新しく登場したマツダ3を一目見ようと、ディーラーへ赴いた。すると、見慣れないクルマが3台並べられている。その意図とは。
22日から24日までの3日間、パシフィコ横浜展示ホールで開催されていた「人とくるまのテクノロジー展」を取材していた。そのマツダブースに登場間もないマツダ3が飾られていた。
「なんだこのクルマは!」
MF.jpで何度も取り上げられているクルマだったが実物を見るのは初めて。こんなことを書くといかにもな感じで申し訳ないのだが、あまりに格好良くて立ちすくんでしまった。同じことを思っている人が多数なのか、会期を通してマツダ3の周りから人が途切れることはなかった。
あまりに自分の中でインパクトが強かったので、ディーラーへ出かけてみようという気分になった。一般的にディーラーへクルマを見にいくとアレやコレやとなってその後の連絡攻撃に悩まされることが多いのではないかという思いもあって、普段はまったく出向くことはないのだが、今回はそれを押してでも見に行ってみたいという欲求が先に立った。
出かけたのは首都圏内の某マツダディーラー。すると、軒先に3台のガイシャが停めてあるのに気がついた。VWゴルフにBMW・1シリーズにアウディA3セダン。初めは(マツダ3を見に来たお客さんのクルマかな)と思ったのだが、それにしては停めてある場所がおかしい。横に長いテラスの真ん中に3台がいて、一番奥にマツダ3のセダンが、手前にはファストバックが2台停められている。誰かが乗ってきたクルマという様子ではないのだ。
ディーラーの方に思わず訊いてみた。「なんでこの3台が置いてあるんですか」。すると、驚くべき回答が返ってきた。
「比較用に用意したんです」
来訪するお客さんがマツダ3を見に来て、「ゴルフと迷っているんだよね。あっちも確認してみたいから」みたいなことをおっしゃるときに「用意がありますよ」と言えるようにしておくためだという。マツダ3のライバル車として、先述の3台は比較検討されることが多いという判断なのだろう。
マツダの自信は相当なものだ。一般的に(失礼ながら)マツダとドイツ車とくれば後者に人気が集まるのは自然。その潮流を知りながらなお、あえて直接のライバルとするクルマを用意してお客さんに見てもらう。それでも勝てる、という目算があるからこそ、できる芸当である。
個人的にも、じゃあこの4台の中からどれにすると訊かれれば即答で「マツダ3」と応えるだろう。試乗もしていないし、パワートレインラインアップがまだそろっていない状況でも、である。
カッコイイからマツダにした。そういう理由で国産車が路上に増えていくのを楽しみにしている。