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実はターミネーターの劇車でした。「ホンダ・スペイシー125 ストライカー(1983)」【青春型録 第14回】【月刊モトチャンプ 2020年1月号】


高級乗用車の文法を車体デザインに持ち込んだ“上昇志向”たっぷりのスペシャリティスクーター、それがスペイシー125。リトラクタブル式の前照灯には未来が詰まっていたぞ!




月刊モトチャンプ 2020年1月号より


語り●津田洋介(TSUDA Yosuke)/TDF


まとめ●宮崎正行(MIYAZAKI Masayuki)

83年はいろいろありすぎて津田洋介、覚醒!

──キャッツアイ、キャプテン翼。




津田 はい。




──積み木くずし、金曜日の妻たちへ、おしん、スチュワーデス物語。




津田 はいはい。




──世界まるごとHOWマッチ、全国高等学校クイズ選手権。




津田 はいはい、はい?




──ランボー、汚れた英雄、フラッシュダンス、幻魔大戦。




津田 ちょっと待て。




──そんな1983年に、スペイシー125ストライカーはデビュー!




津田 まさか今回は83年の世相をならべて逃げ切ろうと?




──フレディー・スペンサーがGP500でチャンピオン。




津田 ちょっと待てって!




──まさか、そんなわけないじゃないですか~。ちなみに津田少年、紅顔の高校1年生ですね?




津田 そうだよ。




──たしかシンクロ部でしたっけ?




津田 美術部だよ! 部長だよ!




──なんだか部長風吹かせて、ヤダな~権威的~。では話を元に戻して……えーと、元ってなんだっけ?




津田 スペイシー125。




──そうそう。二輪車で世界初のリトラクタブルヘッドライトですね。




津田 当時はかならず“自動収納式”って併記していたな。スペイシー125は大ざっぱに言うとPCXのご先祖様みたいなバイク。中身の濃い高級路線で企画されたアッパーレンジのスクーターだったんだ。




──どんな中身だったんですか?




津田 エンジンは耐久性と静粛性にすぐれた水冷4ストで、ラジエターはなんとフロントカウルの中に仕込まれている。余熱を利用しての「エア・アウトレット」は、寒い冬でも暖が採れて大助かりって寸法。




──セル始動のみのキックなし。




津田 出力は11㎰で乾燥重量が108㎏だから速いわけでもなく遅いわけでもなく、ってカンジだったな。カタログ公表値の燃費64㎞/ℓもなかなかのものだったよ。これでメットインだったら現代でも通用するハイスペックだね。




──タンデムだってロング&フラットなシートだからラクチンそう。




津田 加えてトルクセンサー付Vマチックを採用していて、スムーズさとシャープさが両立しています! とカタログに書いてあるな。




──カタログといえば表紙で腕組みしているふたりのマネキン、かなりインパクト強烈ですね。なにを表現しているんでしょうか?




津田 よくぞ聞いてくれた。それはだね、近未来。近未来のイメージ。




──……それだけ?




津田 いやいやまてまて、順を追って解説しよう。まずシュワちゃん主演の『ターミネーター』でヒロインのサラ・コナーが通勤に乗っていたのが、スペイシー125ストライカーなんだ。輸出名はエリート125だね。ボアアップして149㏄になったエリート150もラインナップされていたよ。とにかくスペイシーは、あのターミネーターの劇車だったんだよ。スゴいでしょ!




──ええまあ。




津田 反応うすっ! さてはターミネーターのこと、知らないな?




──バレた?(笑)




<津田氏による映画『ターミネーター』『ターミネーター2』の長めのあらすじ解説20分>




──……というわけでカタログに話を戻すとつまり、腕組みの銀色宇宙人が『T2』の劇中で出てくる、得体のしれない水銀状のアンドロイド「T-1000」に見えてくると、そういうことですね?




津田 そういうこと。液体金属ね。




──ややもすると、この広告ビジュアルからジェームス・キャメロン監督がインスパイアされている可能性も否定できない、と。




津田 そういうこと!




──T2の公開された1991年まで7〜8年もありますよ。




津田 構想5年! 製作3年!




──……。ちなみに水銀ちゃんふたりの顔をよーく見ると、撮影スタジオの内部が映り込んでいるのが微笑ましいですね。2019年だったら即フォトショップで修正指示だろうなあ。牧歌的だなあ。




津田 感心はそこか……。




──ちなみに1983年。ホンダだけで3月に発売されたバイクはスペイシーはじめ、タクト・クレージュ、XL125Rパリダカ、MBX125F、CBX400カスタム、C50のスーパーカブとなんと6台! 新型モデルラッシュの熱い時期でした。




津田 83年世相トークには戻らなくていいからね。




──ん? 津田さん大好物のアニメでも? 83年といえばスタジオぴえろの日本初OVAビデオ『ダロス』と『魔法の天使クリィミーマミ』。……いろいろ調べてみましたけど?




津田 くう~、そう来るか~。




──84年はテレビ『北斗の拳』、劇場版『超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか』『風の谷のナウシカ』。




津田 も、もっと攻めて~(笑)

水冷エンジン、格納式ヘッドライト、デジタル速度計、電子ウインカーアラーム……ふんだんに盛り込まれた新装備の数々。カタログにはカラー名の表記だけだったが、キャンディワインベリーレッドというレアカラーも存在。



今では考えられないほど充実した専用アクセサリー。とくにムートン調の豪華なシートカバーが際立った個性を放つ。しかも降雨時のレインカバー付きと、至れり尽くせりだ。専用ロゴ入りヘルメットもスタイリッシュ!

油圧ダンパーとボトムリンクを組み合わせたフロントサスと、油圧ダンパーを両側に備えたリヤダブルサス。さらには大きな有効発光面積をもつテールライト一体の大型リヤコンビネーションライト。志はクルマに有り。

こちらが1985年のマイチェン後の後期型。壊れやすかったのか? 液晶スピードメーターは廃止されて指針式に、前期型でオプションだったリヤキャリアが標準装備になった。価格は1万1000円アップの28万9000円に。

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