日本を代表する超絶ハイパフォーマンスマシン、ホンダ・シビック タイプR。その攻撃的なアピアランスのなかでもとりわけ目に付くのが、ド迫力のセンター3本出しエキゾーストエンドだ。センター出しというだけでもムード満点なのに、3本ですよ3本! しかしちょっと待て。3本って変じゃない? タイプRって4気筒でしょ? どうなってんだ?
PHOTO●宮門秀行(MIYAHKADO Hideyuki)/Honda
サウンドの質を高める独自のアプローチ
その昔、クラウンやセルシオで、6本出しマフラーにした改造車を見たことがある。もちろんそこには排気効率もヘチマもなく、多けりゃエライ、の価値観に基づいたものだったと想像できる。もしかしたらそのうちの2本、もしくは4本、へたすりゃ5本はダミーだった可能性もある。
しかし今度は天下のホンダさま御謹製のシビック タイプRである。まさかそんなおバカなことはやっていないだろう。
というわけで、ひとまずエキゾースト全体の取り回しを見てみよう。
ご覧の通り、サイレンサーやパイプをなるべく車体中央を通るように配置することで、ヨーモーメントを低減させている。
そしてエンド部のタイコの手前で三つ叉に分かれ、そのまま3個のタイコを経て3本のエキゾーストエンドに至っている。
この3本のうち外側の2本がメインパイプで、通常のマフラーと同じもの。排気流量の増大が図られ、高出力化に貢献しているという。
そして注目すべきは中央の一本だ。まず奥のタイコ部はレゾネーターと呼ばれ、走り出しのサウンドの迫力を向上させているらしい。
そしてセンターのエキゾーストエンドは、低回転域では左右のメインパイプと合わせて開口面積を増やすことで音圧を向上させ、高回転域では負圧効果で不快なこもり音を低減させているのである。
つまり、左右の2本がいわゆる通常のマフラーで、中央の1本が独自のテクノロジーによるタイプRならではのマフラーというわけだ。
迫力がありすぎるとの意見も聞かれるシビック・タイプRのエクステリアだが、すべてのカタチには理由がある。そして、こうしたプラスアルファの価値こそ、スポーツカーには必要なものなのだろう。