。

足つきチェック



ディテールチェック

300mmのディスクにラジアルマウントされた4ピストンキャリパーをシングルで装着。軽い車体に対しては十分な制動力を持っている。

フロントフォークはWP APEX43の倒立。ストロークは142mmを確保している。

エンジンは水冷単気筒125 cc。ボア×ストロークは58×47.2mmで最大出力11Kw、最大トルク12Nmを発揮する。

高回転で刺激的な排気音を奏でるサイレンサー。

リアショックはWP APEXのモノショック。リンクは使用せずスイングアームにダイレクトに装着する。

リアタイヤはラジアル。150/60-17という太さ。リアディスクは230mmで1ピストンキャリパーを組み合わせる。

ヘッドライトはミドルクラスのデュークと同じものを使用。正面から来てもひと目でデュークであることが分かる。

テールランプはテールカウルにビルトイン。サイドカバーからのラインに合わせたシャープなデザイン。

凝ったデザインのメーター。左スイッチボックスのボタンで様々な表示を切り替えることができる。表示は大きく見やすい。

左スイッチボックスにはウインカー、ホーン、ライトのディマー、多機能メーターをコントロールするボタンが配置されている。

右のスイッチボックスにはセルスターターとキルスイッチを装備。

スポーツライディングを考えたシート。タンデムシートは小型でセンターが盛り上がっているためタンデムライダーの快適性はあまり高くない。

主要諸元

排気量:124cm³


最高出力:11 kW


最大トルク:12 Nm


エンジン:単気筒、4ストロークエンジン


ボア:58 mm


ストローク:47.2 mm


スターター:セルスターター


潤滑:ウェットサンプ


トランスミッション:6速


冷却システム:水冷


クラッチ:湿式多板クラッチ、機械操作式


EMS:Bosch製 EMS


CO2 EMISSIONS:56 g/km


消費燃料:2.42 L/100 km




フレーム種類:スチール製トレリスフレーム(パウダーコート塗装)


フロントサスペンション:WP APEX 43


リアサスペンション:WP APEX Monoshock


サスペンションストローク (フロント):142 mm


サスペンションストローク (リア):150 mm


フロントブレーキ:4ピストンラジアルマウント固定式キャリパー、ブレーキディスク


リアブレーキ:1ピストンフローティングキャリパー、ブレーキディスク


フロントブレーキディスク径:300 mm


リアブレーキディスク径:230 mm


ABS:Bosch 9.1 MB Two Channel ABS (Supermoto ABS)


チェーン:520 X-Ring


キャスター角:65 °


最低地上高:175 mm


シート高:830 mm


燃料タンク容量 (約):13.4L


乾燥重量:139 kg
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