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SKYACTIV-XのMAZDA3にレギュラーガソリンを入れてみた! ハイオク“推奨”のマルチオクタン対応エンジンの走りは変わるか?


日本仕様のMAZDA3 SKYACTIV-Xはレギュラーガソリンも使えるが、ハイオクよりも出力/トルクが落ちるので給油時はお好みで選択を、という仕様。じゃあハイオクとどれくらい差が出るのかを試してみた。

 MAZDA3 SKYACTIV-Xエンジン搭載車は本来のハイオク使用での試乗記がほとんどで、レギュラーの走りのレポートはまだほとんどない。筆者は短時間ではあるが本来のハイオクとレギュラーの乗り比べを行なう機会があった。その違いをお伝えしていこう。

 別取材を終えたMAZDA3SKYACTIV-X(FF/6速AT)広報車を新宿の社用駐車場で夜に受け取った時点で、ガソリン残量はおよそ半分、予想航続距離は310kmの表示だった。翌日朝からの取材終盤でタンク内のハイオクガソリンを使い切ってレギュラーを給油したいのだが、310kmを走るには明日の取材内容では試乗時間が不足している(大注目の新型車なので広報車を借りられる日程がタイトなのです)。

 ならば逆エコランでガソリンを消費するしかない! と考えた筆者は、中央自動車道・調布IC近辺の自宅への帰宅時に走行距離を伸ばすべく、新宿から約60km西の相模湖インターまで足を伸ばすことにした。さらにATをマニュアルモードにして2速、3速で高速道路を走行。けっこうな高回転域をキープしているが、2速/3速なので制限速度範囲内である。空いた高速道路で他のクルマに次々に追い越されながら約100kmを走って帰宅、この運転期間中の平均燃費は約10km/ℓだった。これだけぶん回したらもっと燃費が悪化すると思ったのだが。



 こうして目論見どおりに燃料を消費し、警告灯が点灯しても粘ってできるだけタンク内のハイオク残量を減らしてからレギュラーを給油。ガソリンスタンドの店員さんに「無鉛プレミアムと書いてますけど、いいんですか?」と確認されるも「テストしてみたいので」と返答してレギュラー給油は終了した。




 で、レギュラーガソリンではどうかというと、これが思った以上に変わった。高速道路ではなく一般道での走行でもはっきりと分かる。トルクの線が細くなったというか、アクセル開度に対するレスポンスがまったりするというか、ぐっとおとなしい印象のエンジンに。





 センターディスプレイに表示できる燃焼状態を見ると、SPCCIに入る頻度やその持続時間はあまり変わらない。しかし、SI時、SPCCI時どちらも印象は同じ。このおとなしくなる印象は、高速巡航にアクセルオンで加速しようとするとより顕著に感じられるが、一般道でも違いは大きい。ハイオクとレギュラーの違いは高負荷/高回転域で出ると考え、停止からの発進→低速走行という市街地ではハイオクとあまり変わらないのでは、と予想していたのだが……。




 もちろんレギュラーガソリン使用も考慮された制御なので、エンジン回転上昇がスムーズでなくなるとか、異音や振動が出るといった不具合はまったくない。がしかし、エンジン回転数は滑らかに上がっていくのに、どうも車速の上昇が少し鈍いというような不思議な感覚なのである。CVTではなく、エンジン回転数と車速がリンクする有段式ATなのに、だ。

 一般的な走行モード切り替えは、シフトタイミングの変更を主にしているものが多い。コンパクトカーやミニバンに多いエコ運転支援モードは、アクセルレスポンスを意識的にダルにして踏みすぎても車速を上げすぎないようにしている。SKYACTIV-Xにレギュラーを入れると、これらと微妙に異なる、不思議な印象だった。

上の記事で、マツダのエンジニアはこういっている。




「いや、本当にレギュラーでいく心意気だったのです」と髙松氏は頭を掻く。「夏にヨーロッパで現地のジャーナリストに乗っていただいたときに、『ハイオク仕様のほうがいい』というフィードバックをもらいました。当時、レギュラーで充分にできていないこともあって、葛藤があったのです。高回転や高負荷を使わない普通の乗り方であればレギュラーで充分です。でも、『走りたい』となったときに、レギュラーではなかなか応えることができない部分がありまして、ハイオク推奨という形で追加開発することに決めました」

開発段階の資料グラフにある曲線通りのフィーリングだ。走り始めの1000-2000rpmのトルクがレギュラー(RON91)のほうが痩せている。乗り比べた印象と一致する

 エンジニアは「あえてレギュラーに合わせて圧縮比15.0で適合した」と言っていた。




 編集部数人が、ハイオクガソリンとレギュラーガソリンで乗り比べたが、全員がすぐに違いに気づいた。ハイオクガソリンのときに感じた特別感はレギュラーガソリンにすると非常に薄〜くなってしまう。


 たとえ、レギュラーを入れても問題なくエンジンは回るとしても、たとえ燃費もそんなに落ちないとしても、せっかく革新的燃焼方法のSKYACTIV-Xエンジン搭載モデルを(通常のSKYACTIV-Gよりだいぶ高価)大枚払って買ったオーナーが、レギュラーを入れた時のフィーリングを受け入れるか? もちろん、燃料代は下がるとしても、だ。




 販売政策上、「国内仕様でレギュラー非対応、ハイオク指定は販売上あり得ない」ということなのかもしれないが、レギュラーガソリンを入れてドライブした我々モーターファン・イラストレーテッド編集部としては、「Xの良さが体感できならレギュラーは入れない。ハイオク指定で圧縮比16.3(かそれ以上。欧州のRON95に対して国内はRON100でいけるのだから)のエンジンにしてほしかった」と思ったのだった。

SKYACTIV-X エンジン形式:2.0ℓ直列4気筒DOHCスーパーチャージャー+Mild Hybrid エンジン型式:HF-VPH型 排気量:1997cc ボア×ストローク:83.5mm×91.2mm 圧縮比:15.0 最高出力:180ps(132kW)/6000rpm 最大トルク:224Nm/3000rpm 燃料供給:筒内燃料直接噴射(DI) 使用燃料:プレミアム(推奨・レギュラーにも対応)

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