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国交省:ここにもあった! 熱効率50%を達成したディーゼルエンジン


国交省ブースに一つ、エンジン模型がひっそりと展示されていた。その実物は、なんと熱効率50%を達成していた。


TEXT:川島礼二郎(KAWASHIMA Reijiro)

 熱効率50%を達成したエンジンが大いに話題になった。戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)の取組みの一つである「革新的燃焼技術」として、慶應義塾大学の飯田訓正特任教授、京都大学の石山拓二教授、早稲田大学の大聖泰弘特任研究教授らが、乗用車用のガソリンエンジンおよびディーゼルエンジンともに、正味最高熱効率50%を上回ることに成功したのである。




 一方で、国交省と交通安全環境研究所は、次世代大型車開発・実用化促進プロジェクトを2002年から推進していた。2018年はその最終年にあたり、第四期課題の一つとして、高効率次世代ディーゼルエンジンの開発に取り組んだ。展示されていたのは、そのモデルである。第三期までに確認した大型車用エンジンの熱効率は46.6%。第四期では熱効率50%達成を目標として設定。熱損失最小化と熱効率最大化を図ったエンジンの試作・検証等を行い、その達成に必要な技術的要件を明確化することとした。実際に試作・検証を行ったのは、新エィシーイーである。


熱効率50%超を実現するために、世界でも類を見ない高い最高筒内圧(35MPa)を実現した単気筒エンジンに、次世代燃焼制御の技術要件を組み合わせた。具体的に取り組んだのは、燃焼室形状の変更、ピストン表面構造の変更、燃料ノズル諸元の変更である。

 燃焼室は、燃焼ガスを燃焼室内に閉じ込めることを狙った形状とした。これによりライナーへの火炎接触抑制による冷却損失の低減を実現できる。ピストン表面研磨と裏面溶射により、筒内のピストン表面粗度を大幅に低減。遮熱効果もあり熱損失が低減し、熱効率が改善した。また燃料噴射ノズルの最適化(マルチインジェクタ)では、火炎の空間配置に配慮した空気流動と噴霧特性を狙った。空気利用率の増加により、熱損失と熱効率を同時に改善する効果が出た。これらにより目標としていた熱効率50%を達成した。

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