ZFジャパンは、国産初のハイブリッド連節バスに、同社の大型バス向けアクスルが採用されたことを発表した。
日本における連節バスは、メルセデス・べンツのシロータGが三菱ふそうから正規輸入され、各地で運行されている。この輸入車に頼った状況から脱却するため、先日、いすゞ自動車と日野自動車の合弁会社であるジェイ・バスが、国産初となる、ハイブリッド連節バスを発表したのは、すでにご存じかと思う。
ジェイ・バス製の連節バスは、既存の大型路線バスに対して、約1.5倍となる120名の乗員定員を確保する能力を持ち合わせており、一度で大量の人数を運ぶことができるため、輸送効率の向上に寄与する。今後、東京オリンピックなど大きなイベント開催を控えるだけに、その活躍は充分期待できるわけだが、いっぽうでバス・トラック業界は、ドライバー不足が深刻な問題となっている。この連節バスの登場は、乗員不足と輸送効率の向上という背反する要素を満たすこともできるだけに、これからのニーズは高まることが予想される。
そのジェイ・バス製の連結バスに、ZF社の大型バス向けアクスル「RL75A(前軸)/AVN132(中軸)/AV133 (後軸)」が採用された。ZF社の大型バス向けアクスルは、フラット構造による乗降のしやすさに対応したバスアクスルシリーズで、すでに単車、連節問わず、広く世界に採用されていて実績は充分。また、その関係で、海外ではバスへの採用は標準となっているディスクブレーキも採用されている。国産路線バスでは、日本市場ではなじみの薄いディスクブレーキだが、高い安全性に寄与することと思われる。
ZFは、今回採用された通常アクスルのほか、商用車の電動化を可能にする製品とサービスを強化している。例えば、後軸用AV133Tと置き換え搭載が可能な電動アクスルAxTrax AVEをはじめ、電動ドライブユニットのCeTraxシリーズや、大型トラック向けのTraXon Hybridなど、ハイブリッド・ソリューションを多数取り揃える。今後、厳しくなる環境規制に対しても、各市場の用途や目的に応じた電動化ソリューションを提供できるのは、ZFの強みだ。
ZFジャパン商用車テクノロジー事業部の本部長、岩田真澄は、「この度、当社の技術が日本のお客様の効率の向上に貢献できることを、非常にうれしく思います。ZFの商用車向け製品は長い歴史に基づく実績があり、海外では多くの商用車メーカーに採用頂いています。今後もZFは、次世代のモビリティ戦略に基づき、日本をはじめとする世界各国の自動車メーカーのニーズに応えるソリューションの提供に努力していきます。」と語っている。
なお、ジェイ・バス製の連節バスの詳細技術については、モーターファン・イラストレーテッド vol.153で紹介している。