2019年12月24日(火)に発表され、いよいよ20年1月20日(月)に発売される二代目スズキ・ハスラー。SUV的デザインとハイト系譲りのスペース&ユーティリティを備えた軽自動車クロスオーバーのパイオニアであり、絶対的王者だ。それに対抗するのが、2020年央に市販化されると見られているダイハツTAFTコンセプトだ。打倒ハスラーの急先鋒であることは間違いないが、そのキャラクターはかなり異なっている。ハスラーの発売を直前に控えた今、ひとまず見た目と、現段階でわかっているスペックを比較してみよう。
エクステリア
両者とも「アウトドアテイストを強調したSUVデザイン」ながら、こうして見比べてみると個性の違いが際立つ。
ハスラーは先代よりもボディの絞り込みを抑えることで室内スペースを稼ぎ、ハイト系に肉薄するユーティリティを実現している。それでいて先代ハスラーのアインデンティティをまったく失っていないのは見事だ。
一方のTAFTコンセプト(以下「タフト」)は、より一層、直線基調でまとめられている。どことなく愛嬌を感じさせるハスラーに対し、こちらはタフなアウトドアのツールといった風情だ。フェンダー回りの樹脂パーツも、タフトのほうが無骨なデザインだ。
そのhか、タフトはワイパーの根元まであえて剥き出しとしていたり、前後バンパーの下部の角を切り落とすなどしてタイヤのトレッド面の見える面積を増やすなど、オフローダーらしさを強調する演出がそこかしこに確認できる。
わかりやすく言えば、タフトはハスラーとジムニーの中間的なデザインテイストなのである。
ボディサイズは軽自動車ゆえ、規格ギリギリ。だから数字だけ並べてもあまり面白くないが……。ひとまずコンセプトカーであるタフトはまだ一部のスペックしか公開されていないため、わかっている項目に絞ってハスラーのスペックも引っ張り出してみよう。
■スズキ・ハスラー
全長:3395mm
全幅:1475mm
全高:1680mm
エンジン:660ccターボ or 660cc自然吸気
トランスミッション:CVT
駆動方式:FWD or 4WD
■ダイハツ・タフト
全長:3395mm
全幅:1475mm
全高:1630mm
エンジン:660ccターボ
トランスミッション:CVT
駆動方式:FWD
予想通り、全長と全幅はまったく同じ。だが全高はタフトがハスラーよりも50mmも低い。これは外から見ても明らかで、ウインドウの天地が浅いチョップドルーフのようなスタイルなのだ。これによって、軽自動車に普遍的に漂いがちな可愛らしさが抑えられ、タフなオフローダーらしさが増している。天地が抑えられ、直線基調のデザインであることも相まって、離れてみるとハスラーよりもややボディサイズが大きいような錯覚も受ける。
パワートレインに関しては、まだ比較するほどの情報はない。タフトはターボとFWDであるとされているが、市販化される際には当然ながら自然吸気と4WDもラインナップされるのではないか。
インテリア
インテリアはハスラーがSUVらしいポップなデザインでまとめられているのに対し、タフトはスポーツカーとも言えそうな「漢っぽい」空間に仕立てられている。
ハスラーはダッシュボードの3連ガーニッシュがなんと言っても斬新だ。一方のタフトはセンターコンソールが張り出し、軽自動車にしては珍しくセパレート感の強いコクピットだ。見たところ、フロントシートのサイドサポートもタフトのほうが張り出しているように見える。
リヤシートは、スペースの余裕は両者の間に大きな差はなさそうだ。ただしハスラーは左右が独立して前後スライドするのに対し、タフトは固定式だ。その代わり、タフトの座面はものすごくブ厚い。座り心地はかなりよさそうだ。
ラゲッジスペース
最後にラゲッジスペースを見比べてみたい。
双方とも50:50の分割可倒式で、リヤシートを倒せば見事なまでに真っ平らなフロアが現れる。ハスラーのリヤシートは前後スライド式のため、ラゲッジスペース床面とリヤシート背面をつなぐプレートが用意されているのが親切だ。
一方のタフトはラゲッジスペース床面とのみならずリヤシート背面にも樹脂が張られ、濡れたものも気にせずに積めるのがうれしい。汚れても簡単に洗えるだろう。タフトは「2名乗車+かさばる荷物」という組み合わせの用途を重視したコンセプトらしく、リヤシートを常時倒した状態で使うことを想定して開発されたらしい。
このように、真っ向勝負のライバルではあるもの、こうして見ていくとかなりキャラクターが異なっているのがわかるだろう。逆に言うと、素直に自分の好みや直観で選んでも、そう間違いではないということだ。
いずれにせよ、高いユーティリティを備えつつも、個性で選べる軽自動車が現れたことは喜ばしい限り。1月20日(月)のハスラーの発売と、今年の夏頃とされるタフトのデビューが楽しみである。