2014年に中国のShineray(シナリー)グループと手を組んでブランドを復活させて以降、スーパーモトにおいてイタリア国内選手権やヨーロッパ選手権で大活躍しているのがSWMだ。そんなレースシーンで培われた技術をダイレクトにフィードバックしているのが、エンデューロモデルやそれをベースに作られたスーパーモタードである。今回試乗したのはシリーズの末弟である原付二種のオフロードマシン、RS125Rファクトリーだ。
REPORT●大屋雄一(OYA Yuichi)
PHOTO●山田俊輔(YAMADA Shunsuke)
取材協力●BEARせたがや
SWM RS125Rファクトリー……569,800円
SWMは1971年にイタリアで創業した二輪メーカーで、オフロードモデルをメインに製造し、当時はモトクロスやトライアルで大活躍したという。2014年のブランド復活と同時にレースシーンに舞い戻ってきたのは、まさにDNAの為せる業と言えるだろう。
| |
シートにまたがるその瞬間からSWMの本気ぶりが伝わる
このRS125Rファクトリーについて生い立ちを説明しよう。まず、イタリア本国ではRS300Rという297.6ccのエンデューロモデルが販売されており、このシャシーに124.7ccの水冷シングルを搭載し、EUのA1ライセンスでも乗れるようにと誕生したのがRS125Rだ。さらに、これをベースに調整機構を持つフロントフォークやアロー製のエキゾースト、レジーナ製のドライブチェーンなど、装備を豪華にしたのがRS125Rファクトリーだ。なお、2020年2月現在、MVアグスタジャパンが輸入販売しているのは、この〝ファクトリー〟のみとなっている。
| |
| |
ホイール径はフロント21インチ、リヤ18インチのいわゆるフルサイズで、RS300Rとシャシーを共有しているだけあって、原付二種とは思えないほど車体が大きい。とはいえ、車重は乾燥で117kgしかなく、サイズ感に慣れてさえしまえば取り回しは楽チンだ。
エンジンは元ハスクバーナの技術者がゼロから開発したもので、1次バランサーはもちろん、CBR1000RR-Rなど近年のスーパースポーツが軒並み採用しているフィンガーフォロワーロッカーアームまで採用している。最高出力はEUのA1ライセンスで乗れる上限の11kW(15ps)となっているが、スペックから察するにこうした規制がなければもっとパワーは出せているだろう。
ディテール解説
| |
| |
| |
| |
| |
| |
RS125Rファクトリー 主要諸元
■エンジン
エンジン形式:水冷DOHC4バルブ単気筒
総排気量:124.7cc
ボア×ストローク:58.0mm×47.2mm
最高出力(日本仕様):11kW/10,500rpm
最大トルク(日本仕様):11Nm/8,500rpm
圧縮比:12.8:1
始動方式:セル
燃料供給方式:フューエルインジェクション
クラッチ:湿式多板
ギア:6速
燃料タンク容量:7.2L
■寸法
全長×全幅:2,236mm×820mm×1,230mm
ホイールベース:1,465mm
最低地上高:320mm
シート高:950mm
乾燥重量:117kg
■車体
フレーム:スチールシングルチューブダブルクレードル
フロントサスペンション:倒立式テレスコピックフロントフォーク(41mm)
リアサスペンション:シングルハイドロリックショックアブソーバー
■ブレーキ
フロントブレーキ:シングルスチールディスク(260mm)
リアブレーキ:シングルスチールディスク(220mm)
■タイヤ
前後リム:前1.60×21、後2.15×18
前後タイヤ;前80/90-21、後110/80-18