3/3、「あおり運転」の法制化及び罰則強化を含む道路交通法の改正が、早くも閣議決定された! 警察庁が改正試案を公開したのが昨年の秋だがら、新段階から施行までほぼ1年かかった「ながら運転」に比べれば、異例の速さと言える。さて、その具体的内容、とは?
なりゆきで車間を詰めただけでも、免許取り消しになるかも!
2017年、東名高速で起きた「あおり運転」により発生した死傷事故をきっかけに、警察庁が検討していた道路交通法の改正。従来は「あおり運転」を規定する法律がなかったため、「車間距離不保持」や「急ブレーキ禁止」などの、いわゆる軽微な違反=反則行為を適用することで、取り締まりを強化してきたわけだが、やはり、裁判で「法律の拡大解釈」を指摘されるなど、いろいろな場面で無理が生じてきたため、正式な規定を設けることが急務となっていたわけだ。
その改正法案だが、まだ閣議決定の段階とはいえ、特に「コロナウィルス問題」で紛糾する今国会で、どさくさに紛れて通過することは目に見えている。ただし、国会で承認されるのは「道路交通法を改正する」ことだけ。上表にある具体的内容に関してはすべて警察庁に委ねられている(法律の範囲以内で、だが)。たぶん、国会通過後にパブリックコメントが募集され、若干の修正が加えられたのち、この夏から施行されることになるだろう。
が、しかし、その罰則は予想以上に厳しいもの。試案段階では、免許取り消し処分の対象となるのは「あおり運転」(妨害運転)により危険を生じさせた場合だけでは?と予想していたのだが、各種報道によると、とにかく、「あおり運転」(妨害運転)が適用された行為すべて、ということらしい。となると、例えば「車間距離不保持」に関して、「通行妨害」を目的にしていたのか、それとも単にブレーキが遅れて「車間距離不保持」を犯してしまったのか、という判断を誰がするのか、という問題が生じてしまう。警察は「捜査当局が、当事者の証言とドライブレコーダーなどの記録を参考にして判断する」と言っているが、「妨害目的」であったかなかったかは本人のみぞ知るところだ。ここはぜひ、できるだけ明確な基準を設けるべきでは?
確かに、死傷事故につながるような悪質な「あおり運転」に対しては厳罰をもって臨むべきだが、下手をするとえん罪さえ生みかねない「曖昧さ」に関しては、どうにも承服することはできない。善良なドライバーを無実の罪に陥れる可能性がある法改正など、もってのほかだ。
パブリックコメントの募集時期は現時点では不明だが、判明次第、ここでお伝えする予定。善良なドライバーは特に、この法案の「曖昧さ」を突っ込んであげましょう!