2018年度の登録車No.1の座を獲得するなど日産の国内販売を支えるBセグメント5ドアハッチ「ノート」。そしてモータースポーツ直系コンプリートカー「ニスモ」の大黒柱にもなっているシリーズハイブリッド「e-POWER」搭載車に2018年9月、高性能バージョン「ニスモS」が追加された。この最新の電動ホットハッチに、神奈川県・東京都・埼玉県内の首都高速道路および一般道で試乗した。
REPORT●遠藤正賢(ENDO Masakatsu)
PHOTO●遠藤正賢/日産自動車
ノートには従来、HR12DDR型エンジン搭載車をベースに内外装とボディ・シャシーを強化した「ニスモ」と、専用チューンのHR16DEエンジンを心臓部とする「ニスモS」、e-POWER搭載車に「ニスモ」と同様のチューニングを施した「e-POWERニスモ」の計3種類が設定されていた。
そこに昨年9月、第四のモデルとして「e-POWERニスモS」が追加されたのだが、従来の「e-POWERニスモ」に対する変更点は、パワー・トルクともアップし、新規の走行モード2種類が設定されたパワートレインに集約される。つまり、空力やボディ・シャシーの強化メニューは「e-POWERニスモ」とまったく変わらない。
EM57型モーターの最高回転数を10000rpmから11000rpmに高め、インバーターの内部素子を強化。VCM(車両コンピューター)および駆動用リチウムイオンバッテリーコンピューターも専用チューニングとすることで、最高出力を109psから136ps、最大トルクを254Nmから320Nmへと、それぞれ25%以上増強した。
発電機として用いられるHR12DE型直列3気筒エンジンも同様に、最高回転数を5400rpmから6000rpmに高めることで、最高出力を3kW高い61kWへとアップ。これらの性能向上に対応するため、減速機のベアリングも強化している。
車重1700kg超に及ぶセレナで過不足ない性能を持つこのハイブリッドパワートレインを、1200kg前後のノートに移植した効果は絶大で、ノーマルでも充分以上の加速性能が、ノートe-POWERニスモSではさらに上乗せされ、それが加減速のコントロール性をより一層高める効果につながっている。
発進したその瞬間から最大トルク320Nmを発生する(実際には電子制御でごく初期の過渡特性がマイルドにされているが)うえ変速もなくシームレスに加速していくモーターだから、というのは当然だが、高い速度域でも加速が頭打ちにならないのが、ノートe-POWERニスモSならではの美点。25%ものパワー&トルクアップは伊達ではなく、その恩恵は誰もが体感できるものだった。
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【Specifications】
<日産ノートe-POWERニスモS(FF)>
全長×全幅×全高:4165×1695×1535mm ホイールベース:2600mm 車両重量:1250kg エンジン形式:直列3気筒DOHC 排気量:1198cc ボア×ストローク:78.0×83.6mm 圧縮比:12.0 エンジン最高出力:61kW(83ps)/6000rpm エンジン最大トルク:103Nm(10.5kgm)/3600-5200rpm モーター最高出力:100kW(136ps)/2985-8000rpm モーター最大トルク:320Nm(32.6kgm)/0-2985rpm 車両価格:267万1920円