神戸製鋼所は、プレスの生産性に優れたホットスタンプ用めっき鋼板（焼入れ後強度1500MPa級）を開発し、自動車ボディ骨格部品用途で量産を開始した。
ホットスタンプとは、プレス前に鋼板を高温に加熱し、強度が下がり加工性が上がった段階でプレス成形を行う加工方法。プレスしたまま金型で焼き入れることで強度を大きく上げることができる。神戸製鋼所は、2017年に高生産性ホットスタンプ用冷延鋼板を開発、量産した。本製品は従来のホットスタンプ用冷延鋼板と比べ焼入れ性（熱処理により鋼材を高温から急冷させた際の硬化のしやすさ）を向上させることで、顧客のプレス生産性を従来品より最大6倍程度に改善している。また加工後の冷却ムラによる強度不足の問題も発生しにくいものとなっている。さらにプレス部品形状の自由度をより高められることや、プレス工程内でトリミングを行うことを可能としたことから、従来必要であったプレス後のレーザーカット工程を省略することも可能となり、顧客から高く評価されている。
今回新たにその冷延鋼板に亜鉛めっき処理を施したものを開発した。これにより、上記の特長に加えて、耐食性の付与が可能となり、適用部品の拡大の可能性を大きく広げることになる。本製品に対して、スペインの自動車部品会社であるGestamp社の加工技術を組み合わせることで、今回、欧州自動車メーカーへ初めて適用され、量産化に至った。
