12月22日、埼玉県のサーキット秋ヶ瀬で『最終戦HondaRacing60周年杯Let'sレン耐4時間耐久』が行われ、多くの参加者と豪華なゲストライダーによって盛り上がりを見せた。
REPORT●伊藤英里 PHOTO●高橋学、伊藤英里
レン耐とは、元ロードレース世界選手権ライダーであり、2020年にはWECル・マン24時間耐久レースへの参戦を表明するなど、現在も精力的にレース活動を行う青木拓磨さんが主催するレンタルバイクによる耐久レース。バイクのみならずレーシングギアのレンタルも可能で、レースでは一定回数ごとのライダー交代の合間にミニゲームが盛り込まれ、一度の走行時間が30分と定められていたり、また転倒した場合はバイクがいかなる状況であろうとも罰金が科せられるなどの趣向が凝らされており、レースビギナーでも気軽に参加できるレースとなっている。
12月22日にサーキット秋ヶ瀬で行われた今大会は、そんなレン耐の2019年最終戦であると同時に、ホンダの世界選手権参戦60周年記念大会として行われた。あいにく曇天が広がりかなり冷え込んだ日ではあったが、合計18チームが一般参加。さらに記念大会として、ゲストライダーを含む2チームがエントリーした。
ゲストライダーは、なんとも豪華な面々。ロードレース世界選手権Moto3クラスに参戦する小椋藍選手、2020年シーズンから同クラスにフル参戦を開始する國井勇輝選手、そして二人が所属するHonda Team Asia監督であり、2019年ロードレース世界選手権250ccクラスチャンピオンの青山博一監督。全日本ロードレース選手権からはJSB1000ライダーの水野涼選手と2019年J-GP2クラスチャンピオンの名越哲平選手がエントリー。
さらには一般参加として、拓磨さんの弟であり現役オートレーサーとして活躍する青木治親選手、2019年シーズンはFIM CEVレプソルインターナショナル選手権Moto2クラスに参戦した石塚健選手、CBR250RRドリームカップに参戦した梶山采千夏選手も加わって……と、そうそうたる顔ぶれと称するにふさわしいトップライダーたちが顔をそろえた大会となった。
といっても、レン耐ではまったくの同条件というわけではなく、ゲストライダーを擁する2チームには、ライダー一人あたりの走行時間を少々短めに設定されるハンデが課せられた。レーシングライダーの走りを外から見るだけではなく、ともにレースを走ることができるとあって、参加者にとっても貴重な体験となったに違いない。また、こうした様々なカテゴリーで戦うライダーが一同に会したレースを感じられるのもまた、とても稀有で貴重な機会だったのではないだろうか。
今大会では通常の4時間耐久レースのみならず、豪華ライダーたちによるスーパーカブのエキシビションレースが行われた。ここには上述のライダーたちに加えて、応援に駆け付けていた小椋華恋選手も飛び入り参加。華恋選手は小椋藍選手の実姉で、2019年はMoto AmericaのJr.Cupにスポット参戦している。さらには主催の拓磨さんも、ブーツをステップに固定し、左ハンドルにリヤブレーキを備えるモンキーを駆って加わり、レースを盛り上げた。
エキシビションレースとはいえ、トップクラスのライダーたちの走りは迫力満点。なんといっても、すぐ目の前で繰り広げられる繰り広げられるオーバーテイクや超接戦の争いは圧巻の一言で、ライダーたちが駆っているそれがスーパーカブであることを忘れてしまうほど。多くの参加者は時には歓声を上げ、すぐ目の前のエキサイティングなレースに見入っていた。
また、この日は主催の拓磨さんの2020年WECル・マン24時間耐久レース参戦を応援するセレモニーが行われた。実はこのセレモニー、拓磨さんには当日のそのときまで秘密裏に進められたもので、常にレン耐を支える一人、福山理子さんが中心となって企画されたもの。突然のセレモニーに、拓磨さんもびっくりしながら応援団の気持ちを受け取っていた。
参加者の話を聞いてると、新しくレン耐に参加するライダーは、すでに参加しているライダーから誘われてその楽しさに目覚めていくことが多いようだ。いい意味での馴染みやすい雰囲気がある、そんなレン耐の空気を象徴するようなセレモニーだった。
最後には表彰式と、青山監督が用意した、MotoGPチャンピオンのマルク・マルケスのサイン入りグッズなどスペシャルなプレゼントがもらえるじゃんけん大会で締めくくり。最後まで大いに盛り上がり、笑顔の絶えない大会となった。
レン耐に参加したライダーの感想は一体どんな感じ? 今回は、レン耐初参加のフレッシュなお二人に話を聞いた。
木下希美さん(エイプ100クラス)
なんと数日前に免許を取ったばかりという木下さん。会社の方に誘われての参加だったそう。レースはもちろん、バイクもまだ慣れ始めた頃だと思うが、「怖くはなかったですよ。楽しかった!」とにっこり。木下さんは免許取り立てでのレン耐参加ということで、この日の『特別賞』を受賞。おめでとうございます!
斎藤雅也さん(グロム125クラス/写真中央)
斎藤さんは今回が初レン耐の27歳。転倒を喫してしまったけれど、最後には「楽しかったです」と笑顔を見せ、頼もしいチームの仲間とともにレースをエンジョイした様子だった。