車体は小さいけれどハイレベルな実用性、そして先進性。「型破る」をキーワードにアウディの新しい時代を切り開くQ2は、前席重視のパッケージングながら後席にも大人が快適に座れる居住性を実現しているし、車体サイズの割に広い荷室も印象的だ。また、「バーチャルコックピット」や専用の通信回線まで備えた統合インフォテイメントシステムの搭載など、アウディらしい先進的を身に着けていることも見逃せない。
TEXT●工藤貴宏(KUDO Takahiro)
PHOTO●中野幸次(NAKANO Koji)
MODEL●芝 彰子(SHIBA Akiko)
※本稿は2017年6月発売の「アウディQ2のすべて」に掲載されたものを転載したものです。車両の仕様が現在とは異なっている場合がありますのでご了承ください。
バーチャルコックピットを設定
専用の通信回線も内蔵
〈運転席まわり〉スポーティ感を具現化 バーチャルコックピットも設定
中央上部にオンダッシュのディスプレイを置き、センターコンソールには手の届きやすい位置にMMIと呼ぶコントローラーを置くなどアウディ流のコックピット作りが踏襲されている。しかし、A4などの上級モデルに比べるとダッシュボードがドライバーを包む造形が強調され、開放感よりもスポーティ感が強まっている印象を受ける。
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フル液晶で先進的なメーター「バーチャルコックピット」を設定
現行TTでデビューし、アウディの新型車に次々と採用が広まっている「バーチャルコックピット」はもちろんQ2にも設定されている。これはメーター全体を12.3インチの液晶としたもので、表示の自由度の高さと、ほぼ全面にナビ画面を示すような従来のメーターでは想像もできなかったダイナミックなビジュアルを実現するのがポイントだ。画面はまず右ページで紹介しているオーソドックスな「クラシックビュー」と、先進的な「インフォテイメントビュー」に切り替え可能。さらに、細かい表示メニューを任意に選んで好みのメーターを作り上げられるのも特徴だ。先進性や美しさだけでなく機能性にも注目したい。
〈マルチディスプレイ・ナビ&空調〉インターネットにも接続するインフォテイメントシステム
日本語対応の手書き入力も可能
かつては「使いづらい」と言われていた輸入車のナビだが、最近は事情が大きく変わり驚くほど使いやすくなっている。そのポイントのひとつが、タッチパッドを使って目的地などを手書き入力できる機能だ。もちろん日本語にも対応しており、認識率も良好。書き順なども判断材料としているようだ。
OTHER ITEMS
〈アドバンストキー〉金属の飾りがアウディらしいデザインのキー。「1.0TFSI sport」と「1.4TFSI」は、身に付けているだけでドアロック/アンロックやエンジン始動ができる非接触式となる。テールゲートオープナーのボタンも備わる。
〈居住性&乗降性〉SUVとしては低めの運転姿勢がアウディらしい
全長4.2mボディに効率よく居住空間を作り、後席でも不足のない居住性を備えるQ2。あくまで前席をメインとしているモデルだが、ファミリーユーザーでもしっかり活用できるパッケージングだ。
後席でのトピックは、なんといっても乗車姿勢の適正さ。床と座面の段差(ヒール段差)がしっかりとあり、たとえ大柄なドイツ人のように長い足でも収まりがいいから、余裕が少ない足元でもタイトさを感じにくいのだ。サルーンのように大人がゆったりくつろげる後席ではないが、小さい子供のいるようなファミリーになら実用上困らないだろう。身長167㎝の筆者が座った時の頭上のゆとりは、コブシひとつ分程度。コンパクトボディに起因する前後席間距離の短さを、室内高を有効活用してフォローしているパッケージングといえる。
後席に備わるISO-FIX対応のチャイルドシート装着バーはカバーが備わるタイプ。カバーを外せば間口が広く、しっかりとバーが見えるのでチャイルドシートを取り付けしやすいのは安全哲学へのこだわりを感じさせる。
Q2のようなクロスオーバーSUVを手に入れると、多くの人は乗り降りのしやすさに驚くはず。その理由は高すぎず低すぎずの着座位置で、平均的な身長の大人にとっては腰を下ろしたり立ったりがしやすいからだ。前後席ともに開口部の天地高もしっかり確保されていて、筆者の場合、フロントはシートの高さを低めにしておくと天井をほとんど意識することなく乗り降りできるから助かる。また開口部下部はサイドシルの広範囲をドアが覆う形状になっているので、車体が汚れていてもスカートやズボンのスソが汚れにくいのも見逃せない。
〈室内の収納スペース〉細やかなアイデアで実用的な収納を実現
フロントシートの下にも収納スペースを組み込んでデッドスペースを有効活用。運転席下はリッド付きのボックスで奥行きがあまりないが、トレー状になった助手席下には取扱説明書を格納可能だ。
〈ラゲッジルーム〉小さな車体ながらも5人乗り時で405ℓを誇る
全長4.2mのコンパクトボディながら後席使用時で405ℓもの容量を確保した荷室は、Q2がワゴン的に遊び道具を積んでアクティブに疲れることを意識していることの象徴と言っていい。このクラスで電動テールゲートを設定していることにも注目だ。
床面は上下に高さを切り替えできる。上段(写真右)にすると荷室を上下2段に分割できるほか後席を倒した際の床面の段差がなくなり、下段(写真左)にすると荷室の天地高を増やせる仕掛けだ。高さ調整幅は160㎜ほどで、上面にセットすると最も低い部分までの深さは約310㎜だ。