帝人グループで軽量複合材料製品の生産・販売・技術開発を手がけるコンチネンタル・ストラクチュラル・プラスチックス(CSP)のGF-SMC部材が、このたびフォード・モーター・カンパニーの新車種に採用された。
GF-SMCとはGlass Fiber-Sheet Molding Compoundの略で、熱硬化性樹脂をガラス繊維に含浸させ、シート状にした成形材料。フォードとCSPは、自動車の快適性の評価項目であるNVH(騒音・振動・ハーシュネス:Noise, Vibration, Harshness)の大幅な改善を目的として、このGF-SMC部材を使用することにより、世界初の二重壁構造のコンポジット製エンジンシュラウド「デュアル・ウォール・ダッシュボード」を共同開発した。エンジンシュラウドとは、エンジンルーム内の部品を保護するための構造材。「デュアル・ウォール・ダッシュボード」は、フォード社が今夏より北米において展開を開始する「フォード・エクスプローラー」の2020年モデルに搭載される。
「デュアル・ウォール・ダッシュボード」は、エンジン後部をカバーするとともに、エンジンルームの両サイドにあるストラットタワーまでを覆い、エンジンルームとフロントバルクヘッドの間に密閉性の高い空間を設ける。これにより、エンジンルーム内で発生する騒音を消散させることでNVHを大幅に改善する。そして、こうした機能を備えつつ、従来のスチール素材では成形が困難な薄肉かつ複雑な形状をわずか4点のGF-SMC成形部材で実現し、エンジンルーム内の限られた空間への収納が可能となった。また、12ポンド(約5.5kg)と軽量で、エンジンルーム内の電気部材の熱防護機能も有している。「デュアル・ウォール・ダッシュボード」は、CSP社のコノート工場(米国オハイオ州)で製造される。