新世代エンジンを搭載し、前後バンパーなどのデザインを変更して商品力を高めた新型フィアット500X。約650kmを走る機会があったので、その印象をレポートする。
いまもっとも熱い「スモールSUV」カテゴリーに、親しみやすいデザインで2015年に国内デビューしたフィアット500X。今年4月に前後バンパーのデザインを一新するなどフェイスリフトを実施して、マイナーチェンジを果たした。
また、エンジンが刷新されたこともトピック。初代モデルから、カムシャフトは排気バルブ側の1本だけというSOHCで、吸気バルブの駆動は排気側カムシャフトで生み出される油圧とソレノイドバルブを使って自在に制御される、フィアット独自のマルチエアを採用しているが、今回はブロック自体も新世代のものに移行し、排気量を従来の1.4ℓから1.3ℓに縮小したが、最高出力は11ps向上し151psを発揮する。最大トルクは270Nm。
500Xはコンパクトカーであるフィアット500と同じイメージのデザインで仕上げれられているために「小さなクルマ」と思っている人も多いかもしれないが、全長4280mm、全幅1795mmというサイズ。車重は試乗した「500X Cross」グレードで1440kgと意外に大きく重い。ホンダ・ヴェゼルより全長は50mm短いが、全幅は25mm大きいサイズ。フィアット500の全長は3570mm、全幅は1625mmで、車重も1000kg前後しかないのだ。
今回、500Xで一般道と高速道路を合わせて約650kmを走行してみた。一般道はスムーズな流れの状況が多く、高速道路も幸い、夏休み渋滞にはハマらなかった。6速DCTと組み合わされる1.3ℓターボは、タウンユースでも扱いやすく、特に力不足などは感じない。高速道路でも同様の印象だが、ミッションが6速のせいか巡航時の回転数は少し高め。
総じて好印象であったが、筆者が試乗した前日にモーターファンイラストレーテッド誌の連載企画「博士のエンジン手帖」でテストを行なった畑村博士いわく「ターボラグがやたらに大きい!」という意見だった。ほぼ平坦な道を淡々と走った筆者と、勾配のきついターンパイクを往復した畑村博士との違いなのだろうか?(500Xが登場する博士のエンジン手帖は8月10日発売のモーターファンイラストレーテッドvol.155に掲載)。
650kmを走行しての燃費は、15.6km/ℓだった。エコランなどはまったく意識せずに、2名乗車で走ってみてこの数値だから、車重を考えればなかなか優秀だ。WLTCモード燃費は13.5km/ℓ、郊外モード13.6km/ℓ、高速道路モード15.4km/ℓなので、モード燃費を楽々と上回っている。
334万円という価格で、LEDヘッドライト、アダプティブクルーズコントロール、運転席/助手席が電動調整+シートヒーター付きの本革シート、電動パーキングブレーキなどが標準装備なのはうれしいところ。自動ブレーキやブラインドスポットモニター、車線逸脱警報、リヤパーキングカメラなども備わるので、予防安全装備も国産車に負けてはいない。なによりポップなデザインに惹かれる方は多いと思う。