積算計が7000kmを越え、まずまず絶好調のMFメガーヌ号。すっかり4CONTROL(コントロール)が身体に染みついてしまった担当者だが、最近になって「動きがシビア」という編集部内の声を耳にし、市販車の開発というものはつくづく難しいものだと考え込んでしまったのであった。
レポート日:2019年9月6日
オドメーター:7029km
TEXT&PHOTO●小泉建治(KOIZUMI Kenji)
ゆっくり操舵すればスローに反応するはずだけれど……
メガーヌGTおよびメガーヌR.S.に採用されている4CONTROLは、いわゆる後輪操舵機構である。低速域では逆位相(前輪と逆方向に舵角が与えられる)とすることで旋回性能を高め、高速域では同位相とすることで安定性を高めるという魔法のようなシステムだ。
さらに、その4CONTOROLによって旋回性能と安定性能を担保できるため、狙った性能に対してサスペンションを柔らかくできるというメリットもある。
最初は少し戸惑うが、慣れてしまうと後戻りできないほどの優れモノであると、担当者は思っている。
ところが当連載の前回、Vol.13で、TECH編集長の萬澤が「4CONTROLがシビア」と宣っているではないか。
本人に直接問うと、「運転している本人は楽しいんだけれど、後席の乗員にとっては旋回Gがきつすぎるらしい」とのこと。「ゆっくり穏やかに運転しようとしても、どうしても4CONTOROLがシビアに反応してしまう」らしい。
実は4CONTOROLによる後輪の操舵角は、速度やステアリングの舵角だけで決まるのではなく、操舵の速度や前後左右の加速度などもセンシングして緻密に制御されている。
だからゆっくり穏やかに運転すれば、そんなにシビアに反応することもないはず……と説明したところで、本人がそう感じてしまったのだからしかたない。
まぁ確かに、メガーヌGTはルノー・スポールが開発した「スポーツカー」であり、VWゴルフで言えばGTIにあたる。アグレッシブに感じるのは、ある意味で正解だろう。
だからメガーヌには、4CONTOROLを搭載していないGT-Lineというモデルもラインナップされている。エンジンはGTの1.6Lターボ(205ps)に対して1.2Lターボ(132ps)となる。
購入に際しては、可能な限り両方に試乗することをオススメしたい。