今や、電動バイクは少しずつではあるが確実にその存在感を高めている。第46回東京モーターショー2019でも各メーカーからコンセプトモデルなどが出品された。ここでXEAM(ジーム)の新しい電動バイクとしてお披露目されたのが、『G-NT』だ。
REPORT/PHOTO●伊藤英里(Eri Ito)
今回新しく登場したモデルは、『N-GT』。原付二種にあたる電動スクーターで、2020年春の発売を予定している。このモデルが、発売に先駆けて第46回東京モーターショー2019で展示中だ。
電動バイクブランドXEAMの元には、中国のNiu Technologies社の電動バイクブランドniu(ニウ)がある。niuを日本で販売するにあたり、福岡県に本社を置くMSソリューションズが日本仕様に変更を施したもの、それがXEAMというブランドの電動バイクだ。つまり、niuの日本仕様のブランドがXEAMなのである。
このように、展開するメーカーが内燃機関のバイクを造ってきたメーカーばかりではないことも、電動バイクの特徴の一つだ。電動バイクというカテゴリーは内燃機関のバイク製造よりは新規参入が容易である、という可能性を持つ。
N-GTの特徴はいくつかある。まず、リチウムイオンバッテリーが2個搭載されていること。にもかかわらず、バッテリー1個でも走行が可能だ。最高速度は70km/h。走行モードは3つあり、この最高速度は『スポーツ』モードのときのものだそうだ。『ダイナミック』モードでは約45km/h、E-SAVEモードでは燃費走行となり約20km/hが最高速度となる。
さらに、航続距離は134km。現在XEAMで展開されている原付二種の『M+Sport』は、カタログ掲載の数字で最高速度45km/h、航続距離が120kmだから、どちらもかなり伸びたことになる。航続距離についてはどちらもE-SAVEモード(Ecoモード)での数字だそうだが、N-GTは『スポーツ』モードでも「60km程度は走るのではないか」とは担当者の弁。60kmも走れば、日常使いにはまず困ることはないだろう。
ツーリング用途には少々苦しいかもしれないが、バッテリーは家庭用の100Vコンセントで充電可能なので、コンセントを確保できる場所があらかじめわかっていれば思い切って出かけられるのでは……、という可能性も感じる。
細かなところでは、USBポート、クルーズコントロールを標準装備。また、2020年モデルからは、niu専用アプリに対応し、スマートフォンから走行距離や走行履歴、バッテリー残量が確認できるようになるという。
車格はM+Sportに比べると大ぶり。にもかかわらず車両重量はバッテリー込みで約109kg。電動バイクはバッテリーやモーターが重いので車両重量が増えてしまいがちだが、内燃機関のバイクの原付二種クラスと比較しても、標準的か軽量なくらいではないだろうか。
ここまで見ていくと、気になるのが走りのインプレッション。筆者は9月上旬、サーキット秋ヶ瀬で行われたXEAMの試乗会に足を運んだ。そのときは新モデルのN-GTはなかったものの、M+Sportで走行。電動バイクの特徴にはアクセルの開け始めからの高トルクがあるが、それを十分に堪能できる印象だった。一方で、最高速の頭打ちの早さは否めなかったのは確か。
今回は、加速感がさらにパワーアップしているとのこと。最高速度も上がっているから、十分に楽しめそうだ。担当者は「走りの満足度は高い」と太鼓判を押す。新たに登場する電動バイクとして、間違いなく注目したい1台だ。
余談ではあるが、電動バイクを購入するお客さんの中には、近くにガソリンスタンドがないために、電動バイクを便利に使っている人もいるという。電動バイクは『内燃機関のバイクの電動版』ではなく、新しいバイクのカテゴリーとして、様々な可能性を広げる乗り物として広がりを見せ始めているのかもしれない。
製品名…N-GT(エヌジーティー)
クラス…原付二種
バッテリー…Panasonic製リチウムイオンセル
モーター…BOSCH製
車体寸法…1815×725×1185(mm)
車体重量…約109kg(バッテリー含む)
バッテリー重量…約11g×2
バッテリー定格容量…35Ah×2(並列)
定格電圧…60V
航続距離…≤134km
定格出力…1000W
バッテリー種類…リチウムイオン電池
最高速度…≤70km/h
乗車定員…2名
製造国…中国
メーカー希望小売価格:39万8000円(税別)