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ハイブリッドもADASもすばらしい! 7シリーズにはBMWの未来が詰まっている


マイナーチェンジを受けた6代目7シリーズ。進境著しいBMWの最新デザインが取り入れられ、その外観とインテリアはもちろん変わったが、その核心はどう変わったか? 清水和夫が解説する。




REPORT◉清水和夫(SHIMIZU Kazuo) 


PHOTO◉BMW AG




※本記事は『GENROQ』2019年6月号の記事を再編集・再構成したものです。

 高級車の代表選手がメルセデス・ベンツSクラスであることに異論を挟む人はいないだろう。だがそのSクラスに挑むチャレンジャーは少なくない。アウディA8、レクサスLS、キャデラックCT6、ジャガーXJ──中でもやはり対抗の本命はBMW7シリーズであろう。




 究極の高級車は英国王室御用達のロールス・ロイスとベントレーだ。かつて同じグループに属していたが、1990年代後半、両ブランドはそれぞれフォルクスワーゲンとBMWに買収された。ベントレーを手にしたのはフォルクスワーゲンで、ロールスはBMWの手中に収まった。フォルクスワーゲンは本当はロールスが欲しかったのだが、結果的にはベントレーと伝統的なクルーの工場を獲得した。

試乗車は750Liで140 ㎜ロングホイールベースなので後席の広さは十分。

 BMWはロールスのブランドを手に入れたものの、工場や伝統的な職人はフォルクスワーゲン側に移管された。つまりBMWはロールス・ロイスを造って販売することが可能となったが、それまでのロールス・ロイスが辿ってきた伝統や経験を十分に活かせなかった。BMWは独学で世界最高峰の高級車を造ることになった。御料車を造れる日本メーカーなら、ロールス・ロイス以上の高級車を造れると思うが、大衆車から発展してきた日本メーカーにとって、プレミアムセグメントは得意領域ではないかもしれない。

ステアリングの運転支援システム関連のスイッチ類が新デザインとなった。

 試乗会場には新型7シリーズがSUVのX7と並んでいた。ワイド&ローの7シリーズだが、新しい大型キドニーグリルはX7に負けず劣らず迫力十分だった。今回のフェイスリフト最大の話題はキドニーグリルが大きくなったこと。面積が1.4倍に拡がった。しかも横方向だけではなく、ボンネットの先端までグリルが浸食しているのが特徴だ。キドニーグリルは常にBMWデザイナーが強く意識するアイコンだ。キドニーグリルは1933年の303から始まったが、そもそもグリルはラジエターを冷やす機能を持つ。当時のボンネットは高く(フレームとエンジン搭載位置の関係)、グリルは縦長だった。だが現在は空気抵抗低減のために、エンジンフードは低くなり、グリルは横長になった。歴史の文脈でグリルは機能と密接な関係にあったのである。

ステアリングの運転支援システム関連のスイッチ類が新デザインとなった。試乗車は750Liで140㎜ロングホイールベースなので後席の広さは十分。

 今回テストしたのは主に750Li xDrive。わずかな時間だったが、プラグインハイブリッドモデルの745Leにも試乗できた。750Liは出力の向上した4.4ℓV型8気筒のガソリンエンジンを搭載する。最高出力530㎰、最大トルク750Nmはラグジュアリー・サルーンとはいえ、ドライバーズカーとしての主張を感じる。ハンドルを握って走り出せば、アドレナリンが溢れるほどドライブフィールがホットだ。0→100㎞/h加速は4.1秒。スポーツカー並みの速さだ。ちなみにBMWは1986年、V12エンジンを第2世代7シリーズに搭載した。戦後の乗用車にV12エンジンを初めて搭載したのはメルセデスではなくBMWだった。さすがエンジンメーカーと賛美の声が上がった。

 エンジンは気持ちよく回り、低速トルクは十分すぎるほど豊か。這うように街中を走ってもストレスなく、微少なアクセルワークにも反応する。過敏すぎずドライバーの意思が7シリーズに透視される感じで、つまりクルマと共感できる。高速クルーズでは1500rpmくらいで流れに乗れるし、5000rpmまで回せば、巨体がまるでロケットのように加速する。

PHEVモデルとなる740eに搭載されるパワートレインは、3ℓV6にモーターの組み合わせ。システム最大トルクは600Nmを誇る。

 PHEVの745Leは3.0ℓ直列6気筒エンジンとモーターを組み合わせ、EV走行可能距離は58㎞となっている。わずかな時間しか乗れなかったが、魅力的なのは荷室が犠牲になっていないことで、余裕でゴルフバッグを搭載できそうだ。使い勝手は良いだろう。レベル2の高度運転支援システム(ADAS)も使いやすい。自動運転技術では今後、メルセデスと提携していくというニュースもあるが、ドライバーが感じる領域ではメルセデスとBMWは作り分けがうまいから心配無用だ。




 実際、最近のBMWのADASはステアリングの反力が強く、システムがハンドルをコントロールしていることをドライバーにわかりやすくしている。このあたりはメルセデスとは正反対の考えだ。技術は協調しても、ユーザー視点では差別化が可能だ。これからのBMWは面白くなりそうだ。

BMW 750Li xDrive


■ボディサイズ:全長5260×全幅1902×全高1479㎜ ホイールベース:3210㎜


■車両重量(DIN):2000㎏


■エンジン:V型8気筒DOHCツインターボ 総排気量:4395㏄ 圧縮比:10.5 最高出力:390kW(530㎰)/5500~6000rpm 最大トルク:750Nm(76.5㎏m)/1800~4600rpm


■トランスミッション:8速AT


■駆動方式:RWD


■サスペンション形式:Ⓕダブルウイッシュボーン Ⓡ5リンク


■ブレーキ:Ⓕ&Ⓡベンチレーテッドディスク


■タイヤサイズ(リム幅):Ⓕ&Ⓡ245/45R19(8.5J)


■パフォーマンス 最高速度:250㎞/h (リミッター作動) 0→100㎞/h:4.1秒 燃料消費量(EU複合):9.6~9.5ℓ/㎞ CO2排出量:218g/㎞
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