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3分でわかる! スーパーカブのエンジンが壊れない理由……のひとつ「スパイニースリーブ」ってなんだ?


ホンダ・スーパーカブのエンジンは壊れない。これはもはや世界の常識だ。それは登場から61年、ホンダがスーパーカブに注ぎ続けてきた並々ならぬ情熱とさまざまな技術の結晶と言えるもの。もちろん、とても3分で紹介することなど不可能だ。しかし、じゃあ1時間あれば足りるのかと言われれば、やはり無理だ。1日でも無理だし、1カ月あっても無理だろう。であれば、少しずつ、少しずつ、「3分間」を積み重ねて理解を深めていくしかないのだ。

スーパーカブにホンダの真髄を見る

 スーパーカブのエンジンはとにかく丈夫だ。「オイルがなくても走る」「水でも走る」「サラダ油でも走る」など、その武勇伝(?)には枚挙にいとまがないが、もちろんそれらは都市伝説に過ぎない。スーパーカブといえどもエンジンオイルなしには走れないのは当たり前。だが、そんなウソみたいなエピソードがまことしやかに囁かれるのも、このバイクの並外れた耐久性があってこそ。




 そんなスーパーカブ耐久性の秘密をひとつひとつ紐解いていこうというのが当記事の主旨だ。今回は、そのなかでもかなり新しい部類に入る技術と言える「スパイニースリーブ」について見てみよう。


 

重箱の隅をつつくような改良の積み重ね

 このスパイニースリーブとは、エンジンのシリンダーの内側に鋳込まれた鉄製の筒(これをスリーブと言う)の外側に細かい突起を設けたもの。2017年末に登場した現行スーパーカブの110ccエンジンに採用されている。




 まず、表面積が増えることによって冷却効果が向上する。とりわけ空冷エンジンにとって、その恩恵は大きい。




 しかし最も大きな狙いは、もうひとつの利点にある。スーパーカブのエンジンは、シリンダーがアルミニウム製で、スリーブが鋳鉄製だ。このふたつの素材は、熱膨張率が異なるため、加熱時に力の加わり方が不均等となり、ボア内径に変形が生じるのだ。




 そこでスパイニースリーブである。この表面の突起が アルミニウムのシリンダーに引っかかり、膨張率の高いアルミニウムに引っ張られるように“真円を保ちつつ”膨張するのだ。




 真円を保つことで、ピストンのフリクションが抑えられる。当然ながら燃費に貢献するが、それ以上に耐久性の向上が大きいという。




 ただでさえ耐久性に定評のあるスーパーカブだが、現行モデルでこうしたさらなる手を施しきてきたことには感心させられる。




 また、スリーブをアルミニウムにすればいいのではないか、あるいはスリーブレス(ライナーレス)シリンダーにすればいいのではないかという疑問も頭をかすめるが、仮に焼き付いてしまったときにオーバーサイズのピストンを入れられるよう、鉄スリーブを守っているのだという。これもスーパーカブならではのこだわりだ。

スーパーカブ110

クロスカブ110
スーパーカブ110プロ


 ちなみにこのスパイニースリーブはスーパーカブ110、スーパーカブ110プロ、クロスカブ110に採用され、50ccには採用されていない。今やスーパーカブの主役は110ccということなのだろう。

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