1971年に創業、1984年に製造を一旦中止したものの、2014年に中国のShinerayグループと手を組んで復活したイタリアンブランドがSWMだ。同国のビアンドロンノにある最新鋭の工場を拠点とし、ハスクバーナやモトグッツィの元技術スタッフが開発に携わっているという。今回試乗したのは、フルサイズの本格的なエンデューロモデルRS125Rの水冷シングルを搭載したネオクラシック、アウトロー125だ。
REPORT●大屋雄一(OYA Yuichi)
PHOTO●山田俊輔(YAMADA Shunsuke)
SWM アウトロー125……539,000円
2014年のEICMAでSWMブランドの復活が発表された。SWMは1971年にイタリアで創業した二輪メーカーで、主にオフロードモデルを製造し、当時はレースシーンでも大活躍したという。ブランド名は「Speedy Working Motors」の頭文字を並べたものと公式にアナウンスされているが、ウィキペディアには創業者の二人の名前(Piero Sironi氏とFausto Vergani氏)と所在地であるVimercate Milanoの頭文字「SV.VM」に由来すると記されている。SWMの特徴的なロゴマークをよく見ると、Wの間に小さなピリオドらしきものが確認できることから、個人的には後者の説が先にありきのような気がしてならない。
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ネオクラシックブームが原付二種クラスにも到来
このアウトロー125、1960~1970年代のスクランブラーを彷彿させるスタイリングが特徴だ。昨今のネオクラシックブームに合致したモデルであり、またSWMというブランドにとっては原点回帰という表現を使ってもいいだろう。ワイヤースポークホイールは前後とも17インチで、セミブロックタイヤはピレリのスコーピオンラリー。φ41mm倒立式フロントフォークおよびリヤのツインショックは台湾のファーストエース製で、後者はプリロードの調整が可能だ。
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16.5Lを公称する大きめのタンクやアップタイプのツインサイレンサー、そして表示サイズよりもファットに見える前後タイヤなど、軽二輪クラスに負けないほどのボリューム感を有するアウトロー125。とはいえシート高は低めなので足着き性は良好であり、また乾燥重量で130kgという軽い車体により、取り回しは非常にイージーだ。
エンジンを始動する。このクラシカルな外観からは想像できないほど快活であり、なおかつ弾けるようなシングルの排気音が聞こえてきたので、思わずタンクの下をのぞき込んでしまった。搭載されているのは、同社のエンデューロモデルSM125Rと共通の124.7cc水冷DOHC4バルブ単気筒で、これは元ハスクバーナの技術者が白紙の状態から開発したものだということを試乗後に知った。1次バランサーが組み込まれているのは当然として、パーツリストを見て驚いたのはフィンガーフォロワーロッカーアームまで採用していること。これはF1のエンジンが発祥とされ、近年のスーパースポーツがこぞって採用している高回転化に必須なメカニズムである。それをクラシカルなスクランブラーモデルにまで導入するとは……。
ディテール解説
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アウトロー125 主要諸元
■エンジン
エンジン形式:水冷DOHC4バルブ単気筒
総排気量:124.7cc
燃料供給方式:Euro4、電子制御インジェクション
ギア:6速
燃料タンク容量:16.5L
■寸法
全長×全幅:2,078mm×808mm
ホイールベース:1,386mm
シート高:720mm
乾燥重量:130kg
フロントサスペンション:倒立式テレスコピックフロントフォーク(41mm)
リアサスペンション:ダブルハイドロリックショックアブソーバー、スプリングプリロードアジャスター付き
■ブレーキ
フロントブレーキ:油圧式ブレーキ、φ300mmソリッド・ブレーキディスク、フローティングキャリパー
リアブレーキ:油圧式ブレーキ、φ220mmソリッド・ブレーキディスク、CBS付きフローティングキャリパー
■タイヤ
フロントタイヤ PIRELLI Scorpion Rally 120/70R17
リアタイヤ PIRELLI Scorpion Rally 150/60R17