初代の爆発的なヒット以来、ヴィッツ/ヤリスは性別や年代はおろか国境さえも超えて、さまざまな用途に応える、オールマイティなコンパクトカーとして愛され続けている。今回のモデルチェンジでは、WRCのラリーカーのベースモデルとしての要求までをも満たすことが求められる存在となった。そうした背景の中で、トヨタの持つ最新の知見と技術が投入され全面刷新された新型ヤリスのメカニズムを紹介する。
REPORT●安藤 眞(ANDO Makoto)/編集部
新型にも色濃く残る初代のコンセプト
コンパクトサイズをキープしながらエモーショナルなデザイン
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前傾したキャビンとボディサイドの抑揚ある造形で、躍動感や軽快感が表現されたヤリスのボディ。その内には世界ラリー選手権での使用も想定されたTNGA思想による骨格が配され、実用車の域を超える、上質な走りが追求されている。また、競合車にサイズの拡大傾向が見られる中、コンパクトなサイズにこだわったのも新型ヤリスの特徴だ。
慣性諸元追求の数々の施策
コンパクトでも高い居住性
エンジンの重心位置にこだわり運動性能の向上に貢献
ボディ各部の強化策で実現された高剛性ボディ
インパネ内部の部品レイアウト調整を経て実現した構造
トンネル断面を結合させることでより強固なフロアに
高強度材の最適配置で軽く強く
構造用接着剤の導入により適所を効果的に強化
新構造のエアバックを採用
【1KR 1.0ℓエンジン+改良Super CVT-i】既存エンジンをブラッシュアップして搭載
エンジン型式:1KR-FE
排気量(㏄):996
種類・気筒数:直列3気筒
弁機構:DOHC12バルブ
ボア×ストローク(㎜):71.0×83.9
最高出力(kW[㎰]/rpm):51[69]/6000
最大トルク(Nm[㎏m]/rpm):92[9.4]/4400
使用燃料:レギュラー
【TNGA1.5ℓエンジン+HYBRID】高い熱効率を誇る新エンジン
エンジン型式:M15A-FXE
排気量(㏄):1490
種類・気筒数:直列3気筒
弁機構:DOHC12バルブ
ボア×ストローク(㎜):80.5×97.6
最高出力(kW[㎰]/rpm):67[91]/5500
最大トルク(Nm[㎏m]/rpm):120[12.2]/33800- 4800
使用燃料:レギュラー
モーター最高出力(kW[㎰]/rpm):59[80]
モーター最大トルク(Nm[㎏m]/rpm):141[14.4]
リヤモーター最高出力(kW[㎰]/rpm):3.9[5.3]
リヤモーター最大トルク(Nm[㎏m]/rpm):52[5.3]
HVシステムは上級ユニットで先行している小型高効率化技術を漏れなく投入。パワーコントロールユニットのIGBTには逆導通型を採用する。駆動用バッテリーには、エネルギー密度の高いリチウムイオン式を採用する。
【TNGA1.5ℓエンジン+Direct Shift-CVT】CVTとの組み合わせに最適化
エンジン型式:M15A-FKS
排気量(㏄):1490
種類・気筒数:直列3気筒
弁機構:DOHC12バルブ
ボア×ストローク(㎜):80.5×97.6
最高出力(kW[㎰]/rpm):88[120]/6600
最大トルク(Nm[㎏m]/rpm):145[14.8]/4800-5200
使用燃料:レギュラー
サスペンションの摩擦抵抗を低減
剛性が高くキャンバー変化を的確に制御できるリヤサス
小さなスペースで4WD化を実現
超微低速領域の減衰力を的確に制御して上質な乗り心地を実現
支持剛性を高め応答性を向上
安定性と応答性を両立
交差点事故を回避するトヨタ初の機能
車庫入れが苦手でも大丈夫!
高度駐車システムである「Advanced Park」もトヨタ初の機能。ステアリング操作だけでなく、アクセルとブレーキの制御も車両が行なうので、ドライバーは前進と後退の切り替えをするだけで駐車をしてくれる。
事故はもちろんヒヤリ・ハットも防いでくれるコンパクト車初機能
駐車枠から後退で出庫する際に、接近する車両を感知して警告をしてくれる「リヤクロストラフィック」と、車線変更時に死角から接近する車両の存在を教えてくれる「ブラインドスポットモニター」もコンパクト車初採用の機能。
車線の維持と車線逸脱制御を支援する
コンパクト初採用の追従式クルコン