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スープラといえば「FRレイアウト+直列6気筒エンジン」という文法に則った新型スープラ。トップモデルは、3.0ℓ直列6気筒DOHCターボを搭載するRZだが、じつはトータルバランスでは2.0ℓ直列4気筒DOHCターボ搭載のSZ-Rが優れている……?
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新型スープラに何を求めるか? あるいは、今後そうそう生まれてこないであろう電動化されていない、しかも後輪駆動のスポーツカーに何を求めるか? というのは人それぞれだろう。スープラといえば直6!という世界中のファンの期待に応えて新型スープラは3.0ℓ直列6気筒DOHCターボエンジンを長いフロントノーズに搭載している。340ps /500Nmというパワーは、旧来のスポーツカーファン、スープラファンを魅了するはずだ。
スポーツカーの身上は、コーナーでの身のこなし!と信じるスポーツカーフリークにとっては、長くて重たい直列6気筒エンジンよりもより軽量な直列4気筒エンジンを搭載するSZ-Rの方が魅力的かもしれない。
価格は
RZ(B58型直6):690万円
SZ-R(B48型直4):590万円
と100万円も安いのだ。
パワースペックは
RZ:340ps/500Nm
SZ-R:258ps/400Nm
で、当然RZの方がパワフルだ。
車両重量は
RZ:1520kg
SZ-R:1450kg
で、SZ-Rが70kgも軽い。
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RZとSZ-Rの装備は、大きく違わないから、70kgの重量差はエンジンのシリンダー数6と4の違いによるところが大きい。しかも、この70kgが載っているところは、フロントオーバーハングであるのだから、運動性能に及ぼす影響も小さいとはいえないだろう。
パワーウェイトレシオは
RZ:4.47kg/ps
SZ-R:5.62kg/ps
トルクウェイトレシオは
RZ:3.04kg/Nm
SZ-R:3.625kg/Nm
と、やはりRZの方が優れた数値になるのだが、ノーズが軽いSZ-Rの操縦性・安定性の方がきっとドライブして楽しいのではないか、と予想する。
となれば、スープラの文法を無視して、さらにノーズの軽さを求めて、コンパクトなスポーツカーを作る……という妄想をしてみよう。
スープラのボディサイズは4380mm×1865mm×1290mm、ホイールベース2470mmと非常にコンパクトだ。となれば、フロントミッドにエンジンを搭載してとにかく運動性能を上げるという手法もあるのではないか。
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B38K15A
排気量:1498cc
ボア×ストローク:82.0mm×94.6mm
圧縮比:9.5
最高出力:231ps(170kw)/5800rpm
最大トルク:320Nm/3700rpm
そこで登場するのが、
BMW B38K15A
というエンジンだ。
パワースペックは
最高出力:231ps/5800rpm
最大トルク:320Nm/3700rpm
というエンジンである。
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SZ-Rの258ps/400Nmには及ばないが、現在のエントリーグレードであるSZの197ps/320Nmとは同等以上の出力を得ることができる。
このB38K15Aは、BMW i8が搭載している1.5ℓ直列3気筒ターボエンジンだ。1.5ℓの排気量から258psの出力を得るということだから、リッター当たり172psというハイチューンなエンジンである。もちろん、i8はモーターを使うハイブリッドカーだから、このハイチューンが実現するわけで、おそらく過給圧を目一杯上げたターボエンジン特有のターボラグの領域をモーターがサポートしてくれているのだろう。
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同じチューンのB38型をスープラのフロントに載せるわけにはいかない(i8のB38はミッドに横置きされている)から、あくまでも妄想ベースなのだが……。
同じB38型をフロントに縦置きする3シリーズや現行1シリーズでは、エンジンは完全にフロントアクスルの後ろに載っている。つまりフロントミッドシップなのだ。6気筒→4気筒で70kg軽量化するなら、4気筒→3気筒でさらに装備を削ればやはり70kg程度は軽量化できそうだ。となれば、SZ(車両重量1410kg)より70kg軽ければ1340kgくらいになりそうだ。となれば……
パワーウェイトレシオは
RZ:4.47kg/ps
SZ-R:5.62kg/ps
B38搭載軽量スープラ:5.8kg/ps
トルクウェイトレシオは
RZ:3.04kg/Nm
SZ-R:3.625kg/Nm
B38搭載軽量スープラ:4.19kg/Nm
となる。もちろん、4気筒/6気筒搭載モデルには敵わないけれど、新時代のFRスポーツ、スープラというのも見てみたい気がする(きっと燃費性能は4気筒に敵わない気がするが)。420万円くらいで売ってくれたら……あくまで妄想です……。
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