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ついに乗った! 新型フォルクスワーゲン・ゴルフ試乗記「不動のベンチマークであり続ける覚悟」|VW GOLF 8


8代目となる新型フォルクスワーゲン・ゴルフがついに走り出した。誰もが認める世界のベンチマークだけに、その注目度の高さは計り知れない。ポルトガルで行われた国際試乗会からレポートをお届けする。




REPORT●渡辺敏史(WATANABE Toshifumi)

EV至上主義者はいったん落ち着くべし

 去る9月のフランクフルトショーでは、新しいフラットデザインのコーポレートマークと共に、ID.ブランド初のプロダクションモデルもお披露目と、強力なBEVシフトを推進するVW。その一方で、翌月の10月に発表されていたのが8世代目となるゴルフだ。その処遇の違いを見るに、もはやVWではコンベンショナルなモデルは二の次的扱いになっているのではないかと訝ってしまう人もいるだろう。

 だが現況や現場をよく知るVWのエンジニアは、自分たちの核心がゴルフであることは微動だにしていないと口を揃える。そしてBEVにゴルフのユーザーを迷わせるような価格と実用性の折り合いがつけられるようになるのは、まだかなり先だろうとも仰せる。




 まぁ世論や仕向国やステークホルダーに向けてそういう姿勢を取らざるを得ない経営陣の苦悩もわからなくもないが、無論それが本筋だ。ともあれBEV至上論をぶち上げる方々にはいったん落ち着いていただき、「普及が進むまでの短くはない猶予を、エネルギーミックスの改善や、生産活動や生活サイクルに変化を及ぼさない効率的な供給網や充電網の整備などに配分しましょうよ」と申しておきたい。

 日本におけるゴルフ8の導入に関しては来年後半を目指しているというが、それ以外は未確定事項が多い。というのも、先にネタをバラせばこのクルマのフォーカスはCASEをまるごと形にしたようなデジタライゼーションにあり、それは通信方式やサービス展開内容に依存するところも少なからずあるからだ。ここに記す内容はすべて欧州仕様の話ということを前置きしておく。

 まずすべてのゴルフ8には10インチの液晶メーターパネルと、センターコンソール側には8.25インチのインフォテインメントモニターが標準装備となる。さらにインフォテインメントの機能などをオプション選択することによって、センターコンソールのモニターは高精細液晶の10インチに拡大。車両機能の大半もこのインフォテインメントモニターを介してタッチコントロールで設定することになる。



 空調やドライブモードなど頻繁に用いる4つの機能は、物理式のハザードボタンを囲むようにジャンプボタンを据えるものの、設定項目によっては深い階層を掘り出す必要にも迫られる。




 その解消の一助としてゴルフ8が推奨するのが、AI対話型のボイスコマンドコントロールだ。ドイツのプレミアムブランドにおいては既に実装するところもあるが、ゴルフクラスのモデルで展開されるのは欧州では初だろう。




 これにより、ナビの設定や音楽ソースの選択などにAI側の提案性が加わるだけでなく、室内温度の上下や室内灯のオンオフ、アンビエント演出の切り替えなど、多くの機能設定を音声で指示することが出来るという。




 このボイスコントロールを支えるのは、標準装着となる4Gのe-SIMを介してのネット常時接続機能だ。同時に、OTAを介した車両情報のアップロードや機能アップデートのソフトウェアダウンロードなどもこの通信が支えることとなる。





 加えてゴルフ8にはVWブランドで初となるCar to X通信機能を備えている。これは通常の天候や渋滞などのインフラ情報だけでなく、路上にいる同様の機能を備えた車両から収集された様々な走行情報を組み合わせて、瞬間〜予測的な危険情報までも共有するものだ。




 日本ではトヨタが専用周波数帯を使ったITSコネクトを実用化しているが、VWはWLANpと呼ばれるWi-Fi系の通信技術を用いている。Car to X領域は現状地域によって使用する通信方式が異なるためローカライズが出来ず、インポーターもこの機能については日本での展開は厳しいと見ているようだ。通信速度や量、安定性の如何によっては5Gが統一の解決材料になるかもしれないが、その実証と実装はゴルフ8の世代では難しいだろう。

朗報! Cセグメントの肥大化にストップがかかった

 ゴルフ8の搭載エンジンは1.0Lの3気筒ガソリンターボ、1.5Lの4気筒ガソリンターボ、2.0Lの4気筒ディーゼルの3つを基本とし、各々で出力別にバリエーションが持たされている。




 そのうち現状で日本への導入が検討されているのは、1.5Lガソリンに48Vのベルトドリブン式モータージェネレーターを組み合わせたマイルドハイブリッドのeTSI、そして基本骨格以外のすべてを見直した2.0LディーゼルのTDIのふたつ。ともに150psを発揮し、7速DSGとの組み合わせで0-100km/h加速は前者が8.5秒、後者が8.8秒となる。




 サスペンションをマウントするサブフレームのアルミ化による軽量を筆頭に、リファインされたMQBモジュールを用いたゴルフ8は、車寸もほぼ先代に準拠したところに収められている。




 エンジニア曰く、これ以上ゴルフを大きくすることはユーザビリティはもとより、自社ラインナップのヒエラルキーの面でもとにかく避けたかったというから、欧州勢でもCセグメントの肥大化を憂慮する声もあったのだろう。

 ゴルフ8の乗り心地やハンドリングは、先代にあたるゴルフ7の延長線上にあって、特に静粛性やフラットライド感は確実に向上している。ただしタイヤのサイズによる差異は意外と大きく現れるようで、18インチと17インチでいえば個人的には17インチの方が俄然印象が良かった。




 このセグメントはプレミアムブランドの参入に加え日本メーカーのレベルも大きく向上し、さしものゴルフとて静的・動的質感の両面において以前ほどの劇的なアドバンテージを築いているわけではない。だが、その激流に飲み込まれてしまったかといえば答えはノーで、相変わらずゴルフはCセグメントのフロントラインにいることは確かだ。




 そしてこのダイナミクスの資質があればこそ活きているのが、ゴルフ8では大幅にアップデートされたADASを作動させている際の安定性や快適性だ。ゴルフ8では0-210km/hまでのACCとレーンキープアシストの高度な連携を唱うトラベルアシストが装備されるが、その車間調整や車線の収め方などは先代から劇的にリニアになっている。現行VWモデルの中では最も上質、他社ならばDセグメント以上級に相当するほどのクオリティと思って間違いはないだろう。




 左様に、ゴルフ8は周囲がドン引くほどのデジタルテクノロジーの積極的投入でこのセグメントに新たな指標を打ち立てた。それは、これからの時代は避けられない新たな領域の技術競争においても、不動のベンチマークでいるという意気の表れだろう。

ゴルフ 1.5 eTSI


全長×全幅×全高:4284×1789×1456mm


ホイールベース:2636mm


エンジン形式:直列4気筒DOHCターボ


排気量:1498cc


最高出力:110kw〈150ps〉/5000-6000rpm


最大トルク:250Nm/1500-3500rpm


トランスミッション:7速DCT


駆動方式(エンジン・駆動輪):FF


最高速度:224km/h


0-100km/h:8.5秒
ゴルフ 2.0 TDI


全長×全幅×全高:4284×1789×1456mm


ホイールベース:2636mm


エンジン形式:直列4気筒DOHCディーゼルターボ


排気量:1968cc


最高出力:110kw〈150ps〉/3500-4000rpm


最大トルク:360Nm/1750-3000rpm


トランスミッション:7速DCT


駆動方式(エンジン・駆動輪):FF


最高速度:223km/h


0-100km/h:8.8秒
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