コンパクトカー市場の競争が激化している。トヨタがヴィッツをフルモデルチェンジしグローバルのモデル名である「ヤリス(Yaris)」を投入。年明けにはホンダがフィットをフルモデルチェンジする。ここでは、ヤリス、フィット、マツダ2、そしてヴィッツを並べて比べてみよう。
かっこいいヤリスは前席重視
新型ヤリスは、TNGAのGA-Bプラットフォームを使う。これはヤリスが初出だ。トヨタの戦略は明快でコストパフォーマンス重視はグループのダイハツが開発するDNGAプラットフォームを使う。今回のヤリスのGA-Bプラットフォームが目指すのは「もっといいクルマ」ということになる。では比べてみよう。
まずは、新型ヤリス vs ヴィッツ、つまり新旧比較である。
ボディサイズから見てみよう。
(新)ヤリス
全長×全幅×全高:3940mm×1695mm×1500mm
ホイールベース:2550mm
(旧)ヴィッツ
全長×全幅×全高:3945mm×1695mm×1500mm
ホイールベース:2510mm
である。全長は5mm短くなったほかはほぼボディサイズは新旧で同じだ。ホイールベースが新型では40mm伸びた。したがって、新型はタイヤが四隅に踏ん張って見える。
でも、見た目の印象はずいぶん違う。
フロントオーバーハングは新旧で同じ。リヤオーバーハングは新型が45mm短い。ホイールベースは新型で40mm伸ばされている。ホイールベースの延長は後席やラゲッジルームの拡大に振り向けられたわけではなく新型ヤリスでは前席の居住性、余裕に使われた。
ラゲッジルーム長は新旧変わらず。前席は58mm、後席は20mm、旧型より後方に移動している。前後のタンデムディスタンスは37mm短くなっている。
つまり、新型ヤリスはあくまでも前席重視のパッケージなのだ。
今度は来年2月発売の新型フィットを比べてみる。フィットは詳細なスペックが未発表だが、一部推測をまじえて見ていこう。
ボディサイズは
新型ヤリス
全長×全幅×全高:3940mm×1695mm×1500mm
ホイールベース:2550mm
新型フィット
全長×全幅×全高:3995mm×1695mm×1500mm
ホイールベース:2530mm
である。フィットの全長以外の寸法は発表されていないが、全幅は1695mmは間違いない。車高も大きくずれることないだろう。ホイールベースは現行フィットからプラットフォームをキャリーオーバーする関係で2530mmだろう。
上が新型ヤリス、下が新型フィットだ。同じコンパクトハッチバックというカテゴリーだが、パッケージはまったく違う。フィットの室内寸法は未発表だが、どうみてもフィットの後席の方が広そうだ。
前席重視のかっこいいヤリスと後席の居住性も高いかわいいフィットという図式になる。新型フィットが「柴犬」みたいなクルマだとしたら、新型ヤリスは精悍なネコ科のクルマ、と言えるかもしれない。
いずれにせよ、ヤリスとフィットはライバル関係にあるが、購入を考える人は意外と迷わないかもしれない。
パッケージは似るヤリスとマツダ2
今度はマツダ2と比べてみよう。
ボディサイズは
新型ヤリス
全長×全幅×全高:3940mm×1695mm×1500mm
ホイールベース:2550mm
トレッド:F1480mm/R1475mm
室内長×幅×高:1845mm×1430mm×1190mm
MAZDA2
全長×全幅×全高:4065mm×1695mm×1500mm
ホイールベース:2570mm
トレッド:F1495mm/R1480mm
室内長×幅×高:1805mm×1445mm×1210mm
である。マツダ2の方が125mmも長い。ところが、サイドビューを見ると両モデルのプロポーションはかなり似ている。
2台を重ね合わせてみる。画角が微妙に違うから正確な比較は難しいが、全体のプロポーションはかなり似ている。
Aピラーとフロントアクスルセンターの関係でいえば、マツダ2の方がヤリスよりまだ後方だ。Aピラーの角度はほぼ同じ(ヤリスの方がやや寝ているか)、Cピラーはマツダ2の方がさらに寝ている。
ここからもわかる通り、マツダ2も前席重視のパッケージだ。ヤリスと同じく、それゆえカッコよく見える。
Bセグコンパクトハッチバックは、ヤリス、新型フィットの登場で競争が激化する。しかし、クルマの使用条件を考えたら、意外とすんなり答えが出るかもしれない